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第33話 絵面がおもしろすぎる

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 俺の身体は抱えていたミャロごとふっとばされ、ごろごろと地面に転がった。
 くそ痛え。
 もうもうと黒煙が上がる中、俺はなんとか上体を起こす。
 額に何か液体が流れているのを感じた。
 血だろう、どこか頭を打ったのだと思う。
 しかし、この程度ですんだのは防御魔法の効果だ。
 ふつうだったら今頃爆発四散して肉片になっていたかもしれない。
 と、そんな俺の眼の前に、何かがコロコロと転がってきた。
 くそ、手榴弾だ、追い打ちかよ!

「防護障壁《バリアー》‼️」

 もう何回この魔法を唱えたことか。
 ミャロを吸ったことによる魔力増強のおかげで俺の命が助かっているようなもんだ。
 ボンッ!
 という手榴弾の爆発にもなんとか耐える。
 爆発によってあたりは濃い煙でいっぱいになっている。
 これだけで一酸化炭素中毒で死んじゃいそうだ。

 さすがの俺も、だんだんムカムカしてきた。
 殺意高すぎだろ、こっちはただの二十代の一般人の男だぞ、合法的にダンジョン探索していただけだってのになんでこんな目に合わなきゃならんのだ?
 銃とか対戦車ミサイルとか地雷とか手榴弾とかさー。
 探索者とはいえ、そういう軍事技術とは一切関わりなく生きてきたし、これからもそうしたいっていうのにさー。

 オオカミの空とかいうテロ組織の理想なんて知るか、こっちはなー。
 パーティ追放されるわ借金一括返済しなきゃだわでこんなのに巻き込まれてる暇はねーんだよ!
 あーほんと腹がたってきた。
 こっちだってやられたらやり返しやりたいっつー感情もあるんだよ!

「おい、ミャロ、大丈夫か?」
「みゃあ」

 子猫が返事をする。

「よし、俺もめっちゃ怒ってるぞ、二人であいつらを……やっちまおう」
「にゃ」
「まず、吸わせろ」

 そして俺は、作戦をミャロに伝えたのだった。

〈さすがに死んだだろ〉
〈煙でグロの瞬間が見れなかった〉
〈っていうか今同接エグくないか〉
〈60万人くらい〉
〈リアルタイムで魔法vs現代軍事兵器が見られるんだからそりゃそうだろ〉
〈世界史上初だもんな〉
〈結局地雷でやられたのか・・・?〉
〈現代兵器の勝ちか〉
〈煙がはれてきたな、ダンジョン内って換気いいんだな〉
〈ダンジョンによるけどけっこう空気の流れがあるらしいから〉
〈お、見えてきた〉
〈粉々になってるかな?〉
〈俺は主に頑張ってほしかったけどな〉
〈ミャロもかわいかったしな〉
〈あのワーキャットになら抱かれてもよかったのに〉
〈違法やぞw〉
〈私はコーキ君に抱かれたい、すごくかっこいい〉
〈そのコーキ君はもう死んだかも……〉
〈あ、見えた〉
〈生きてるじゃんすげー!〉
〈うおおおおお!〉
〈やべえ、主の魔法すごすぎる、兵器がなにも効かないじゃん〉
〈二人ともピンピンしてるな、兵器が通用しないなら、主以外はスキルも使えないんだし主が最強だろこれ〉
〈待って、ワーキャットが主をおんぶしてるぞ草〉
〈なにこれ〉
〈何するつもり〉
〈シリアスな戦闘してるはずなのに、猫を顔に張り付けたり猫におんぶしてもらったりでこの主いつも絵面がおもしろすぎるw〉
〈え、これリアル戦闘だよな? どんな顔してみればいいんだこんなのw〉

 そう、俺は人化したミャロにおんぶしてもらっていた。
 中学生くらいの女の子に、大人の男がおんぶされているのだ、確かにシュールな光景ではある。
 ま、ミャロはどうこう言ってもモンスターなので、人間一人をかつぐくらいはわけない。
 お姫様抱っこ案もあったけどさすがにかっこ悪いのでこっちにした。
 もっというと肩車案もあったけどさすがになんかおかしいのでやめた。
 それに、おんぶだと、ミャロの猫耳がピョコピョコしている黒髪に鼻をうずめてひたすら吸い続けることができるしな。
 お。人化したミャロってつむじが二つあるんだな。
 いやそんなことはどうでもいい。

「ミャロ、行けっ!」
「はいにゃですよっ!」

 俺の速度向上の魔法を受けたミャロは、俺をおんぶしたまま床を蹴って走り出し、そして加速していった。
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