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モーリア邸の扉を乱暴に叩きつけ鬼の形相でドタドタと走る姿、何も知らない者がその光景を目撃したらとても伯爵令嬢とは思わないだろう
「マドレーナお嬢様!?どうなさったのですか」
「お待ち下さい!旦那様は今来客中で…」
「うるさいっ邪魔よ!」
制止する使用人達を威嚇しながら父が居るであろう応接室へと向かうマドレーナ、客人がいてもお構い無しである
彼女にとってはこれ以上にない緊急事態なのでそのような事を気にしてはいられないのであろう
「お父様!!」
「何なのだマドレーナ!ノックもせず突然ドアを開いたと思ったら挨拶もなしに、お客様に失礼だろう」
ドタドタ足音をたてながら走って来てマナーのなっていない行動をする娘に注意をするのはこの家の当主モーリア伯爵、一方目を見開きキョトンとしている男性は客人なのであろう
「それどころじゃないのですお父様!!ティアゴ様…私のティアゴ様を他の女が奪ったのです!」
「マドレーナまずはお客様に謝りなさい、申し訳ございませんブランケンハイム公爵、娘が大変失礼な態度を…」
「あの女リリー・フェルマー!!女狐の泥棒猫!よくも私のティアゴ様を」
「マドレーナ!」
全く聞く耳を持たない娘に頭を抱えながらもブランケンハイムと言う名の客人に頭を下げ続けるモーリア伯爵、父親として当然の行動と言えばそうなのだが少し気の毒になってくる
きっと今までもさぞかし苦労してきたのであろう…彼の光る頭皮がそれを語っている
「いえお嬢様も何やら切迫している様子です、私は日を改めますのでお話を聞いてあげてはいかがでしょうか?」
確かにこのままでは話にならないのでモーリア伯爵にとってもそれは有難い事であった
「…ブランケンハイム公爵、本当に申し訳ありません、後日正式に謝罪に向かわせて頂きます」
もう一度深々と頭を下げる伯爵、マドレーナにも謝罪させようとしたがやはり彼女は喚き続けるだけでそれは叶わなかった
「大丈夫ですよ、それよりもお嬢様の相談に乗ってあげて下さい」
そう言って退出した端正な顔立ちの紳士は何処かで見た事があるような気がするのだが、この状況でそれを気にするようなマドレーナではなかった
「マドレーナお嬢様!?どうなさったのですか」
「お待ち下さい!旦那様は今来客中で…」
「うるさいっ邪魔よ!」
制止する使用人達を威嚇しながら父が居るであろう応接室へと向かうマドレーナ、客人がいてもお構い無しである
彼女にとってはこれ以上にない緊急事態なのでそのような事を気にしてはいられないのであろう
「お父様!!」
「何なのだマドレーナ!ノックもせず突然ドアを開いたと思ったら挨拶もなしに、お客様に失礼だろう」
ドタドタ足音をたてながら走って来てマナーのなっていない行動をする娘に注意をするのはこの家の当主モーリア伯爵、一方目を見開きキョトンとしている男性は客人なのであろう
「それどころじゃないのですお父様!!ティアゴ様…私のティアゴ様を他の女が奪ったのです!」
「マドレーナまずはお客様に謝りなさい、申し訳ございませんブランケンハイム公爵、娘が大変失礼な態度を…」
「あの女リリー・フェルマー!!女狐の泥棒猫!よくも私のティアゴ様を」
「マドレーナ!」
全く聞く耳を持たない娘に頭を抱えながらもブランケンハイムと言う名の客人に頭を下げ続けるモーリア伯爵、父親として当然の行動と言えばそうなのだが少し気の毒になってくる
きっと今までもさぞかし苦労してきたのであろう…彼の光る頭皮がそれを語っている
「いえお嬢様も何やら切迫している様子です、私は日を改めますのでお話を聞いてあげてはいかがでしょうか?」
確かにこのままでは話にならないのでモーリア伯爵にとってもそれは有難い事であった
「…ブランケンハイム公爵、本当に申し訳ありません、後日正式に謝罪に向かわせて頂きます」
もう一度深々と頭を下げる伯爵、マドレーナにも謝罪させようとしたがやはり彼女は喚き続けるだけでそれは叶わなかった
「大丈夫ですよ、それよりもお嬢様の相談に乗ってあげて下さい」
そう言って退出した端正な顔立ちの紳士は何処かで見た事があるような気がするのだが、この状況でそれを気にするようなマドレーナではなかった
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