24 / 67
第一章 世界創造編
24.堅苦しい話
しおりを挟む
冥界。死んだ人間の魂がいざなわれる場所である。
人が死んだらどうなるか。それは神話によって様々に異なる。
「やはり、天国と地獄でしょう」
そういったのはレカエルだ。
死後、生前の行いの報いを受けることになるという考え方は多い。良いことをした人は幸せな場所へ。悪いことをした人はその罰を受ける場所へ。
「因果応報、天網恢恢です。人間に、等しく自身の撒いた種を刈り取らせて見せましょう」
自分の神と同じように、ここにも天国地獄システムを創ろうと意気込むレカエルだったが……。
「……絶対。めんどくさい」
考えただけで眠くなる、といった様子でエウラシアが不満げな顔をした。
「あなたはそうやっていつも……」
「まあまあ。言い方はともかく私もどうかと思うの」
反論しようとするレカエルをツツミが遮った。
「そもそも私、天国とか地獄とかってよくわかんないんだよね」
「あなたたちのところにだって似たようなものがあったでしょう?」
「そうなんだけど……あれはどっちかっていうと、仏様の担当だからさあ」
ツツミたちの国には『仏』を自称する一派がいる。ツツミからしてみれば八百万の神の一員なのだが、彼らはそう呼ばれることを嫌っている。プライドの高い連中なのだ。
「ウカノミタマ様とかは、死んだ人は子孫でも見守っておけばいいんじゃない、って感じのゆるさなんだけど。仏連中はなんか細かくてね……」
なんか生前の行いによって『とーかつ』だの『きょーかん』だの『だいしょーねつ』だの色々な地獄に行ったりするらしい。刑期の長さも何兆年単位がザラらしい。
正直ツツミは『バカなんじゃないかな?』と思っている。
エウラシアのところにも似たような概念はあるそうだ。すごくいい人、すごく悪い人、普通の人位のくくりだそうだが。
レカエルのところも決して天国と地獄という二元に分かれたものではなく、『煉獄』や『辺獄』など種類分けがなされているようだ。
人間の行いなど、善と悪二つに分ければ済むものではないともいえる。
「とにかく、なんか裁判みたいな感じで死後どうするか決めるんでしょ? たくさんの行き先と、どこに行くか決めるルールが必要だと思うんだけど……」
「ですからそれを決めればいいのです」
「神様じゃない私たちで?」
うっ、とレカエルは言葉に詰まる。三人は厳密には神ではない。あくまで使いなのだ。
決して倫理的な問題ではない。自由にしていいと言われている以上、どんなルール作りをしても大丈夫だろう。問題は能力であった。
「善人と悪人の基準をまず決めるでしょ? それぞれの行いに合った場所を創って細かく分けて……。あ、それを振り分ける裁判長の立ち位置の存在も必要だね。……どれくらい時間かかる?」
元世界の神々ですら死後の人間の扱いには四苦八苦している様子がうかがえる。それを自分たちでやる。エウラシアの言葉を借りるならば……。
「絶対めんどくさいと思うんだ」
ツツミの言葉に、レカエルは悔しそうに顔をゆがめた。
「じゃあ、どうするんですか?」
「とりあえず、『冥界』という場所はひとつ! 善人だろうが悪人だろうが、みんな死んだら冥界行きだ!」
わざわざいい場所と悪い場所に分けたりしない。これで創る冥界は一つで済む。
「しかし……そうもいかないでしょう」
レカエルは苦言を呈す。
「善人も悪人も結局死ねば同様の扱いになる。それでは悪人のほうが恵まれてしまうではありませんか」
自分を律し正しく生きた人間と、欲望のままに自分勝手に生きた人間が平等の扱いを受ける。これは不公平だ。
「ううん。扱いには明確な差をつける」
「それでは結局複雑なルールを決めなければならないではないですか」
「ルールは一つだけでいいよ」
ツツミは声高に言った。
「冥界では嫌われている人の前では『幽霊』になってしまう!」
「……幽霊?」
「そ。見えないし、触れないし、声も聞こえない」
ツツミは考えた。悪とはなんだろうか。それは突き詰めれば、人が嫌がることをするという事ではないだろうか。
「私たちがわざわざ細かいルールなんて決める必要ないんだよ。冥界の人間それぞれがルールになればいいい」
例えば生前他者を虐げ、理不尽に支配した者。冥界で同じことはできない。相手に全く干渉できないのだ。いないものとして扱われる。存在の否定という罰である。
悪事が多いほど、つまり嫌な思いをさせた相手が多いほど、自身の存在を認めてくれる相手は少なくなる。
