女怪盗アクア 電子の監獄

司条西

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17:屈辱の身体検査③

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「よし、これでいいだろう」

テーブルの上に置いたプラスチックのケースを見て、葉月が頷く。
そこには怪盗アクアが持ってきた盗み道具が、ひとつ残らず入っていた。

「はぁ、はぁ、はぁ」

荒い呼吸が弥生の口から洩れる。
1時間にわたって受けたボディタッチは、女怪盗の精神力を奪うには十分すぎた。
体のあらゆる場所を触られ、そして舐められ、恥辱のあまり頭がボーッとしている。

「おやおや、怪盗アクアともあろう者が、もう参ったのかね?」

葉月の指がクイッと女怪盗の顎を持ち上げる。
しかし仮面の奥に見えるヘーゼルの瞳は、まだ輝きを失わずに葉月を睨みつけていた。

「ふふふ、さすがアクアだ、そうでなくては面白くない。では最後の小道具をいただくよ」

葉月の指が女怪盗の仮面を掴む。
そしてゆっくりと外され、素顔が露になった。

「へぇ、美人だとは思っていたが、これは想像以上だ」

葉月は思わず感嘆の声をあげる。
真っすぐ通った鼻筋、少し尖り気味の顎のライン、大きく開いた目、赤いルージュを引いた唇。
どれもが身震いしたくなるような造形で、そこに健康的な色気が上乗せされた見事な美貌だ。

「いいね、ますます気に入ったよ。この綺麗なライトブラウンの髪もまさかの地毛だし、ひょっとすると怪盗アクアの正体は外国人だったのかい?」

「私は日本人よ!」

これまで口をつぐんでいた女怪盗が、初めて葉月に反応する。

「ちょっと信じられないな」

葉月は弥生の頬を両手で掴むと、自分の顔を近づけた。
眉間が高く、目鼻立ちのハッキリした顔。
そしてクリっとした二重の目は、日本人のものとは思えなかった。

「ま、その辺はおいおい調べさせてもらうとするさ。さあ、アクアちゃん、次は写真撮影だよ」

葉月は弥生の腕を掴んで、目盛りの刻まれた身長表の前へと連れていった。
壁の前には三脚を使ってセットされたカメラと、黒い板がる。

『葉月国際美術館収蔵品984号、作品名:怪盗アクア、登録日:●年〇月△日』

板にはそう白字で書かれていた。

「アクア、あの板を持って身長表の前に立つんだ」

葉月がそう命令すると、弥生の両腕を戒めていた電磁石による手錠の結合が解かれた。
一瞬、逃げ出すことを考えたが、そばで人型ロボットが見張っているのを見て諦める。
女怪盗は板を拾うと、素直に身長表の前に立った。

「では、撮影を始めるぞ」

シャッター音が鳴り、素顔を晒した怪盗アクアのレオタード姿が撮影される。

パシャッ、パシャッ、パシャッ

シャッター音が連続で鳴る。
葉月の収蔵品となったことを示す板を掲げる弥生の手は、屈辱で震えていた。

「次は横を向け、ただし板を正面に掲げてだ」

命令の通りにすると、再びシャッターが連続で鳴る。
右正面、左正面と撮影した後、次はボードを置いて顔のアップと全身。
撮影は葉月が満足ゆくものが撮れるまで、何度でも行われた。

「よし、次は指紋採取だ」

続いて弥生が連れて来られたのは、銀行ATMのような機械の前。
そこで全ての指、指の側面、手のひらの指紋を念入りにスキャナで読み取られる。

「ふふふ、警察でさえ手に入れていないアクアの指紋だ。またコレクションが一つ増えたぞ」

葉月はモニターに映る指紋をうっとりと眺めると、女怪盗に檻へと入るよう命じる。
人型ロボットに小突かれた弥生は、しぶしぶ歩いて檻の中へと戻った。
だが恥辱の身体検査はここからが本番だった。
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