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4章 外の世界
04
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「グルルルーー」
炎の魔神は未だ健在。真紀はかろうじて回復したが、体力的に限界がきていた。最早、気力で何とか立てているのが現状。あんな口をたたいたが、エリザさんがトラップを設置し終えるまで、もつかあやしいところだ。しかも、問題は他にもある。例え、エリザさんがトラップを設置し終えても、それは奴の身動きを止めたに過ぎない。ケイティの能力は、相手が止まった時にしか発動できない。本来は魔神が身動きできない状態で、ケイティの能力を発動。抵抗できない数秒間にとどめをさす予定だった。相手が完全に止まって、動かず抵抗しない相手ならば、急所は狙える。その予定だった。しかし、ケイティは能力を既に使いダウンしている。他のマドセインもダウンして、現状打開は見込められない。
「やっぱり、無理なのか・・・・」
「グオォォーー!」
振りかざした隕石、厳密には魔神の拳が降ってきた。真紀はとっさに目をつむった。
・・・・・・・
「・・・・ん?」
真紀は目を開けた。すると、
ドン!
ドン!
ドン!
戦車による砲撃が魔神の顔面に直撃した。
「グオォォーーーー」
更に戦闘機からミサイルが発射され、魔神の体全体に被爆する。
「あれは米軍!?」
沢山の戦闘機に戦車が集結していた。そして、どこからかスピーカー音が聞こえた。
『我々アメリカ軍も参戦する。君らの援護しかできないが、君らの協力をさせてくれ』
「グオォォーー!」
無数の砲撃とミサイルを受け、雄叫びをあげる魔神。しかし、
「だけどそんなことしたら、あなた達が狙われれちゃう!」
『我々の心配はいらない。お願いだ。あの魔神を倒してくれ!』
すると、通信が入った。
「真紀!」
「エリザさん」
「お願いしましょう。私達はやるべきことをやり遂げなきゃいけません」
そうだ。このままでは沢山の人が死んでしまう。
「アメリカ軍が魔神を相手にしている間に私はトラップをなんとしても設置を終えます。だから、お願いします。アメリカを救うのに真紀の手で、あの魔神を、アメリカの悪夢を、終わらせて下さい」
「エリザさん・・・・」
真紀は拳を強く握る。
「分かりました。任せて下さい」
「お願いします」
ドン!
ドン!
ドン!
「攻撃の手をやめるな!なんとしても、あの魔神をこれ以上好き勝手にやらせるな!」
指揮官の怒鳴るような大声に、周りは更に戦意を高める。
さて、真紀はというと、ケイティのそばにより、なんとしても目を覚まし、もう一回だけ、もう一回だけ能力を使ってもらわなければならなかった。
「ケイティさん、ケイティさん起きて下さい。お願いします。ケイティさんの力が必要なんです。お願いだから目を開けて下さい、ケイティさん!」
ドン!
ドン!
ドン!
「グオォォーーーー!!」
魔神は、自身の炎を集め、空高く飛ばした。それは、数秒後に炎の雨となって米軍に襲いかかってきた。
「うわああぁぁーーーー!」
「隊長、第3から第8部隊がやられました」
「怪我人は急いで退避させろ。すぐにテントに運ぶんだ。退避は第13部隊が援護、救出せよ。
アイン、今ので何人やられた」
「すいません、あちこちで混乱が起き、詳しい報告ができません」
「バカもの。早く現状報告しろ」
「はいっ」
「しかし・・・やはり、被害は甚大だな。それよりまだなのか、あの子らは」
ドン!
ドン!
ドン!
《現在、15時28分》
「終わりました!」
遂に、トラップ設置を完了したエリザが両手で手を振った。
あとは、ケイティを起こし、奴にとどめをさす!