「幽霊、ですか……。しかし、人間は正しいことをすれば嫌われないとは限りません。逆恨みという事もあります」
「それも。問題ないと。言えば。……問題ない? ……相手から。自分は。見えない」
それまで黙っていたエウラシアが少し考えて言った。その通り。逆恨みされているという不愉快な事実は変えられない。しかし、それによる実害はなくすことができるのだ。
「うん。逆恨み、つまり自分が正しいことをしたのに相手に恨まれている場合ね。相手にとって自分は幽霊なんだから、復讐される心配はないよ」
「それはそうですが……。お互い理解を深めれば……」
「世の中話の通じない相手っているもんだって。自分が一番偉いと勘違いして、正しいことをする他の人にきつく当たるバカは、死んでも直らないよ?」
人間は正しさを追い求め、他者にも自分の価値観を共有させようとする。集団で生きる生物である以上仕方がないのかもしれない。
「わざわざ冥界でそりの合わない相手と仲良くする必要なんてないでしょ? もう死んでるんだし」
生者の世界では、誤解を解く努力は必要だろう。しかし冥界では極端な話、自分一人でも生きていけるのである。
「なんだか妥協の産物に聞こえますが」
「……てへっ」
ツツミはペロッと舌を出す。事実妥協の産物だからだ。
「いや、私もさすがに現世でやる勇気はないんだけどさ。世の中価値観を押し付ける人間が多すぎだって」
価値観が違った場合、立場が上の者の意見に従わなければならないのが常である。ツツミは思うのだ、考えが認められないなら関わり合いにならなければいいのに。
「ま、みんなが幸せな世界とはいかないけどさ。こうすれば死んでまで理不尽な目に合うことはないでしょ」
「……正直釈然としないところもありますが、まあ現実的に考えて落としどころかもしれませんね」
「私は。けっこう。好き」
消極、積極と違えども方針に理解は得られたようだ。ツツミは大きく伸びをして言った。
「じゃあ大きな枠組みはこんな感じで、次はどうすれば死者をもてなせるか考えよう。面白くて、そもそも嫌なことなんか忘れちゃう場所にしよう。堅苦しい話して疲れちゃったから、今度は楽しいアイデアを出そうね!」
人が死んだらどうなるか。それは神話によって様々に異なる。
「やはり、天国と地獄でしょう」
そういったのはレカエルだ。
死後、生前の行いの報いを受けることになるという考え方は多い。良いことをした人は幸せな場所へ。悪いことをした人はその罰を受ける場所へ。
「因果応報、天網恢恢です。人間に、等しく自身の撒いた種を刈り取らせて見せましょう」
自分の神と同じように、ここにも天国地獄システムを創ろうと意気込むレカエルだったが……。
「……絶対。めんどくさい」
考えただけで眠くなる、といった様子でエウラシアが不満げな顔をした。
「あなたはそうやっていつも……」
「まあまあ。言い方はともかく私もどうかと思うの」
反論しようとするレカエルをツツミが遮った。
「そもそも私、天国とか地獄とかってよくわかんないんだよね」
「あなたたちのところにだって似たようなものがあったでしょう?」
「そうなんだけど……あれはどっちかっていうと、仏様の担当だからさあ」
ツツミたちの国には『仏』を自称する一派がいる。ツツミからしてみれば八百万の神の一員なのだが、彼らはそう呼ばれることを嫌っている。プライドの高い連中なのだ。
「ウカノミタマ様とかは、死んだ人は子孫でも見守っておけばいいんじゃない、って感じのゆるさなんだけど。仏連中はなんか細かくてね……」
なんか生前の行いによって『とーかつ』だの『きょーかん』だの『だいしょーねつ』だの色々な地獄に行ったりするらしい。刑期の長さも何兆年単位がザラらしい。
正直ツツミは『バカなんじゃないかな?』と思っている。
エウラシアのところにも似たような概念はあるそうだ。すごくいい人、すごく悪い人、普通の人位のくくりだそうだが。
レカエルのところも決して天国と地獄という二元に分かれたものではなく、『煉獄』や『辺獄』など種類分けがなされているようだ。
人間の行いなど、善と悪二つに分ければ済むものではないともいえる。
「とにかく、なんか裁判みたいな感じで死後どうするか決めるんでしょ? たくさんの行き先と、どこに行くか決めるルールが必要だと思うんだけど……」
「ですからそれを決めればいいのです」
「神様じゃない私たちで?」
