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第26話 バフ魔法
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パーティメンバーのバフも、ヒーラーとしての重要な役割だ。
とはいっても攻撃力をあげる系の魔法は主に攻撃魔術師とかアタックスペラーとか呼ばれる人たちの領域で、俺みたいなヒーラーのバフ魔法は防御に役に立つものが多い。
たとえば防御力をあげたり、魔法防御力をあげたり、永続的にすこしずつ体力を回復させる魔法なんてのもある。
それぞれパーティメンバーの特性を理解し、最も効果的で必要とされるバフ魔法をタイミングよく詠唱できるかどうかが優秀なヒーラーかどうかの分かれ目でもある。
だけど、今現在、ひとつ問題があった。
ミャロと俺は出会ってから日もたっていないし、戦闘をともにしたのなんてほんの二回、それもコボルドとスライム相手だ。
正直、お互いにの特性をよく理解しているとはいいがたい。
いまこのタイミングでミャロにバフ魔法をかけるとして、どの魔法が一番有効なのか?
まあ聞いちゃえばいいか。
「おい、ミャロ、今ほしいバフ魔法、なにかあるか?」
「にゃにゃ? わかんないにゃですよ、今までバフ魔法なんてかけてもらったことないし、お姉ちゃんも魔法なんて知らなかったし」
まあそりゃそうか、モンスターであるミャロは同じくワーキャットの姉と一緒に行動していたらしいし、その姉が魔法を使えないのであれば本人にもわからんだろう。
俺は考えをめぐらす。
だいたい、こういうとき、人間ってのは弱点を補う方向に行っても効果的ではない。
なぜなら、すごく弱点を魔法で補っても、それはすごく弱点がまあまあ弱点に変わるだけで劇的に戦況を変化させないのだ。
ウィークポイントをつぶすよりも、強みを生かした方がいい。
強い部分をさらに強くする、それが状況を突破する方法だ。
だから。
俺は詠唱をはじめた。
まあタトゥーのおかげで詠唱時間なんてほんの0.5秒だけどな。
「シナウナン エスピリトゥ ウング マガ サリタ、イパグカルーブ アング ウノス サ アキング マガ パア! ルミパド サ ハンギン アト マグビヒス ニグ リワナグ!」
そしてポカンとした顔のミャロを指さし、叫ぶ。
「疾走《マビリス》‼」
瞬間、ミャロの全身を青い光が覆った。
レッドドラゴンはもう一度ブレスを吐こうと、
「コォォォォォォォォォ……」
と口から空気を取り込んでいる、。
そして、すべてを焼き尽くすはずの業火が、俺たちを襲った。
「ハンギン、マギン クツィリョ カ ウパン プトゥリン アング アキング マガ カアウェイ、ドゥルギン アット パタイン シラ!」
俺はわずかの間に呪文の詠唱を終えると、その炎に向かって魔法障壁越しに魔法を発動した。
「空刃《ハンギンカッター》‼」
俺の手の平から放出された空気の刃はいつもよりも大きく、そしてパワフルに回転し、炎のブレスを真っ二つに割っていく。
弱まった炎は俺の魔法障壁を壊すこともできずにあっさり霧散した。
そこに。
ミャロが地面を蹴ってレッドドラゴンに長い爪で斬りこんでいった。
パゥン! と空気が破れる音。
ミャロのスピードが音速を超えた証だ。
そう、俺がミャロにかけたバフ魔法こそ、スピードを増す補助魔法。
ミャロを吸ってパワーアップした俺の力でミャロを強化するとか、なんだか永久機関みたいだが。
〈すげえ。はええ〉
〈嘘だろはやすぎ〉
〈っていうか空刃の魔法でレッドドラゴンのブレスを割るとか普通不可能だろw〉
〈待て待て待て待て相手レッドドラゴンなんだよな?〉
〈ワーキャット速すぎない?〉
コメント欄も度肝を抜かれているが、さすがにそれを見る余裕は今の俺にはなかった。
とはいっても攻撃力をあげる系の魔法は主に攻撃魔術師とかアタックスペラーとか呼ばれる人たちの領域で、俺みたいなヒーラーのバフ魔法は防御に役に立つものが多い。
たとえば防御力をあげたり、魔法防御力をあげたり、永続的にすこしずつ体力を回復させる魔法なんてのもある。
それぞれパーティメンバーの特性を理解し、最も効果的で必要とされるバフ魔法をタイミングよく詠唱できるかどうかが優秀なヒーラーかどうかの分かれ目でもある。
だけど、今現在、ひとつ問題があった。
ミャロと俺は出会ってから日もたっていないし、戦闘をともにしたのなんてほんの二回、それもコボルドとスライム相手だ。
正直、お互いにの特性をよく理解しているとはいいがたい。
いまこのタイミングでミャロにバフ魔法をかけるとして、どの魔法が一番有効なのか?