「ケイティさん、起きて下さい!あとは、ケイティさんの力が必要なんです。それで終わるんです。お願いします、起きて、目を覚ましてください!」
「うっ・・・・」
「あっ!ケイティさん!!」
「真紀ちゃん?」
「気がついたんですね」
「うっ、私もしかして気絶してた?」
「それよりお願いがあります。もう一度だけ、もう一度だけ能力をあの魔神に使って欲しいんです」
「えっ?」
「エリザさんがやってくれたんです。トラップは既に奴の四方に設置が終わり、奴はニューヨークどころかその場から動くことができません。あとはアイツを倒すだけなんです」
「嘘っ・・・・」
「ですから、後はアイツにとどめをさすだけなんです。でも、私も体力が限界で、だから抵抗してない一瞬が私には必要なんです。だから、お願いしますケイティさん!」
「分かりました。やってみます」
その言葉を聞いて、真紀には希望が見えた。
炎の魔神。アメリカの悪夢と言われた橙色の少女。あれが、少女と言えるかどうかもあやしい。いや、言えないだろう。あんなのが許されたら今後が絶望的だ。
突如、アメリカの田舎村に現れたそいつは、その時点で魔神だった。まさに急に炎がおき、そこから現れたのだ。田舎村を襲った奴は、村人全員を焼き殺した。生き残った者も、そこにあった家もなくなった。全てが失われた。
そもそも、『空のない世界』が消えた新時代以降、日本以外に色ありの少女が出現した例はどの国でもなく、この国も例外ではなかった。だから、あいつが現れた時はあれが色ありの少女だとは最初は誰も思わなかった。他の色ありの少女とも大きく違うし、そもそも少女じゃなかった。だが、奴は炎を操り色を放った。空一面に橙色を輝かせた。
奴は色ありの少女だった。
しかし、奴は田舎村を襲ってからその場から何故か動こうとしなかった。
こんな噂がある。色ありの少女はどうやって産まれたのか?実は色ありの少女は、もとは人間だったのではないのかと。それが、悪魔の代わりに現れたのが黒の王で、その王が人間の子供をそそのかし、魔女のような、能力を持った少女に姿を変えた。
もし、奴に人間の心が残っていたとしたら、嫌だったのかもしれない。これ以上人を襲うのを。だから、動こうとしなかった。奴は田舎村を襲った際に、燃えつきる家族の写真を見て、それ以降動かなくなった。
しかし、それをよしとしなかった黒の王は、奴を無理矢理動かしたのだ。奴は言葉が喋れないのではない。体は黒に操れても口はきけた。
奴の雄叫びは、雄叫びではなく嘆きの泣き声だった。
「はあっ!」
ケイティは、能力を発動。
「グルッ・・・・」
「ありがとう、ケイティさん」
真紀はそのまま奴にとどめをさした。
心臓部を破壊された魔神は、そのまま自身の炎の中に消えていった。
「やった・・・・」
真紀はそのまま倒れこんだ。他の米軍達は、皆魔神が倒されたことに、一斉に歓声をあげた。
「やったぞ!」
「よっしゃあぁ!」
「まだ歓声をあげるのは早いぞお前ら!早く少女らを、英雄を助けるんだ!」
「了解」
死傷者の数
田舎村・・・・・全員死亡。28名
アメリカ兵・・・死者、36名、重症、26名、軽症、13名。
魔神を倒した頃には既に日が落ち、魔神が残した炎だけが明るくその場を照らしていた。
奴は消え、その日の夜からは奴の雄叫びは、嘆きの声は聞こえない。
魔神を倒した真紀達は、アメリカ兵のもと病院まで搬送された。
魔神撃破は、アメリカ全土のみならず、世界各地で報道された。
以降、真紀達はアメリカの英雄と称えられることとなる。
一週間後
真紀達は、空港にいた。
「真紀ちゃんと別れるのはやっぱり、寂しいな」
「いっそのこと、アメリカに住んでみるというのはどうだ?」
「マドさんそんなこと言わないでくださいよ」
「ほら、ケイティにマドセイン。真紀を困らせちゃダメでしょ。真紀には日本にも待っているお友達がいるんだから」
エリザに叱られ、ケイティとマドセインは、くしゅんと小さくなった。
