双子のあたし達。

枯れた林檎

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双子のあたし達。

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あたしが亜美(あみ)で、
妹が采弥(あや)。

あたし達は、双子なんだ。


これは、あたし達が小学六年生のころの物語。
聞いてくれる?





……






「亜美ちゃんと采弥ちゃんは双子なのに
 全然違うわねー!」

それがママの口癖。

妹の采弥は、テストでいっつも100点ばっかり。絵が上手で、県で賞をとったこともあるし、字も綺麗、ピアノもできるし、習い事のチアではいつも注目されてる。

5年生の時、2組の大原くんから告白されたんだって。


友達もたくさんいて、いつもニコニコして楽しそう。


対して、姉のあたし、亜美は、
テストは60点くらいがふつう。
絵は好きだけど采弥の足下にも及ばない。
字も、ピアノも、チアもそこそこ。
なんでもかんでも「ふつう、そこそこ」
って感じなの。

告白なんて、されたことないし。

友達は二、三人。



そんなあたし達二人を、ママはいつも「違う」って言う。
「采弥は偉いわね。」
「亜美はもうちょっとね。」

って。


あたしのほうが少しだけ早く産まれたのに、
妹の采弥が才能をひとりじめしてる。

正直、あたしは采弥が嫌いだった。

だって何でもできるんだもん。
あたしが頑張っても、采弥はあたしより前にいる。追い越せない。

双子って、同じなんじゃじゃないの?

なんでこんなに違うの?

采弥が羨ましい。

生れつき才能のある、采弥が。

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