まあ聞いちゃえばいいか。
「おい、ミャロ、今ほしいバフ魔法、なにかあるか?」
「にゃにゃ? わかんないにゃですよ、今までバフ魔法なんてかけてもらったことないし、お姉ちゃんも魔法なんて知らなかったし」
まあそりゃそうか、モンスターであるミャロは同じくワーキャットの姉と一緒に行動していたらしいし、その姉が魔法を使えないのであれば本人にもわからんだろう。
俺は考えをめぐらす。
だいたい、こういうとき、人間ってのは弱点を補う方向に行っても効果的ではない。
なぜなら、すごく弱点を魔法で補っても、それはすごく弱点がまあまあ弱点に変わるだけで劇的に戦況を変化させないのだ。
ウィークポイントをつぶすよりも、強みを生かした方がいい。
強い部分をさらに強くする、それが状況を突破する方法だ。
だから。
俺は詠唱をはじめた。
まあタトゥーのおかげで詠唱時間なんてほんの0.5秒だけどな。
「シナウナン エスピリトゥ ウング マガ サリタ、イパグカルーブ アング ウノス サ アキング マガ パア! ルミパド サ ハンギン アト マグビヒス ニグ リワナグ!」
そしてポカンとした顔のミャロを指さし、叫ぶ。
「疾走《マビリス》‼」
瞬間、ミャロの全身を青い光が覆った。
レッドドラゴンはもう一度ブレスを吐こうと、
「コォォォォォォォォォ……」
と口から空気を取り込んでいる、。
そして、すべてを焼き尽くすはずの業火が、俺たちを襲った。
「ハンギン、マギン クツィリョ カ ウパン プトゥリン アング アキング マガ カアウェイ、ドゥルギン アット パタイン シラ!」
俺はわずかの間に呪文の詠唱を終えると、その炎に向かって魔法障壁越しに魔法を発動した。
「空刃《ハンギンカッター》‼」
俺の手の平から放出された空気の刃はいつもよりも大きく、そしてパワフルに回転し、炎のブレスを真っ二つに割っていく。
弱まった炎は俺の魔法障壁を壊すこともできずにあっさり霧散した。
そこに。
ミャロが地面を蹴ってレッドドラゴンに長い爪で斬りこんでいった。
パゥン! と空気が破れる音。
ミャロのスピードが音速を超えた証だ。
そう、俺がミャロにかけたバフ魔法こそ、スピードを増す補助魔法。
ミャロを吸ってパワーアップした俺の力でミャロを強化するとか、なんだか永久機関みたいだが。
〈すげえ。はええ〉
〈嘘だろはやすぎ〉
〈っていうか空刃の魔法でレッドドラゴンのブレスを割るとか普通不可能だろw〉
〈待て待て待て待て相手レッドドラゴンなんだよな?〉
〈ワーキャット速すぎない?〉
コメント欄も度肝を抜かれているが、さすがにそれを見る余裕は今の俺にはなかった。
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