「あなた達ね、また会えるわよ。そうだ、なら今度は私達が真紀のいる日本にお邪魔するのはどうかしら」
「えっ?」
「あっ、それいいですね」
「流石はエリザ。名案だ。どうせなら、日本には沢山色ありの少女がいるんだろ?そいつら、うちらで倒そうぜ」
「えぇっ!?」
真紀の驚き顔に、皆は笑った。真紀は、からかわれているのか、本気で言ってるのか分からず、一人あたふたしていた。
「真紀ちゃん、絶対にいつか会おうね」
「うん」
「真紀、そろそろ時間だぞ」
「あ、本当だ」
マドセインに言われ、時計を見て時間を確認した真紀は、本当の別れを言う。
「ケイティさん、マドさん、エリザさん、私は皆さんと出会えて本当に良かったです。日本に帰ったら、早速皆さんに手紙を送りますね」
「真紀、今の時代に手紙はないだろ。別に本当の別れじゃない。エリザの言った通り、いつかはうちらも日本に行くさ。それまでの連絡はメールで構わんよ。てか、そっちの方が楽だろ。早く返事が返せるし」
「はははっ、そうですね」
「ほら、真紀。そろそろ時間ですから、行って下さい」
「はい。皆さん、それではさようなら」
「元気でな」
真紀は皆に見送られ、ゲートをくぐった。
しかし、真紀はその時忘れていた。自分が乗り物に弱く、アメリカに来た時の飛行機地獄を。
その日の真紀は、飛行機のトイレにこもった。
「お客様、座席について下さい」
「うっ、トイレにもシートベルトがあれば・・・・」
そして日本!
バタリ。真紀は空港で倒れた。
「えぇっ?どうしたの真紀ちゃん!」
「ふきちゃん・・・・迎えに来てくれたんだ」
「もしかして、乗り物酔い?」
「うん・・・」
「相変わらず真紀ちゃんは乗り物弱いね。でも、ここから女子寮までバスだよ」
「え・・・・」
真紀はその後も地獄をみることとなる。
4章 ・ 完
炎の魔神は未だ健在。真紀はかろうじて回復したが、体力的に限界がきていた。最早、気力で何とか立てているのが現状。あんな口をたたいたが、エリザさんがトラップを設置し終えるまで、もつかあやしいところだ。しかも、問題は他にもある。例え、エリザさんがトラップを設置し終えても、それは奴の身動きを止めたに過ぎない。ケイティの能力は、相手が止まった時にしか発動できない。本来は魔神が身動きできない状態で、ケイティの能力を発動。抵抗できない数秒間にとどめをさす予定だった。相手が完全に止まって、動かず抵抗しない相手ならば、急所は狙える。その予定だった。しかし、ケイティは能力を既に使いダウンしている。他のマドセインもダウンして、現状打開は見込められない。
「やっぱり、無理なのか・・・・」
「グオォォーー!」
振りかざした隕石、厳密には魔神の拳が降ってきた。真紀はとっさに目をつむった。
・・・・・・・
「・・・・ん?」
真紀は目を開けた。すると、
ドン!
ドン!
ドン!
戦車による砲撃が魔神の顔面に直撃した。
「グオォォーーーー」
更に戦闘機からミサイルが発射され、魔神の体全体に被爆する。
「あれは米軍!?」
沢山の戦闘機に戦車が集結していた。そして、どこからかスピーカー音が聞こえた。
『我々アメリカ軍も参戦する。君らの援護しかできないが、君らの協力をさせてくれ』
「グオォォーー!」
無数の砲撃とミサイルを受け、雄叫びをあげる魔神。しかし、
「だけどそんなことしたら、あなた達が狙われれちゃう!」
『我々の心配はいらない。お願いだ。あの魔神を倒してくれ!』
すると、通信が入った。
「真紀!」
「エリザさん」
「お願いしましょう。私達はやるべきことをやり遂げなきゃいけません」
そうだ。このままでは沢山の人が死んでしまう。
「アメリカ軍が魔神を相手にしている間に私はトラップをなんとしても設置を終えます。だから、お願いします。アメリカを救うのに真紀の手で、あの魔神を、アメリカの悪夢を、終わらせて下さい」
「エリザさん・・・・」
真紀は拳を強く握る。
「分かりました。任せて下さい」
「お願いします」
ドン!
