ある独りの侯爵令嬢は精霊に愛される。

玲藍

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第一章 幼少期編

19 イグニス

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アクアを訪ねる予定がレミリアの部屋に来てしまっていた俺は、小さな身体に少し大人びて育ったレミリアと久しぶりに再会した。精霊王はレミリアと会うことは禁止しては居なかったが自身は行かないとどこかで決めているらしい。

「突然来てビックリしたわ。連絡くらいしてくれてもよかったのよ?」

「そんな事をしたらお前はレミリアに会わせてくれないだろう?」

アクアはレミリアを溺愛しているからな。

「あら、バレてたのね。それにレミリアを護るのは私の役目よ。」

おいおい…。俺は敵じゃねぇぞ。

「俺からもレミリアを護るって言いたいのかよ。ひでえな。」

「ふふっ。そんな事よりイグニス、知らせもなしに来るなんて何かあったのかしら?」

なぜ最初に笑ったかは突っ込まないでおこう。あとが怖い。

「ああ、レミリアにかけた王の封印が解けかかっているらしい。」

「……そう。あと何年持つのかしら?」

「良く持って10歳までだろう。何かのきっかけがあればすぐに解ける。」

王…精霊王がかつてレミリアの魔力の大半を封印した事。それは俺達精霊の中でも四大精霊しか知らないこと。それだけの魔力を封印しても
こんなまだまだ小さいレミリアには重すぎる能力。

”精霊の愛し子”

能力の大半を封印しても尚強い力が残るこの能力は、国を…いや、世界をも滅ぼせる力がある。実際封印が解けたとしたらレミリア自身の負担も計り知れない。
封印した事で俺達と過ごした記憶は全て無くなっていて、戻るかも分からない。
この能力のせいでこの子は王族と婚約させられている。この国に囚われているレミリアが望めば俺たち精霊は全力を尽くして彼女を人間達から護るだろう。

「王は何故レミリアを森へ迎えないのかしら。レミリアは私達と暮らした方が幸せなのに。」

「王もレミリアの事を考えたのだろう。王はああ見えてもレミリアを溺愛しているし、レミリアが望んで森へ来るのならば笑顔で迎えると思うぞ。」

「そんなの分かっているわよ。でもレミリアの力は大半を封印しても普通の人間より遥かに魔力量が大き過ぎるわ!取り替え子チェンジリングするべきだったのよ!」

「アクア…それは掟に反するぞ。チェンジリングは王が禁止したのだ。」

「レミリアの能力は人間に悪用されるためにあるんじゃないわ。」

「この国の王妃や王は権力争いには使おうとはしていないと思うぞ。むしろ守ろうとしている。パーティーの時の王妃は自分の娘のように接していたと思う。」

マーガレット王妃はちゃんとレミリアを見定めていた。その結果はいいと言っていい。

「……なんか私が子供みたいだわ。イグニスの言っている事は理解しているしちゃんと納得しているけれど、私は我儘なのかしら。」

「我儘か。言い方を変えたら我儘なんだろうな。大切な我々の愛し子だからこそだろう。能力者とはそういうものさ。」

俺もレミリアには精霊の森へ来て欲しいと思っている。…だが俺達精霊のエゴはレミリアには毒になるかもしれない。
精霊王はレミリアに会いたい気持ちを押し殺して

「レミリアがこれからも元気に育っていくといいわ。」

「ああ。」












第1章 幼少期編 完
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