女怪盗アクア 電子の監獄

司条西

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28:心を折るゲーム②

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檻の中で弥生は横になっていた。
自慰の余韻で身体がまだ気怠い。
微熱があるみたいに身体が火照っていて、むず痒い疼きが全身を蝕んでいる。

(いつまでこんな事が続くのかしら)

恥辱から解放されたのに、身体は物足りなさを感じ、胸の奥から何かが湧き上がっている。
この女陰を中心に広がる疼きと渇望は、実は初めてのことではない。
記憶の底に埋められた忌まわしい事実を思い出し、女怪盗は身体を震わせる。

(あの時のように流されてはいけない。今日を耐えれば、脱出のチャンスは必ずあるわ)

そう信じて精神の均衡を保とうとする弥生に、檻の外にある鉄扉が開く音が聞こえた。

「ごきげんよう、アクアちゃん。さっきはいいものを見せてくれたね」

葉月の嘲る言葉に、女怪盗は怒りを露にしたヘーゼルの瞳で睨みつける。
だが自慰行為により熱っぽくなった顔では、迫力も失われていた。

「さあ、今日も取り調べを始めるよ」

リストバンド型の枷を嵌められた両腕が、背中に回され電磁石の力で縛められる。
首輪には鎖が取り付けられ、犬のように引き立てられて檻から出される。

「今日はどうするつもり?」

「ちょっとしたゲームを考えたのでね、君に付き合ってもらいたいんだ」

そう言いながら手に持った鎖を引っ張る葉月。
首輪を引かれた弥生は、嫌な予感を感じつつ後を歩かされる。
囚われの身の女怪盗に選択肢など最初からありはしない。

(いったいどこへ連れていくつもりなの)

葉月が壁にあるスイッチを押すと、秘密の展示室から外へ繋がる扉が開いた。
そこは葉月国際美術館の地下2階。
忘れもしない、ターゲットである宝石『ベテルギウスの輝き』を盗みに入った部屋だ。

「さあついたよ、アクアちゃん」

首輪のリードを外された弥生は、ドンと背中を押されて突き飛ばされた。
後ろ手に拘束されているためバランスを取れず、無様に前から転倒してしまう。

「ちょっと、何をするの!」

睨み返す女怪盗に、葉月がリモコンを向ける。
すると両腕を戒めていた枷からピッという電子音が鳴り、電磁石による結合が解除された。

「いったい、どういうつもり?」

自由になった両手を床に付いて女怪盗が立ち上がる。
このまま葉月が素直に自分を解放する等あり得ない。
それが証拠に葉月はクスリと口元を歪めて、いつもの憎たらしい笑みを浮かべている。

「君はこの美術館から逃げたいのだろう? なら遠慮なくそうしてくれ。もし外に出られたらその時点で解放だ。ただし何事も無ければの話だがね、ははは」

そう言って葉月は隠し扉を開けて、秘密の展示室へと戻る。
地下2階には弥生が一人だけ残された。

「何事もなければ、か」

首輪を触りながら呟くと、部屋の奥からローター音が聞こえてきた。
それはテーザー銃を装備した警備用ドローンであった。

「チィッ、さっそく出てきたわね!」

ドローンを視認すると同時に、弥生は地上へ向かって駆け出す。
逃げても無駄な事はわかっている。
だがそれでも大人しくやられるのは、彼女の性分が許さない。
最初から勝敗が決まったゲームが始まった。
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