ドン!
ドン!
「攻撃の手をやめるな!なんとしても、あの魔神をこれ以上好き勝手にやらせるな!」
指揮官の怒鳴るような大声に、周りは更に戦意を高める。
さて、真紀はというと、ケイティのそばにより、なんとしても目を覚まし、もう一回だけ、もう一回だけ能力を使ってもらわなければならなかった。
「ケイティさん、ケイティさん起きて下さい。お願いします。ケイティさんの力が必要なんです。お願いだから目を開けて下さい、ケイティさん!」
ドン!
ドン!
ドン!
「グオォォーーーー!!」
魔神は、自身の炎を集め、空高く飛ばした。それは、数秒後に炎の雨となって米軍に襲いかかってきた。
「うわああぁぁーーーー!」
「隊長、第3から第8部隊がやられました」
「怪我人は急いで退避させろ。すぐにテントに運ぶんだ。退避は第13部隊が援護、救出せよ。
アイン、今ので何人やられた」
「すいません、あちこちで混乱が起き、詳しい報告ができません」
「バカもの。早く現状報告しろ」
「はいっ」
「しかし・・・やはり、被害は甚大だな。それよりまだなのか、あの子らは」
ドン!
ドン!
ドン!
《現在、15時28分》
「終わりました!」
遂に、トラップ設置を完了したエリザが両手で手を振った。
あとは、ケイティを起こし、奴にとどめをさす!
「ケイティさん、起きて下さい!あとは、ケイティさんの力が必要なんです。それで終わるんです。お願いします、起きて、目を覚ましてください!」
「うっ・・・・」
「あっ!ケイティさん!!」
「真紀ちゃん?」
「気がついたんですね」
「うっ、私もしかして気絶してた?」
「それよりお願いがあります。もう一度だけ、もう一度だけ能力をあの魔神に使って欲しいんです」
「えっ?」
「エリザさんがやってくれたんです。トラップは既に奴の四方に設置が終わり、奴はニューヨークどころかその場から動くことができません。あとはアイツを倒すだけなんです」
「嘘っ・・・・」
「ですから、後はアイツにとどめをさすだけなんです。でも、私も体力が限界で、だから抵抗してない一瞬が私には必要なんです。だから、お願いしますケイティさん!」
「分かりました。やってみます」
その言葉を聞いて、真紀には希望が見えた。
炎の魔神。アメリカの悪夢と言われた橙色の少女。あれが、少女と言えるかどうかもあやしい。いや、言えないだろう。あんなのが許されたら今後が絶望的だ。
突如、アメリカの田舎村に現れたそいつは、その時点で魔神だった。まさに急に炎がおき、そこから現れたのだ。田舎村を襲った奴は、村人全員を焼き殺した。生き残った者も、そこにあった家もなくなった。全てが失われた。
そもそも、『空のない世界』が消えた新時代以降、日本以外に色ありの少女が出現した例はどの国でもなく、この国も例外ではなかった。だから、あいつが現れた時はあれが色ありの少女だとは最初は誰も思わなかった。他の色ありの少女とも大きく違うし、そもそも少女じゃなかった。だが、奴は炎を操り色を放った。空一面に橙色を輝かせた。
奴は色ありの少女だった。
しかし、奴は田舎村を襲ってからその場から何故か動こうとしなかった。
こんな噂がある。色ありの少女はどうやって産まれたのか?実は色ありの少女は、もとは人間だったのではないのかと。それが、悪魔の代わりに現れたのが黒の王で、その王が人間の子供をそそのかし、魔女のような、能力を持った少女に姿を変えた。
もし、奴に人間の心が残っていたとしたら、嫌だったのかもしれない。これ以上人を襲うのを。だから、動こうとしなかった。奴は田舎村を襲った際に、燃えつきる家族の写真を見て、それ以降動かなくなった。
