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第2章 世の理
世の理
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煌悠叶は薄暗い部屋で目を覚ました。周囲にはゴミが散らかり、薄汚い部屋をさらに汚く見せている。
そんな部屋に悠叶は寝転がっていた。起き上がると脇腹に激痛が走り、見てみると青黒い痣が広かっていた。
「ここは…?何があった…。」
窓の外は既に日が登り、室内の気温もそれなりに高い。据えた匂いが立ち込める中、悠叶はここが自分の殺された例の部屋だと理解する。
「と、とにかく…戻らねぇと…シャルが…ゲボッ」
血反吐を吐き、動かない足を強引に引き摺りながら進む。
『おや?どうしたんだい?』
「……。悪趣味な格好だな。」
玄関まで行き着いた時、不意に扉が開かれ、生前悠叶を苦しめた例の男が顔を出した。
『悪趣味な格好とは失礼な。君の実の父親だろう?』
「実の父親?違うね。そいつは死んだ母親の再婚相手さ。最悪の。」
『ふうん。まぁそんな事はどうでもいい。君はこのあとどうしたい?』
「どうしたいって…。早く戻らねぇとシャルロットが危ないだろ。だから、さっさと帰る。」
『帰る…か君にも帰りたい場所が見つかったのかな?』
「……さぁな」
『いいだろう。でもその前に君の強化をさせてくれ。考えてみれば暴食のグラトニーを下した後から君を強化してないんだ。』
「…そうなのか。」
『あぁ、だから。君に試練を与えようと思う。』
「聞いてなかったのか?さっさと戻らねぇと…」
『大丈夫さ。君はまた今回のように死にたいの?今回は君の強化を忘れていたから助けてあげたけど。君、死んでるからね?』
「……マジか…」
『シャルロット達なら大丈夫。君は君の為すべきことをするべきだよ』
「俺の…為すべきこと?」
『右手を出して。』
「……。」
『この力はグラトニーの力。君の意志が弱ければこの力に飲まれる。危険な力。さぁ。君の覚悟を見せておくれよ。』
「……。質問だ。」
『何かな!?』
「正義とは一体なんだ?」
『そ、それは……』
父親の形をした神は元の姿に戻ると押し黙った。
「俺は正義なんて代物は勝った奴の理論だと思ってる。教会にも、大罪人共にも。形は違うが正義はあるんだろ?」
『そう…だねその通りだ。』
「じゃあやる事は一つだ。勝てばいい。」
『……。それが難しい事は今回のでよく分かったんじゃないかい?』
「でも、勝たなければ奪われるだけだろ」
『……。』
「俺は俺に敵対するやつに勝ち続ける。それが覚悟だ。」
『ふふふ…。本当に…君は面白い。一度負ければ死ぬかもしれなくて、残機もないゲームに自分の命をベットするなんてね。』
「覚悟は決めた。さっさと戻してくれ。」
『……。分かった。ではせいぜい生き延びてくれよ?』
「努力はしよう。」
戦場はひどいありさまだった。世界の終わりを体現したようなその異質な空間には一人の…。いや、一体の鬼がいた。その後ろには黒髪の男が寝かされており、鬼はそれをかばうように立っていた。
「こいつは驚いた。君はあの都市落としかい?」
周囲には拷問器具や処刑器具が地面に突き刺さり血の臭いが徐々に濃くなっていく。
「…。ユウトは…。ボクが…。守…る。」
「あぁ美しき情景だ~さて、その顔が醜くく歪む様を見せておくれよ。」
大型の斧がシャルロットの肉を削ぎ車輪が襲いかかる。
「くっ…このまま…じゃ…。」
「…シャル、ありがとう。もう大丈夫。」
強化された聴覚がユウトの声を拾った。
「ユウト!?」
悠叶はのそりと起き上がる。先程のダメージを感じさせないしっかりとした足どりでシャルロットの頭に手を置いた。
「ありがとう。もう大丈夫。だから安心して身体を休めてて。」
シャルロットは気づいた。悠叶が頭に手を置いた瞬間身体中に刻まれた傷が癒えた。それに、何故だか力が湧いてくる。
「よぉ。連れが世話になったな。テメェ…。」
「なっ何故だ!お前は電気椅子で…」
「一々うるせぇ奴だな。お前、知らねぇの?電気椅子でも死なない場合があるって事。」
「…そんなッ馬鹿な!」
「嘘じゃないさ。確実性が高くないからとある国では首吊りを死刑に採用してるくらいだしな。」
「嘘だ!クソッ化け物め!」
「じゃあそんな化け物を怒らせたその身を呪いな。」
そんな部屋に悠叶は寝転がっていた。起き上がると脇腹に激痛が走り、見てみると青黒い痣が広かっていた。
「ここは…?何があった…。」
窓の外は既に日が登り、室内の気温もそれなりに高い。据えた匂いが立ち込める中、悠叶はここが自分の殺された例の部屋だと理解する。
「と、とにかく…戻らねぇと…シャルが…ゲボッ」
血反吐を吐き、動かない足を強引に引き摺りながら進む。
『おや?どうしたんだい?』
「……。悪趣味な格好だな。」
玄関まで行き着いた時、不意に扉が開かれ、生前悠叶を苦しめた例の男が顔を出した。
『悪趣味な格好とは失礼な。君の実の父親だろう?』
「実の父親?違うね。そいつは死んだ母親の再婚相手さ。最悪の。」
『ふうん。まぁそんな事はどうでもいい。君はこのあとどうしたい?』
「どうしたいって…。早く戻らねぇとシャルロットが危ないだろ。だから、さっさと帰る。」
『帰る…か君にも帰りたい場所が見つかったのかな?』
「……さぁな」
『いいだろう。でもその前に君の強化をさせてくれ。考えてみれば暴食のグラトニーを下した後から君を強化してないんだ。』
「…そうなのか。」
『あぁ、だから。君に試練を与えようと思う。』
「聞いてなかったのか?さっさと戻らねぇと…」
『大丈夫さ。君はまた今回のように死にたいの?今回は君の強化を忘れていたから助けてあげたけど。君、死んでるからね?』
「……マジか…」
『シャルロット達なら大丈夫。君は君の為すべきことをするべきだよ』
「俺の…為すべきこと?」
『右手を出して。』
「……。」
『この力はグラトニーの力。君の意志が弱ければこの力に飲まれる。危険な力。さぁ。君の覚悟を見せておくれよ。』
「……。質問だ。」
『何かな!?』
「正義とは一体なんだ?」
『そ、それは……』
父親の形をした神は元の姿に戻ると押し黙った。
「俺は正義なんて代物は勝った奴の理論だと思ってる。教会にも、大罪人共にも。形は違うが正義はあるんだろ?」
『そう…だねその通りだ。』
「じゃあやる事は一つだ。勝てばいい。」
『……。それが難しい事は今回のでよく分かったんじゃないかい?』
「でも、勝たなければ奪われるだけだろ」
『……。』
「俺は俺に敵対するやつに勝ち続ける。それが覚悟だ。」
『ふふふ…。本当に…君は面白い。一度負ければ死ぬかもしれなくて、残機もないゲームに自分の命をベットするなんてね。』
「覚悟は決めた。さっさと戻してくれ。」
『……。分かった。ではせいぜい生き延びてくれよ?』
「努力はしよう。」
戦場はひどいありさまだった。世界の終わりを体現したようなその異質な空間には一人の…。いや、一体の鬼がいた。その後ろには黒髪の男が寝かされており、鬼はそれをかばうように立っていた。
「こいつは驚いた。君はあの都市落としかい?」
周囲には拷問器具や処刑器具が地面に突き刺さり血の臭いが徐々に濃くなっていく。
「…。ユウトは…。ボクが…。守…る。」
「あぁ美しき情景だ~さて、その顔が醜くく歪む様を見せておくれよ。」
大型の斧がシャルロットの肉を削ぎ車輪が襲いかかる。
「くっ…このまま…じゃ…。」
「…シャル、ありがとう。もう大丈夫。」
強化された聴覚がユウトの声を拾った。
「ユウト!?」
悠叶はのそりと起き上がる。先程のダメージを感じさせないしっかりとした足どりでシャルロットの頭に手を置いた。
「ありがとう。もう大丈夫。だから安心して身体を休めてて。」
シャルロットは気づいた。悠叶が頭に手を置いた瞬間身体中に刻まれた傷が癒えた。それに、何故だか力が湧いてくる。
「よぉ。連れが世話になったな。テメェ…。」
「なっ何故だ!お前は電気椅子で…」
「一々うるせぇ奴だな。お前、知らねぇの?電気椅子でも死なない場合があるって事。」
「…そんなッ馬鹿な!」
「嘘じゃないさ。確実性が高くないからとある国では首吊りを死刑に採用してるくらいだしな。」
「嘘だ!クソッ化け物め!」
「じゃあそんな化け物を怒らせたその身を呪いな。」
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