うっ、とレカエルは言葉に詰まる。三人は厳密には神ではない。あくまで使いなのだ。
決して倫理的な問題ではない。自由にしていいと言われている以上、どんなルール作りをしても大丈夫だろう。問題は能力であった。
「善人と悪人の基準をまず決めるでしょ? それぞれの行いに合った場所を創って細かく分けて……。あ、それを振り分ける裁判長の立ち位置の存在も必要だね。……どれくらい時間かかる?」
元世界の神々ですら死後の人間の扱いには四苦八苦している様子がうかがえる。それを自分たちでやる。エウラシアの言葉を借りるならば……。
「絶対めんどくさいと思うんだ」
ツツミの言葉に、レカエルは悔しそうに顔をゆがめた。
「じゃあ、どうするんですか?」
「とりあえず、『冥界』という場所はひとつ! 善人だろうが悪人だろうが、みんな死んだら冥界行きだ!」
わざわざいい場所と悪い場所に分けたりしない。これで創る冥界は一つで済む。
「しかし……そうもいかないでしょう」
レカエルは苦言を呈す。
「善人も悪人も結局死ねば同様の扱いになる。それでは悪人のほうが恵まれてしまうではありませんか」
自分を律し正しく生きた人間と、欲望のままに自分勝手に生きた人間が平等の扱いを受ける。これは不公平だ。
「ううん。扱いには明確な差をつける」
「それでは結局複雑なルールを決めなければならないではないですか」
「ルールは一つだけでいいよ」
ツツミは声高に言った。
「冥界では嫌われている人の前では『幽霊』になってしまう!」
「……幽霊?」
「そ。見えないし、触れないし、声も聞こえない」
ツツミは考えた。悪とはなんだろうか。それは突き詰めれば、人が嫌がることをするという事ではないだろうか。
「私たちがわざわざ細かいルールなんて決める必要ないんだよ。冥界の人間それぞれがルールになればいいい」
例えば生前他者を虐げ、理不尽に支配した者。冥界で同じことはできない。相手に全く干渉できないのだ。いないものとして扱われる。存在の否定という罰である。
悪事が多いほど、つまり嫌な思いをさせた相手が多いほど、自身の存在を認めてくれる相手は少なくなる。
「幽霊、ですか……。しかし、人間は正しいことをすれば嫌われないとは限りません。逆恨みという事もあります」
「それも。問題ないと。言えば。……問題ない? ……相手から。自分は。見えない」
それまで黙っていたエウラシアが少し考えて言った。その通り。逆恨みされているという不愉快な事実は変えられない。しかし、それによる実害はなくすことができるのだ。
「うん。逆恨み、つまり自分が正しいことをしたのに相手に恨まれている場合ね。相手にとって自分は幽霊なんだから、復讐される心配はないよ」
「それはそうですが……。お互い理解を深めれば……」
「世の中話の通じない相手っているもんだって。自分が一番偉いと勘違いして、正しいことをする他の人にきつく当たるバカは、死んでも直らないよ?」
人間は正しさを追い求め、他者にも自分の価値観を共有させようとする。集団で生きる生物である以上仕方がないのかもしれない。
「わざわざ冥界でそりの合わない相手と仲良くする必要なんてないでしょ? もう死んでるんだし」
生者の世界では、誤解を解く努力は必要だろう。しかし冥界では極端な話、自分一人でも生きていけるのである。
「なんだか妥協の産物に聞こえますが」
「……てへっ」
ツツミはペロッと舌を出す。事実妥協の産物だからだ。
「いや、私もさすがに現世でやる勇気はないんだけどさ。世の中価値観を押し付ける人間が多すぎだって」
価値観が違った場合、立場が上の者の意見に従わなければならないのが常である。ツツミは思うのだ、考えが認められないなら関わり合いにならなければいいのに。
「ま、みんなが幸せな世界とはいかないけどさ。こうすれば死んでまで理不尽な目に合うことはないでしょ」
「……正直釈然としないところもありますが、まあ現実的に考えて落としどころかもしれませんね」
「私は。けっこう。好き」
消極、積極と違えども方針に理解は得られたようだ。ツツミは大きく伸びをして言った。
「じゃあ大きな枠組みはこんな感じで、次はどうすれば死者をもてなせるか考えよう。面白くて、そもそも嫌なことなんか忘れちゃう場所にしよう。堅苦しい話して疲れちゃったから、今度は楽しいアイデアを出そうね!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?
