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第1章 都会抗争
第3話 鬼の能力
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都内某所。薄暗い路地が複雑に交差した先にあるハーフドワーフの工房。そこでは熾烈極まる激闘が繰り広げられていた。
「うらぁ!」
カウンター側に立つ悠史はナイフを一本投擲する。
ナイフは空気を切り裂き、見事に魔粘種の脳天に突き刺さるが魔粘種の動きは止まらない。
「はっ、俺に物理攻撃は効かねぇよ。俺の体は金属ですら溶かせるしな」
「魔粘種殺すのにはコツがいるんだよ。コア壊さねぇと死なねぇし。そのコアは移動させられると来た。」
「鬼の混血種みてぇな雑魚に純血の俺が負けるわけねぇんだよ」
「おーい、悠史!あったぞ!」
「流石ドワーフ仕事が早い」
鉄男は真っ赤に燃え上がるような短剣を悠史に向かって投げるとそそくさと工房の地下へその身を隠す。
「おい、シオン。ボサッとしてねぇでさっさとこっち来い!」
「?まだデータの検証が終わってない。」
「いいから!死にたくなきゃさっさと来い!」
「…了解。」
弾丸が悠史に向かって飛ぶ。悠史は半身をずらし全てかわすとナイフを構えた。
「いいねぇ。いい仕事だ。さて、魔粘種。これから死ぬがいいよな?」
「抜かせ。クソガキ。だが、そろそろ同じ事の繰り返しで飽きてきたところだ。決着を付けてやる!」
「あーあ。おい、シオン防御装備ってあるのか?」
「…ある。」
「そいつはどのくらい耐えられる?」
「…計算上では人間の水爆程度なら守りきれる」
「……。念のためだ。展開しておいてくれ。」
「……?了解。」
「あぁ、この感じ。久しぶりだ。お前、誇っていいぞ?有名人を屠り続けた殺し屋の刃で殺されるんだからなぁ」
悠史の周りの空気が変わる。悠史の角がメキメキと伸び、淡い紫色の光を放つ。
「第2ラウンドといこうじゃねえか」
「なったかが角1本伸びただけじゃねぇッかはっ」
魔粘種の言葉は途中で掻き消え、腕や足などの人型部品が四散する。
本来なら即時に接合するそれらは接合することなく地に落ち、干からびていく。
「なっ」
気づけば魔粘種は頭だけになっており、あまりの状況の変化に適応できずにいた。
「……。質問。今のは何?」
鉄男とともに地下室で様子を見ていたシオンもまた、状況が理解出来ずにいた。
「なぁシオン。お前の種族は何だ?」
「……機凱種。」
「俺は?」
「半地精種」
「じゃあ悠史は?」
「……鬼神属。」
「そう、俺達は種。あいつは属。」
「……それが何?」
「俺達は種として後からこの地球とやらに来たんだよ。だが、あいつら属持ちは違う。元々この地球にいた。と言うか奴らの始祖は人間に憑依する精神体だったんだよ。」
「……。精神体…?」
「そう。強さの比で言うなら奴らは俺達が束になったって勝てねぇ。属持ちを殺すには属持ちを当ててようやくって代物だ。」
「……。それだと誰も勝てない。」
「まぁ最強を誇った属持ちも半世紀経てば血が薄れて今じゃ何人かに一人くらいしか発現しない。」
「……。!急速な魔力を検知。」
「防御装備はどうなってる?」
「あと2秒で展開完了。」
「ぐっ…くそ…その力…どうやって魔力を補ってやがる………。」
「どうした?その汚ねえ首の下を生やしてさっさと戦えよ。もう終わりか?テメェらのご自慢の酸はどうした?さっきまでの威勢はどうした?」
「はっ…化け物め…テメェの情報はもう送った。俺はきちんと役目を果たさせてもらった。お前の負けだ。」
