ある独りの侯爵令嬢は精霊に愛される。

玲藍

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第三章 舞踏会編

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「お嬢様、髪飾りはどちらに致しますか?」

「そうね、あまり派手じゃない方がいいから、こっちの小花がたくさんあしらわれている方が良いわ。」
 
「お嬢様、首飾りはどれに致しますか?」

「お母様に貰った翡翠のネックレスがいいわ。」

 アンナがとても興奮気味で張り切っている。それもそのはず、今日は舞踏会。それもオスカー王子とのデビュタントです。
 私は、オスカー王子が10歳のお祝いとして婚約者候補として少し早いですが、一緒にデビューすることになっています。

「お嬢様、とてもお綺麗です。」

「ありがとう。アンナがいたからこんなに綺麗になったのよ。感謝しているわ。」

「いいえ、レミリア様は元から凄くお綺麗なのです。私は少し飾り付けしただけの事。オスカー様も見惚れてしまうでしょう。」

「っ、アンナ。そ、そうかしら。」

「そうですよ。胸を張ってくださいませ!お嬢様!」

「レミィ、支度出来たかしら?まあっ!よく似合っているわ。私のあげたネックレスも付けてくれてありがとう。嬉しいわ。」

「ありがとうございます、お母様。」

「さて、馬車も用意してあるわ。早速行きましょうか。」

「はい。お母様。」

馬車もいつもとは違う舞踏会用の少し装飾のされた馬車だった。

「大きい馬車ですね。」

「いつもとはドレスが違うのもあるけれど、貴族だからこその威厳を保つ為なのよ。」

「そうなのですね。」

「時間が無いわ。さあ、乗って。」

「はい。」

そう言って乗り込もうとアンナの手を借りて階段を登ろうとした時でした。

「お母様!!!」

 レディとは思えない大きな声が響き渡りました。
お母様はなんとも言えない表情で歩いてくるベロニカを見つめています。

「ベロニカ、どうしたの。なぜそんなに着飾っているのかしら。」

「お母様、今日は舞踏会と聞きましたわ。私も行くべきでしょう。」

「あなたはまだ舞踏会に行ける年齢では無いわ。それに今日はマナーの勉強を侍女長に見てもらうはずよね。なぜそんな格好をしているの。」

「年齢なんて関係ないですわ!レミリアお姉様よりベロニカの方が立派に舞踏会に出られます。」

「そういう問題ではないの!学園でも教えてくれていたはずよ。貴族は上に立つものとしてしきたりがある事を。あなたはなんの為に学園に通っているのですか!いい加減になさい。罰として私達が戻って来るまで部屋で大人しくしてなさい。」

「そ、そんな!レミリアお姉様だけずるいですわ!」

侍女達あなたたち早くベロニカを部屋に連れて行って頂戴。」

お母様は怒りと呆れが入り交じった声で告げ、侍女達に抑えられたベロニカは叫びながら私の事を睨んでいた。

「あの娘は一体何を学びに学園に行っているの…。」

「お母様…。」

「仕方が無いけれど後日、ベロニカに家庭教師を付けましょう。はあ、せっかくのレミィの舞踏会晴れ舞台だと言うのに気が重くなったわ。」

 はあ、とため息をつくお母様を励まし、王宮に着いた時にはお母様は侯爵夫人の顔をしていました。
 お父様はと言うと、仕事で王宮にいて舞踏会には参加出来ないらしいです。
 このあと私は、王宮の侍女に案内され少し広めの部屋へ通され、ここを休憩室として使って良いとの事でした。

「レミリア侯爵令嬢様、まだ時間もございます。なにかお飲み物などはいかがでしょうか。」

「ありがとう。でも大丈夫よ。案内してくれて助かりました。下がっていいわ。」

「それでは、失礼致します。何かありましたらお呼びくださいませ。」

そうして侍女が下がり、私とアンナだけが部屋に残り、やっと一息つけるとソファに腰掛けたのでした。

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