しかし、それをよしとしなかった黒の王は、奴を無理矢理動かしたのだ。奴は言葉が喋れないのではない。体は黒に操れても口はきけた。
奴の雄叫びは、雄叫びではなく嘆きの泣き声だった。
「はあっ!」
ケイティは、能力を発動。
「グルッ・・・・」
「ありがとう、ケイティさん」
真紀はそのまま奴にとどめをさした。
心臓部を破壊された魔神は、そのまま自身の炎の中に消えていった。
「やった・・・・」
真紀はそのまま倒れこんだ。他の米軍達は、皆魔神が倒されたことに、一斉に歓声をあげた。
「やったぞ!」
「よっしゃあぁ!」
「まだ歓声をあげるのは早いぞお前ら!早く少女らを、英雄を助けるんだ!」
「了解」
死傷者の数
田舎村・・・・・全員死亡。28名
アメリカ兵・・・死者、36名、重症、26名、軽症、13名。
魔神を倒した頃には既に日が落ち、魔神が残した炎だけが明るくその場を照らしていた。
奴は消え、その日の夜からは奴の雄叫びは、嘆きの声は聞こえない。
魔神を倒した真紀達は、アメリカ兵のもと病院まで搬送された。
魔神撃破は、アメリカ全土のみならず、世界各地で報道された。
以降、真紀達はアメリカの英雄と称えられることとなる。
一週間後
真紀達は、空港にいた。
「真紀ちゃんと別れるのはやっぱり、寂しいな」
「いっそのこと、アメリカに住んでみるというのはどうだ?」
「マドさんそんなこと言わないでくださいよ」
「ほら、ケイティにマドセイン。真紀を困らせちゃダメでしょ。真紀には日本にも待っているお友達がいるんだから」
エリザに叱られ、ケイティとマドセインは、くしゅんと小さくなった。
「あなた達ね、また会えるわよ。そうだ、なら今度は私達が真紀のいる日本にお邪魔するのはどうかしら」
「えっ?」
「あっ、それいいですね」
「流石はエリザ。名案だ。どうせなら、日本には沢山色ありの少女がいるんだろ?そいつら、うちらで倒そうぜ」
「えぇっ!?」
真紀の驚き顔に、皆は笑った。真紀は、からかわれているのか、本気で言ってるのか分からず、一人あたふたしていた。
「真紀ちゃん、絶対にいつか会おうね」
「うん」
「真紀、そろそろ時間だぞ」
「あ、本当だ」
マドセインに言われ、時計を見て時間を確認した真紀は、本当の別れを言う。
「ケイティさん、マドさん、エリザさん、私は皆さんと出会えて本当に良かったです。日本に帰ったら、早速皆さんに手紙を送りますね」
「真紀、今の時代に手紙はないだろ。別に本当の別れじゃない。エリザの言った通り、いつかはうちらも日本に行くさ。それまでの連絡はメールで構わんよ。てか、そっちの方が楽だろ。早く返事が返せるし」
「はははっ、そうですね」
「ほら、真紀。そろそろ時間ですから、行って下さい」
「はい。皆さん、それではさようなら」
「元気でな」
真紀は皆に見送られ、ゲートをくぐった。
しかし、真紀はその時忘れていた。自分が乗り物に弱く、アメリカに来た時の飛行機地獄を。
その日の真紀は、飛行機のトイレにこもった。
「お客様、座席について下さい」
「うっ、トイレにもシートベルトがあれば・・・・」
そして日本!
バタリ。真紀は空港で倒れた。
「えぇっ?どうしたの真紀ちゃん!」
「ふきちゃん・・・・迎えに来てくれたんだ」
「もしかして、乗り物酔い?」
「うん・・・」
「相変わらず真紀ちゃんは乗り物弱いね。でも、ここから女子寮までバスだよ」
「え・・・・」
真紀はその後も地獄をみることとなる。
4章 ・ 完
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