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第一章

episode4「クラフト・ブレード」

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俺は自分の状態に驚きを隠せなかった
特に武器になるものがあったわけじゃないのに、剣を持っていた
それは西洋の剣で、どこにでもある剣だった
「え・・・・え、えええええ!!!
な、ななな、何なんだよこれは・・・・・?
俺、どうなったんだ・・・・!?」
影山「そんな、馬鹿な・・・・
まさか彼は、『適合者』だって言うの・・・・?」
「と、とりあえず、みんなを守らないと・・・!」

そういい、剣を構えた
山本研究員も驚いていたが、俺が戦闘体制に入ると構えをとった
切りかかろうとした時、電撃が飛び込んできたが、いとも簡単に回避できた
そして、縦斬りをお見舞いした

山本「ぐおぉ!?・・・・・中々の強さ、じゃないか・・・・
だが・・・・これならどうだ!」
その言葉の後に、電流を丸めて発射した
とっさに剣で防御したが、壊れてしまった
「剣がッ・・・・!?」
まずい、一気に追い詰められてしまう
武器がないと戦えない・・・・・そう思っていた

しかし、妙に右手が光っていた
不思議に思っているが次の瞬間

剣がまた出てきたのだ!
いや、この場合は「剣が再構築」されたってのが正しいのか?
とりあえずよくわからないが、これで戦闘が続けられる

山本の攻撃をかわしながら攻撃していく
次第に向こうも、だんだん弱り始めていた
これはチャンスと思い、集中し始める
すると、剣が光を帯びだした!

実のところ俺は、元の世界で時々ゲームキャラの真似をする「痛い奴」だった
この動作もその1つであり、ぶっちゃけると対して意味ない行動だった
が、なぜか反応してこんなことになった
だが、これで何とかできる
俺は山本研究員に向かって、横払いをお見舞いした

山本「ぐ、ぐわああああああああ!
お、俺が・・・・・負けるなんてぇええええええ!?」
彼は意識を失い、電流を帯びなくなった
俺は「ヤベェ・・・殺した・・・・・」と思ったが
どうやら息はしているようで、少しだけ安心した
しかし、なぜだろう・・・・?体がやけに重たい・・・・?
だんだん視界がぼやけてきた・・・・・
そして俺は、そのままその場で倒れてしまった

・・・気が付くと白い部屋のベットに寝ていた
どうやら医療班の個室らしい
起き上がろうとすると、右腕に異様な熱さを感じた
服の裾をめくってみると、紋章のようなものがあった
戸惑っていると、コンコンっと扉から音が聞こえた
入ってきたのは薬丸直子だった

薬丸「・・・・・」
「お、おはよう・・・・」
すると突然ビンタを食らった
躊躇していたのかあまり手馴れてないのか、痛みはそこまでなかった
「いった・・・・・あれそこまで・・・?」
しかしビンタされたあと、目に涙を浮かべ、なんと

俺に抱きついてきた!
女性にこんなことされてなかったため
内心嬉しさと驚きを隠せなかった
「え・・・あ、あの・・・・?」
薬丸「ほんっっっとにもう!私すっごく心配したんだからね!」
「ご、ごめん・・・・なさい・・・・」
しばらく俺の胸の中で泣いていたら、またノックが聞こえた
今度は影山薫が入ってきた

影山「目覚めた・・・?調子はどう?」
「はい、なんとか・・・・」
影山「そう、それなら良かったわ・・・・」
・・・・自分のせいなのだが、なんていうか気まずい・・・・
「あの・・・すみません、勝手にサンプル使ってしまって・・・」
影山「・・・・そのことで会長からお話があるわ
準備できたら、大本部に来てちょうだい
あと直子、いい加減離れたら?」
そう言われた薬丸は「ハッ!」っと気づいたあと
そさくさと離れていき、影山の後に続いた
「やっちまったなぁ・・・・・」
今更だが、自分の行いに罪悪感を感じた

大本部につき扉を開ける
そこには会長と影山と薬丸がいた
山元川「おぉ来たかね剣山くん」
「あの、すみません、こんなことになっちゃって・・・・」
山元川「いやいや、気にする必要はない
私も驚いているのだからね・・・さて、本題に入ろうか」
完全にやばい状況だ
額から脂汗が流れ、口の中が異様に乾く
山元川「君の今回の件についての処遇なのだが・・・・・・


君を戦闘班に所属させる事に決めたよ」
・・・・え?今なんって言った?
俺罰を受けるんじゃないのか・・・・?
山元川「ハハハ、そういう反応をすると思ってたよ
いやなに、君はどうやら『適合者』だったようだ
あのウェポン『クラフト・ブレード』は、今まで適合者がいなかった
というのも、制御することが難しかったのだ
正直あれは、廃品として処理する予定だったのだが
まさか君がうまく扱えるとは思わなんだ・・・・
するとだね
『彼はウェポンマスターの資格があります
戦闘班に所属させてあげてください
責任は私が負います』と言い出してね
私が許可を出したんだ
あ、もちろん責任を負わせることはしなかったけどね」
「つまり俺は・・・・・『ウェポンマスター』ってことですか?」
山元川「うむ、そういうことだ
言っただろ?私は君を罪に捉えることはしないとね
影山くんに感謝するのだぞ?ハハハ」

なんてことだ・・・・・
俺はウェポンマスターになってしまった・・・
おまけに戦闘班に配属された・・・・・
しかし、こんな展開はまだ序の口だった
後に俺は様々な人と出会い、この世界を救うヒーローになるとは
この時はまだ、知る由もなかったのだった・・・・
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