「…化け物…ねぇ。ならお前はなんだよ」
「俺は…魔粘種さ…悪いスライムじゃねぇんだぜ?」
「じゃあな。来世に期待しな。」
「へっ…これでも食らえ化け物。」
パリンと音を立て、薄汚い窓が弾けた。そして、悠史の足元に丸い何かが転がってきた。
『ズドン』
爆発したのは魔粘種の体液が入った爆弾だった。爆風に乗って強酸性の液体がばら蒔かれ、周囲にあるものを無造作に溶かしていく。
爆心地の煙が晴れるにつれ、魔粘種は口元を緩める。
魔粘種の最終手段。自己分裂と粘爆弾。
実はこの工房に入る前に隠しておいた粘爆弾柄あるとはつゆ知らず。鬼は至近距離でそれを食らった。まともに生きていられるはずが…ない。
「いってて…。」
「なっ」
煙が晴れた所には床や様々なものが溶け、異臭を放っている。
「何故…なぜ生きている。」
「鬼ってのは案外頑丈なんだよ。」
赤いナイフが魔粘種の右目をくり抜き、突き刺さる。 ガラスが割るような音が響くと、魔粘種の体は地理となって言った。
「お…終わった…。」
その一言がトリガーとなり、辺り一面に爆発と暴風が吹き荒れる。その威力は凄まじく、先ほどの酸で弱くなっていた所から順に崩壊していった。
「なっ何…これ…。」
防御装備を展開し、周辺の力場を手中に収めていたはずのシオンもこれには苦労していた。
「これが代償って奴さ。属の力もやたらと使えば世界を壊しちまう。」
「……これは…魔力嵐……。」
「そう、鬼自ら魔力を作れないからな。角を使って周囲からかき集めなきゃならねぇ。そして、属の力は魔力をバカ食いする。そんなもんを急に停止させてみろ。集めた魔力は行き場を失い溢れて嵐となる。それが今だ。」
「……納得。」
その後も嵐は吹き荒れ、『工房』のほぼ全てを破壊し尽くした。
瓦礫の中から疲れ果て眠りこけている鬼を掘り出した鉄男の憎しみが満ちた表情は機械の体であるシオンですら慄いたという。
この事件を皮切りに各地で反ハーフ運動が激化することとなった。
「うらぁ!」
カウンター側に立つ悠史はナイフを一本投擲する。
ナイフは空気を切り裂き、見事に魔粘種の脳天に突き刺さるが魔粘種の動きは止まらない。
「はっ、俺に物理攻撃は効かねぇよ。俺の体は金属ですら溶かせるしな」
「魔粘種殺すのにはコツがいるんだよ。コア壊さねぇと死なねぇし。そのコアは移動させられると来た。」
「鬼の混血種みてぇな雑魚に純血の俺が負けるわけねぇんだよ」
「おーい、悠史!あったぞ!」
「流石ドワーフ仕事が早い」
鉄男は真っ赤に燃え上がるような短剣を悠史に向かって投げるとそそくさと工房の地下へその身を隠す。
「おい、シオン。ボサッとしてねぇでさっさとこっち来い!」
「?まだデータの検証が終わってない。」
「いいから!死にたくなきゃさっさと来い!」
「…了解。」
弾丸が悠史に向かって飛ぶ。悠史は半身をずらし全てかわすとナイフを構えた。
「いいねぇ。いい仕事だ。さて、魔粘種。これから死ぬがいいよな?」
「抜かせ。クソガキ。だが、そろそろ同じ事の繰り返しで飽きてきたところだ。決着を付けてやる!」
「あーあ。おい、シオン防御装備ってあるのか?」
「…ある。」
「そいつはどのくらい耐えられる?」
「…計算上では人間の水爆程度なら守りきれる」
「……。念のためだ。展開しておいてくれ。」
「……?了解。」
「あぁ、この感じ。久しぶりだ。お前、誇っていいぞ?有名人を屠り続けた殺し屋の刃で殺されるんだからなぁ」
悠史の周りの空気が変わる。悠史の角がメキメキと伸び、淡い紫色の光を放つ。
