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第一章

episode3「能力覚醒」

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目が覚めた
起きて周りを見渡すと、昨日見た自分の個室の景色が目に入った
夢だったら嬉しかったのだが、どうやら夢じゃないらしい
「やっぱり、異世界に入ったんだろうか・・・」
そんな事を思っていると、コンコンとノックが聞こえた
鍵を開けるとそこには、隣の部屋に自分の個室がある男

影山薫がいた

影山「おはよ~、将吾くん
昨日は眠れたぁ?」
昨日あったばっかで馴れ馴れしい気もするが、一応挨拶は大事だ
「あ、あぁ・・・おはよございます」
影山「あらあら、別に敬語使わなくてもいいのよ?
私こう見えても20歳だし
・・・・ん?あ、やっと起きたわね」
そう言い振り返る影山の後ろに、薬丸直子がいた

薬丸「ファァァ・・・・おはよ~」
影山「『おはよ~』じゃないわよもう
あなたも戦闘班の1人なんだからしっかりしないと」
薬丸「はいはい、薫はお母さんみたいだなぁ・・・」
影山「正確には『お父さん』だけどね」
フフッと、そんな会話にふと笑みがこぼれる
影山「ちょっと、今笑ったでしょ?」
「す、すみません・・・」
影山「あぁ、ごめん怒ってないから
とりあえず、食事した後に他の班のことも紹介したいけど、いいかしら?」
「あぁ、ハイ」
そんなことがありつつも、食事を済ませた

各班の事を一通り見て回った
まずは「調査班」
ウェポンマスター達が、犯罪に手を染めてないかを監視している
大きなモニターの他に、小さいモニターたくさんある
これで監視されてると思うと、ゾクゾクしてたまらない

しかし、管理班でもよくわからない場所も多いため、調査する係りもいるそうな
調査が終わると、戦闘班に報告を行い、この班へと戻ってくる
そして、次の場所に目星を付け向かうそうな
ある程度の戦闘は出来るが、せいぜい1分もつかどうかの戦闘力だそうだ

次に「医療班」
ウェポンマスター達や、普通の人の傷や体調管理を行っている
なぜか、美人の女性が多く理由を聞いたら
女性は器用な人が多いため、多少の傷程度なら数秒で治せる
また、女性の方が話しかけやすかったり
好みの女性目当てにくる人がいるからだそうな
我ながら最後は、下心満載な理由だった・・・・

最後に「研究班」
新しいウェポンの生成や、適合者の研究を行っている
ウェポンマスターが大半とは言え、ウェポンを使いたい人が多いため
最近出来上がった班らしい

しかし、適合者でないと能力を上手く扱えない上に
最悪の場合、暴走したり死亡したりするため
その人あったウェポンを日々研究したり、適合者かどうかを判断するのだそう

出来上がった能力は「サンプル」と呼ばれる
小型の注射器のようなものに保管されており
針を刺して、押す部分を押して注入すると
サンプルが体の中に行き渡り、数秒経つと能力を扱えるようになる

影山「これがそのサンプルの1つよ」
手に取ってみると名前が書いてあり『クラフト・ブレード』
と書かれていた
薬丸「いい?何があっても、体に打ち込んだらダメよ?
適合者以前に保護されてるからね?」
「分かりました」
実際自分でもどうなるのかわからないから、試したくはなかった
一通り見回って、自分の個室に帰ろうとしてたとき
「もういい加減にしてくれ!」と大きな声が聞こえた

振り向くと1りの研究員が、サンプルを持っていた
研究長「や、やめなさい山本君!今すぐそのサンプルを離すんだ!」
山本「うるさい!いっつもいっつも研究研究って・・・!
俺だって戦闘班に入りたかったんだ!
なのに適合者じゃないって・・・・・もう、使うしかないんだよ!」
そういい、サンプルを注入した

すると・・・・

突然苦しみ始めたと思ったら、体に電流を纏い始めた
山本「う、うぉぉおおおおおおお!!!」
雄叫びを上げ、体全体に電流が流れ始めたが、様子が変だった
そう、適合者でなかったため、暴走し始めているのだ!
影山「まずいわねッ・・・・直子!みんなを安全な場所に!」
そう言うと、服の内ポケットからナイフを取り出し、戦闘の構えをとった

山本は電流を影山に当てたが、上手く避けられてしまう
しかし、電流が体に流れてるため近づけなかった
すると、影山は自分の影から分身をだし、攻撃を仕掛けた
だが、電流のせいで攻撃がフィードバックされてしまう
動きを止めようとしても、電流が邪魔で止めれない
影山「クッ・・・・ダメね・・・!
私の『シャドウ・ウォーカー』がここまで押されてるなんてね・・・・」
彼の能力名なのだろうか?そうつぶやいた

そんな事をしてるうちに、山本が1つのサンプルを見つける
そう俺が触った『クラフト・ブレード』だ
山本は暴走しているため、自我を忘れており、それを拾おうとした
やばい!打ち込むつもりだ!
自分もろともここにいる人間が死んでしまう!
そう思い俺は、そのサンプルへと走り出した
薬丸「あっ・・・!ちょっとあなた!」
制止を振り切り、間一髪で拾い上げたが、山本の拳が飛びかかってきた
俺はとっさにそのサンプルを右腕に打ち込んでしまった

すると、突然体が光り始めた
「な、なんだ・・・・?」
白い光が視界を遮るが、自分の右手に違和感がある
何か、棒のような物を手にしているような、そんな感じだった
しばらくすると、俺は衝撃的なことに気がついた

なんと、いつの間にか右腕が剣を握っていたのだった!
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