たまご
ファンタジー
アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。
最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。
だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。
女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。
猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!!
「私はスローライフ希望なんですけど……」
この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。
表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。
『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』
宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
元王城お抱えスキル研究家の、モフモフ子育てスローライフ 〜スキル:沼?!『前代未聞なスキル持ち』の成長、見守り生活〜
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「エレンはね、スレイがたくさん褒めてくれるから、ここに居ていいんだって思えたの」
***
魔法はないが、神から授かる特殊な力――スキルが存在する世界。
王城にはスキルのあらゆる可能性を模索し、スキル関係のトラブルを解消するための専門家・スキル研究家という職が存在していた。
しかしちょうど一年前、即位したばかりの国王の「そのようなもの、金がかかるばかりで意味がない」という鶴の一声で、職が消滅。
解雇されたスキル研究家のスレイ(26歳)は、ひょんな事から縁も所縁もない田舎の伯爵領に移住し、忙しく働いた王城時代の給金貯蓄でそれなりに広い庭付きの家を買い、元来からの拾い癖と大雑把な性格が相まって、拾ってきた動物たちを放し飼いにしての共同生活を送っている。
ひっそりと「スキルに関する相談を受け付けるための『スキル相談室』」を開業する傍ら、空いた時間は冒険者ギルドで、住民からの戦闘伴わない依頼――通称:非戦闘系依頼(畑仕事や牧場仕事の手伝い)を受け、スローな日々を謳歌していたスレイ。
しかしそんな穏やかな生活も、ある日拾い癖が高じてついに羊を連れた人間(小さな女の子)を拾った事で、少しずつ様変わりし始める。
スキル階級・底辺<ボトム>のありふれたスキル『召喚士』持ちの女の子・エレンと、彼女に召喚されたただの羊(か弱い非戦闘毛動物)メェ君。
何の変哲もない子たちだけど、実は「動物と会話ができる」という、スキル研究家のスレイでも初めて見る特殊な副効果持ちの少女と、『特性:沼』という、ヘンテコなステータス持ちの羊で……?
「今日は野菜の苗植えをします」
「おー!」
「めぇー!!」
友達を一千万人作る事が目標のエレンと、エレンの事が好きすぎるあまり、人前でもお構いなくつい『沼』の力を使ってしまうメェ君。
そんな一人と一匹を、スキル研究家としても保護者としても、スローライフを通して褒めて伸ばして導いていく。
子育て成長、お仕事ストーリー。
ここに爆誕!
異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~
黒蓬
ファンタジー
白石悠真は、ある日突然異世界へ召喚される。しかし、特別なスキルとして授かったのは「牧場経営」。戦えない彼は、与えられた土地で牧場を経営し、食料面での貢献を望まれる。ところが、彼の牧場には不思議な動物たちが次々と集まってきて――!? 異世界でのんびり牧場ライフ、始まります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる