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1章
黒音みりあという存在
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その日、X(旧Twitter)のタイムラインを何気なく眺めていた真理の目に
ふとひとつの切り抜き動画が飛び込んできた。
──『新人VTuber黒音みりあ、初配信から話題沸騰』
(あ……)
名前は見慣れてきた。
配信後にDMが届いてから、何度か検索するうちにおすすめにも出るようになっていた。
それでも“気にしていない”ふりをしていた。
意を決してクリックする。
画面いっぱいに映る黒音みりあの姿。
落ち着いたモノトーンの衣装に、黒髪ショート、鋭い目元。
ボイスが流れた瞬間、どこか胸の奥がざわついた。
「みなさん、こんばんは。黒音みりあです。今日もお疲れさまでした」
(やっぱり、似てる……)
本人も「癒し系」を自称しているようだった。
けれど、それだけでは片づけられない、絶妙な“距離感”のようなものがあった。
まりあの声は、やさしく包み込む“甘さ”がある。
みりあの声は、どこか切なさをまとった“透明感”がある。
ジャンルは似ているのに、印象が違う。
でも、声質も話し方も、あまりにも近すぎる。
動画は、黒音みりあが視聴者の悩みに答える「お悩み相談」コーナーだった。
『人と話すのが苦手で、職場でも浮いてしまうんです』
というリスナーの投稿に、みりあは少しの間を置いて、静かに答えていた。
「無理に明るくする必要は、ないんじゃないかな。
たとえば……こうして匿名ででも、誰かに言えたってことだけで
少し肩の荷が下りたなら、それって十分すごいことだと思う」
声の抑揚は落ち着いていて、言葉の選び方も丁寧だった。
ときおり見せる微笑みも、決して“演技”に見えない。
(……私より、ずっと自然に、話してる)
「……これ、他人なの?」
呟いたあと、自分でハッとして口を閉じた。
そこまで疑う理由なんて、本当はない。
ただの偶然。
そう思いたい気持ちは、まだ心のどこかにあった。
(でも──なんで、こんなに気になるんだろう)
黒音みりあ。
何度も名前を口の中で転がす。
黒音。
みりあ。
白音まりあ。
偶然なのか。
それとも、誰かが……。
「考えすぎ、だよね」
そう言って笑おうとしたが、胸の奥がざわざわとしたままだった。
その日の夜は、なかなか眠れなかった。
ふとひとつの切り抜き動画が飛び込んできた。
──『新人VTuber黒音みりあ、初配信から話題沸騰』
(あ……)
名前は見慣れてきた。
配信後にDMが届いてから、何度か検索するうちにおすすめにも出るようになっていた。
それでも“気にしていない”ふりをしていた。
意を決してクリックする。
画面いっぱいに映る黒音みりあの姿。
落ち着いたモノトーンの衣装に、黒髪ショート、鋭い目元。
ボイスが流れた瞬間、どこか胸の奥がざわついた。
「みなさん、こんばんは。黒音みりあです。今日もお疲れさまでした」
(やっぱり、似てる……)
本人も「癒し系」を自称しているようだった。
けれど、それだけでは片づけられない、絶妙な“距離感”のようなものがあった。
まりあの声は、やさしく包み込む“甘さ”がある。
みりあの声は、どこか切なさをまとった“透明感”がある。
ジャンルは似ているのに、印象が違う。
でも、声質も話し方も、あまりにも近すぎる。
動画は、黒音みりあが視聴者の悩みに答える「お悩み相談」コーナーだった。
『人と話すのが苦手で、職場でも浮いてしまうんです』
というリスナーの投稿に、みりあは少しの間を置いて、静かに答えていた。
「無理に明るくする必要は、ないんじゃないかな。
たとえば……こうして匿名ででも、誰かに言えたってことだけで
少し肩の荷が下りたなら、それって十分すごいことだと思う」
声の抑揚は落ち着いていて、言葉の選び方も丁寧だった。
ときおり見せる微笑みも、決して“演技”に見えない。
(……私より、ずっと自然に、話してる)
「……これ、他人なの?」
呟いたあと、自分でハッとして口を閉じた。
そこまで疑う理由なんて、本当はない。
ただの偶然。
そう思いたい気持ちは、まだ心のどこかにあった。
(でも──なんで、こんなに気になるんだろう)
黒音みりあ。
何度も名前を口の中で転がす。
黒音。
みりあ。
白音まりあ。
偶然なのか。
それとも、誰かが……。
「考えすぎ、だよね」
そう言って笑おうとしたが、胸の奥がざわざわとしたままだった。
その日の夜は、なかなか眠れなかった。
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