「第2ラウンドといこうじゃねえか」
「なったかが角1本伸びただけじゃねぇッかはっ」
魔粘種の言葉は途中で掻き消え、腕や足などの人型部品が四散する。
本来なら即時に接合するそれらは接合することなく地に落ち、干からびていく。
「なっ」
気づけば魔粘種は頭だけになっており、あまりの状況の変化に適応できずにいた。
「……。質問。今のは何?」
鉄男とともに地下室で様子を見ていたシオンもまた、状況が理解出来ずにいた。
「なぁシオン。お前の種族は何だ?」
「……機凱種。」
「俺は?」
「半地精種」
「じゃあ悠史は?」
「……鬼神属。」
「そう、俺達は種。あいつは属。」
「……それが何?」
「俺達は種として後からこの地球とやらに来たんだよ。だが、あいつら属持ちは違う。元々この地球にいた。と言うか奴らの始祖は人間に憑依する精神体だったんだよ。」
「……。精神体…?」
「そう。強さの比で言うなら奴らは俺達が束になったって勝てねぇ。属持ちを殺すには属持ちを当ててようやくって代物だ。」
「……。それだと誰も勝てない。」
「まぁ最強を誇った属持ちも半世紀経てば血が薄れて今じゃ何人かに一人くらいしか発現しない。」
「……。!急速な魔力を検知。」
「防御装備はどうなってる?」
「あと2秒で展開完了。」
「ぐっ…くそ…その力…どうやって魔力を補ってやがる………。」
「どうした?その汚ねえ首の下を生やしてさっさと戦えよ。もう終わりか?テメェらのご自慢の酸はどうした?さっきまでの威勢はどうした?」
「はっ…化け物め…テメェの情報はもう送った。俺はきちんと役目を果たさせてもらった。お前の負けだ。」
「…化け物…ねぇ。ならお前はなんだよ」
「俺は…魔粘種さ…悪いスライムじゃねぇんだぜ?」
「じゃあな。来世に期待しな。」
「へっ…これでも食らえ化け物。」
パリンと音を立て、薄汚い窓が弾けた。そして、悠史の足元に丸い何かが転がってきた。
『ズドン』
爆発したのは魔粘種の体液が入った爆弾だった。爆風に乗って強酸性の液体がばら蒔かれ、周囲にあるものを無造作に溶かしていく。
爆心地の煙が晴れるにつれ、魔粘種は口元を緩める。
魔粘種の最終手段。自己分裂と粘爆弾。
実はこの工房に入る前に隠しておいた粘爆弾柄あるとはつゆ知らず。鬼は至近距離でそれを食らった。まともに生きていられるはずが…ない。
「いってて…。」
「なっ」
煙が晴れた所には床や様々なものが溶け、異臭を放っている。
「何故…なぜ生きている。」
「鬼ってのは案外頑丈なんだよ。」
赤いナイフが魔粘種の右目をくり抜き、突き刺さる。 ガラスが割るような音が響くと、魔粘種の体は地理となって言った。
「お…終わった…。」
その一言がトリガーとなり、辺り一面に爆発と暴風が吹き荒れる。その威力は凄まじく、先ほどの酸で弱くなっていた所から順に崩壊していった。
「なっ何…これ…。」
防御装備を展開し、周辺の力場を手中に収めていたはずのシオンもこれには苦労していた。
「これが代償って奴さ。属の力もやたらと使えば世界を壊しちまう。」
「……これは…魔力嵐……。」
「そう、鬼自ら魔力を作れないからな。角を使って周囲からかき集めなきゃならねぇ。そして、属の力は魔力をバカ食いする。そんなもんを急に停止させてみろ。集めた魔力は行き場を失い溢れて嵐となる。それが今だ。」
「……納得。」
その後も嵐は吹き荒れ、『工房』のほぼ全てを破壊し尽くした。
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