婚約者のいる殿方を横取りした令嬢の末路

弥生

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 あぁ…ティアゴ様今日も凛々しくて素敵ですわ

 マドレーナが銀髪の少年に一目惚れしてから多くの年月が経過した
 また令嬢達が熱い視線を送っているわ、面白くはないけれどあれだけ素敵な殿方なのですもの仕方がない事ですわね
 だけどティアゴ様の心は特別な幼馴染である私のもの、可哀想だけど彼女達と結ばれる事は無いわ
 どこからその根拠の無い自信が湧いて来るのか分からないが彼女にとってはそれが絶対なのである

 自分も熱い視線を送っているだけの令嬢の１人な事に気付いていないマドレーナ、成長しても彼女の妄想癖は治まる事が無い…いや寧ろ酷くなっていた
 彼をお茶会で見かけた日から何年もの月日が流れたがマドレーナと彼が同じ夜会やお茶会に参加する機会は多くても１年に１度少ない場合は２～３年の期間が開く事はざらであった
 特別大きな催し物でしかマドレーナは彼を見かける事は無かったのであるつまりは数回しか遭遇した事がない相手なのだ

 と言うよりも彼はマドレーナと会話をした事すらないのだ、いつも遠くから見ているだけで相手がマドレーナを認識しているかどうかですら怪しい
 幼馴染＝恋人と言う考えもおかしいが、そもそもマドレーナと彼は幼馴染ですらないのである

 しかしお得意の妄想で何度も逢瀬を重ねたマドレーナは最早現実と幻想の区別も付いていないようだ

 またご友人と何か難しそうな会話をしているわ、話の意味はよく分からないけれど本当に知的だわ…
 かなり遠くの会話なのに恐ろしい地獄耳である、肝心の内容はさっぱり理解出来ていないのだが

「やあ！マドレーナ嬢じゃないか、君に会えるだなんてもしかして運命？」
 またこのチャラチャラした男…いつもティアゴ様との逢瀬を邪魔して！
 名前は…何て言ったかしら？別にこんな男の名前を覚えていなくたって支障は無いわ
 そのような事を考えながらマドレーナはチャラ男を適当にあしらうのであった
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