犬のきもち

文字の大きさ
10 / 14

恋人2

しおりを挟む
朝が来ている。ずいぶん寝ていたようだここにきてから寝るのだけは上手くなった気がする。
目を開け上を見てみると

「うわっ!」

黒い瞳が二つこちらを覗いていた。
あのゴールデンレトリバーである。

「あなた、ずいぶんお寝坊さんね、あとに寝た私のほうが早く起きたわよ?」

まだ話しかけてくるのか昨日ので懲りていないのか。まぁまた無視し続ければ話かけてこないだろう。

「あれ~さっき驚いてたから、しゃべれないわけじゃないわよね?」

こちらに不思議そうな目を向けてくる。突然何かをひらめいたように悪い笑みを浮かべた

「てぃ!」

わき腹を鼻でくすぐってきた。普通にやめてほしい。
これ以上やられてもたまらんからな。
そう思い別の四隅に腰をかけ座った。

「あらら、これでもダメだったか」

「おなかすいてきたわね~っあ!ご飯くるわよ!!」

職員がご飯を運んでくる音が聞こえる。
まぁご飯はここでの唯一の楽しみだが今食べに行ったらあの女にちょっかいをかけられるだろうからあとでゆっくり食べればいいだろう。

「あら?あなたは食べないの?じゃ丁度おなかが空いていたし二つ食べちゃおーっと!」

なにを言っているんだ!この女はご飯を食べないわけないだろう!ご飯だぞご飯!ご飯を楽しみにしない犬がどこにいる?いやいない!ご飯だけはどうにかして死守しなくては、しかし普通に取りに行ったら余計絡まれる。
そのまえに勝手に動いているこのしっぽを止めなくてあの女がご飯に夢中な間にバレたら面倒なことになりそうだ。

そうこう考えているうちに女は自分の分を食べてしまったようだ。そしてこちらを見て何かに気づいたようにニヤリと笑った。

「本当にたべないのね~じゃ私がたべちゃおっかな~あーあせっかくおやつまでついているのに」

その言葉が聞こえた時俺はもうそこにはいなかった。
俺の目の前にあるのはご飯とそうおやつだけだ。ここにきて初めてのおやつだ久しぶりにたべたがここまでうまいのかいつもと味が違うだけでもうまさが倍増なのになんだこれは食感まで違うのか!おやつの味とご飯が混ざり合いまた新しい味となる。うまい!うまぎるぞ!はやる気持ちもよだれも止められない。この味は一生忘れれないだろう。

おいしかった。うん。だがわすれてはいけないこんなにパクパク食べている姿を見られてしまったのだ。非常にまずい。威厳を出さなくては、でないとまたちょっかいをかけられる。

「ふんっまぁまぁだな」

「っえ?すごくおいしそうに食べてたけど?」

なんなんだこいつは!この余裕ありげな態度もムカつくし、さっきのことだってほんとムカつくぞ!ジェムの時もイライラしたがその比じゃないぞこっちのは本当にムカつくやつだ。
まぁいいこいつならすぐ貰い手がみつかるだろう。それまでの辛抱だ。
もうすぐ人がきはじめる頃だ寝たふりでもして様子でもみてやるか。


しかし何人こちらに来てもずっと俺のほうを見てるだけで何もしないたまに壁や天井を見てるくらいだ。なにをしているんだ?まさか、、

「おい!まさかしらないのか?早くても3日遅くても7日以内に貰い手を見つけないと処分されるんだ、人間に気に入られるようにしたほうが身のためだ」

さすがのあの女も驚いた顔をしていた。

「え?知ってるわよ?最初あなたが寝てる間にほかの檻の子に聞いたし、そもそもここに入る前から何となくわかっていたわよ」

なんなんだこいつは知ってるのが当然みたいな顔で言って!もうしらん!どうせ明日にでもなればことのやばさに気づいて本気になるだろう。
そしてまた狸寝入りをした。

気付いたら本当に寝てしまっていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あなたが決めたことよ

アーエル
恋愛
その日は私の誕生日パーティーの三日前のことでした。 前触れもなく「婚約の話は無かったことにしよう」と言われたのです。 ‪✰他社でも公開

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

エリート警察官の溺愛は甘く切ない

日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。 両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?

Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。 簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。 一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。 ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。 そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。 オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。 オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。 「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」 「はい?」 ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。 *--*--* 覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾ ★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。 ★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓ このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。 第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」 第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」 第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」 どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ もしよかったら宜しくお願いしますね!

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

処理中です...