怪物と呼ばれたモノ

神崎 詩乃

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第二章 戦争

会議

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 朝が来る。
 昨日の事が嘘のように晴れ渡る空の下二匹の龍が向かい合っていた。

「黒坊も反抗期っすか?」
「うるせぇ。俺は利用されるのが嫌いなんだよ。」
「じゃあ何の為にここに参加してるんすか?現に利用されてるじゃないっすか先の戦闘で帝国兵を闇討ちしまくって国外に追い出したり、姫の寝室に間違って入って簀巻きにされたりしてたじゃないっすか」
「なっ後半のやつは関係ねぇだろ! 」
「どうせ俺達は死なねぇ。いや?死なせてもらえねぇ。なら少し利用されるくらい問題ねぇだろ?」
「治龍まで…。」
「いいか?黒坊。今回のこの戦争、結果によっちゃ郷が現界する可能性だってあるんだぞ?それだけは阻止しなきゃならねぇ。」
「俺は帝国のヤツらに龍種ナメると痛い目を見ると骨の髄まで教えてやる!」 
「変わらんな…お前さんは。だが、その目的の為なら協力せねばなるまいて」
「……。」

 ザックも理解はしていた。本当に戦争をするならただの貧弱な武装集団でしかない黎明の翼連中は足でまといでしか無い。
 しかし、貧弱なのは兵装だけ。それ以外は1国の軍すら凌ぐ異能者揃いである。
「あのカトリとかいう男なかなかの策士だぞ?お前が飛び出した時も不敵に笑っておったし。」
「……お前、どこから見てたんだよ。覗き魔」
「ご、誤解っすよ!龍化お嬢が視覚を共有させてきたんす。『龍なら聞いておいた方がいいんじゃない?』って言ってたっす」
「ハッハッハ…視覚の共有化?お前できんの?」
「治龍との契約に『視覚の共有化』が入ってるんで出来るっすよ」
「マジか……。」
「黒坊は視覚外に常にいれるじゃないっすかそれとあんま変わんないっすよ」
「今も出来るのか?」
「まぁ、出来るっすけど…お嬢に後で殺されますよ?」
「構わん、やれ」
「過保護も程々にしないと嫌われるっすよ…。おや?お嬢の現在地知ってるっすか?」
「さぁ?部屋にいるんじゃねぇの?」
「いいんすか…保護者…それで…。」
「この間四六時中一緒にいたらキレられた。」
「そすか……?あれ?ここどこすかね?」
「あぁ?なんだよ。何が見えんだよ」
「廃墟…すか?あれ?エレン嬢もいる。」
「え?」
 二匹の龍は互いに見合わせると即座に部屋を飛び出した。
 
 一方その頃、レティシア達は硬い床の上で目を覚ました。

「?」
  猿轡を噛まされ、言葉を出せないが取り敢えず、身体を縛られ、自由は奪われていることだけは分かった。
(帝国の報復?いや?だったらなぜ攫った?リュカ、起きてたら反応して)
『リュカ?誰のことかしら』
(龍化した私、略してリュカ。どう?)
『なるほど。それで?私をたたき起こして何の用かしら?』
(現在の情報求む。)
『情報?あなたの向かい側に座らせられてるのは誰かしら?』

 言われて始めて目を向けてみればエレンがいた。同じように何かで縛られ、身動きができないようにされている。

(エレンも捕まってる?)
『寧ろあっちが本命でしょうね。』
(えっと…どういうこと?)
『知らないわよ。ただ、あっちの方が入念に縛ってあるから逃がしたくないのはあっちでしょうね。』
(へぇ。これ、取れる?)
『主導権を寄越しなさいよ。そしたら引きちぎってあげる』
(じゃあよろしく。)

 ブチり…と音がして身体が自由になる。自由になったついでにエレンの束縛も解いてあげる。
「何よこれ。ただの麻縄じゃない。なんで切れないの?」
『人間には簡単に切れる代物じゃないの』
「あっそう。非力ね」
「……。」
 束縛から解放したエレンは俯いたまま涙を流し拳を握りしめた。
「どうしたのかしら?エレン?」
「いや、何でもない…。ここはどこ?出られるならさっさと行こう。」
「そうね。」
 部屋には窓もなく、明かりも暗い。頑丈そうな鋼鉄製らしき扉には格子が嵌められており、どうやらすんなりと帰してはくれない様だ。

『やぁやぁ、お目覚めかい?随分と長い睡眠だったけどちゃんと寝れてるの?』
「煩い」
『煩いとはまた…。エレンちゃんね、今の状況…分かってる?』
「煩い…煩い!」
「エレン、落ち着いて。」
『そうだよ。落ち着きたまえ。どうせ助けなんて来ないのだから。』
「ふざけないで!」
「落ち着いて。大丈夫。どうせ頼んでもないのに助けに来るから。」
『助け?来るわけないよ。というか来れるはずがない!』
「あら?何故かしら?」
『リュカ、エンジン音がする。この建物…飛んでる?』

 そう、閉じこめられたこの建物は宙に浮いていた。ここから落ちてしまえば確実に死ぬだろう。ここから抜け出さねば…その想いが強くなった。
 
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