婚約者のいる殿方を横取りした令嬢の末路

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 その日マドレーナは朝から上機嫌だった、夢の中で彼にプロポーズされたのだ
「もう！ティアゴ様ったら大胆なんだから、ウフフ」
 結婚式は学園を卒業したらすぐが良いわね！海が見えるロマンチックなチャペルで盛大な披露宴をして、そのまま新婚旅行に行くの…そして次の年にはハネムーンベイビーが生まれてとびっきり幸せな家庭を築く…楽しみだわ
 でも暫く２人きりなのも捨てがたいわ、子どもは何年か先でも良いかも知れないわね

 ただの夢なのだがもう婚約者になったかのような妄想をしている、この事を他者が知ればドン引きするのであろうがこの場にはマドレーナ本人しか居ない

 そうこうしていると自分の教室の前に到着した、扉を開こうとしたが何人かの女子生徒の会話が耳に入り思わずその手を引っ込めた

「ねぇ聞かれましたか？リリー様が婚約なさった事を」
 リリー・フェルマー伯爵令嬢…彼女婚約したのね

「それがお相手が聞いてビックリ！あのティアゴ・ユング公爵令息ですって」
…えっ？

「まぁ、あのティアゴ様が身を固めるだなんて意外ですわね」
…彼女達は一体何を言っているの？

「嫡男でないとは言え公爵家の人間、いつかは結婚しなくては体裁が悪いのかもしれませんわね…」
…ティアゴ様がリリー様と婚約ですって！ウソよ！これは何かの間違いよ！！

 それ以上彼女達の会話を聞いていたくなくてその場から走り去った
「…っ！どうして？ティアゴ様には私という運命の相手がいるのに！」
 リリー様が私からティアゴ様を奪うと言うの！？

 彼はマドレーナが勝手に妄想彼氏にしていただけで別に彼女の将来の夫になる相手ではない
 そしてこの国の貴族の婚約は家同士の利害で決まる事が多いのでリリーに決定権があったかも定かではない

「…許せないっリリー・フェルマー伯爵令嬢！！」
 それなのに勝手に恨まれて一番の災難はリリー嬢なのであろう