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一章、人喰い狼
裏、真実その三
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『全て話します』
昨日の深夜、ふと目が覚めた婆さんが、家の広間の方へ向かうと、にちゃにちゃと不気味な音がしていた。そこには、体の半分が獣のようになった夫が人の体を貪っていた。
婆さんに気付いた夫は山の方へ逃げてしまった。
死体は既に、顔、胸、腹はほとんど喰われていたが、着物と下半身から、とくさんの娘であることは分かった。それともう一つ、夫は、自分も喰われたことにして、存在を消そうとしていたことも分かった。
婆さんは、その手伝いをしようと、死体から着物を剥ぎ、下半身を切り刻んだ。
そして、翌朝に旦那の死を嘆いた。
まとめるとこういうことらしい。それでも、また村人が犠牲になる可能性を恐れ、御連舎に依頼に来たということだ。
これは、鬼化の前兆であろう。鬼力が暴走することで、理性がほぼなくなり、見境なく人間を喰らう化物となってしまう。鬼化は非常に稀である。まだこんなことがあるとは……
しかし、婆さんが喰われなかったということは、彼にはまだ理性が残っていたのだろう。
そして、それは村に食料があるという知識も持ち合わせていることとなる。つまり、今日この村に食料を求めて来るのであろう。
「事情は分かりました」
『夫をどうか、止めて下さい……』
「はい、今夜決着をつけます」
『……よろしくお願いいたします』
その目には涙が浮かんでいた。
嘔吐物を迎えに行くか……
奥の家にいるのが見え、そこへ向かった。
既に聞いた話をぐだぐだと聞かされる。殺してしまおうか。
今日はとくさんの家に泊まり、狼を待つことを告げる。
『あ、血』
「どうした」
『どこかに水があったのですか?』
「ん?どうしてだ」
『いや、死体触ったときに血付いちゃって、あなたの手には無いのでどこかで洗ったのかなと』
「あぁ、どこだっけな、家の人に水を借りたぞ」
そうか……隠す必要はない。二年前の大処刑のせいで、隠す癖がついてしまったな。今さら否定するのも面倒なので、そういうことにしよう。
しかし、彼もなかなか鋭いな。疑問に思ったことは飲み込めずとも、真相に興味はないのだろう。
さて、あとは狼を待つのみだが、その前に……
彼と狼を対峙させれば、彼は力を使うのか。
微妙なところではあるが、試す価値はある。
昨日の深夜、ふと目が覚めた婆さんが、家の広間の方へ向かうと、にちゃにちゃと不気味な音がしていた。そこには、体の半分が獣のようになった夫が人の体を貪っていた。
婆さんに気付いた夫は山の方へ逃げてしまった。
死体は既に、顔、胸、腹はほとんど喰われていたが、着物と下半身から、とくさんの娘であることは分かった。それともう一つ、夫は、自分も喰われたことにして、存在を消そうとしていたことも分かった。
婆さんは、その手伝いをしようと、死体から着物を剥ぎ、下半身を切り刻んだ。
そして、翌朝に旦那の死を嘆いた。
まとめるとこういうことらしい。それでも、また村人が犠牲になる可能性を恐れ、御連舎に依頼に来たということだ。
これは、鬼化の前兆であろう。鬼力が暴走することで、理性がほぼなくなり、見境なく人間を喰らう化物となってしまう。鬼化は非常に稀である。まだこんなことがあるとは……
しかし、婆さんが喰われなかったということは、彼にはまだ理性が残っていたのだろう。
そして、それは村に食料があるという知識も持ち合わせていることとなる。つまり、今日この村に食料を求めて来るのであろう。
「事情は分かりました」
『夫をどうか、止めて下さい……』
「はい、今夜決着をつけます」
『……よろしくお願いいたします』
その目には涙が浮かんでいた。
嘔吐物を迎えに行くか……
奥の家にいるのが見え、そこへ向かった。
既に聞いた話をぐだぐだと聞かされる。殺してしまおうか。
今日はとくさんの家に泊まり、狼を待つことを告げる。
『あ、血』
「どうした」
『どこかに水があったのですか?』
「ん?どうしてだ」
『いや、死体触ったときに血付いちゃって、あなたの手には無いのでどこかで洗ったのかなと』
「あぁ、どこだっけな、家の人に水を借りたぞ」
そうか……隠す必要はない。二年前の大処刑のせいで、隠す癖がついてしまったな。今さら否定するのも面倒なので、そういうことにしよう。
しかし、彼もなかなか鋭いな。疑問に思ったことは飲み込めずとも、真相に興味はないのだろう。
さて、あとは狼を待つのみだが、その前に……
彼と狼を対峙させれば、彼は力を使うのか。
微妙なところではあるが、試す価値はある。
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