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光の国・輝華
22 お肉争奪戦
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飯屋に入ると、中にいた人たちは床に膝をつき、深々と頭を下げていた。二号一が恒例の説明をすると、戸惑いながらも人々は頭を上げて食事の続きを始めて女将も注文を聞きに来る。しかし神の姿を見ようと、飯屋の外には人があふれてしまっていた。食事中の人々も、チラリチラリと視線を送っている。
一通り注文をして、二号一は艾葉にこれまでの話を説明した。彼女は聞き漏らすまいと、真剣な面持ちで二号一の言葉に耳を傾ける。
「説明感謝いたします。では、我々はまず何をすれば良いのでしょうか?」
任務の話になると、艾葉は怯えた様子を見せなくなった。己の国に災いが来るとなると、阻止しなければならないと使命感に燃えているようだった。それに、頭もいいようで冷静に状況を把握していた。
「光王都周辺に異変はないかを術で探してから、今日はひとまず休もう。旅に出るには、もう遅い時刻だ。明日の朝から、風の国奏州と近い国境辺りの村に卵がないか探すつもりだ。今度は、ゆっくり卵を自然孵化させないだろう。術で誕生を早めさせ、輝華を襲うはずだ」
「そんな事も出来るのですか!?」
中の子の言葉に、艾葉をはじめ琥珀達も目を丸くする。
「光の加護の者に渡したのは、魔獣の卵が光の影響を受けないか試したのだと思う。輝華でも魔獣は現れるが、他の国に比べると格段に少ない。その為、魔獣を多く産まれさせられるか、実験していたのだろう。そして呪術師に渡したのは、孵化させる卵の限界と成長の早さを、術者の力で確かめたと思う」
そう説明した中の子の言葉が終わると、注文をしていた料理が皆の前にずらりと並んだ。人数分以上あるかという量に、艾葉と翠玉は呆気にとられる。
「つい癖で、訓練中と同じ量を頼んじまった」
玉髄と琥珀が、恥ずかしそうにそろってぎこちない笑みを浮かべた。厳しい訓練で体力を消耗するのに、呪術師と召喚士以外の戦士の食事の量は二人前ぐらい出されていたからだ。
「丸々一日食べてないんだし、ね?」
俺達が残さず食べるから、と男二人が頭を下げる。
「無駄にしないならいいわよ、食べなさい」
ウサギの肉を生姜醤油で漬けて焼いたものを箸で摘み、二号一は先に食べ始める。彼のその言葉に顔を輝かせた琥珀と玉髄は、それに続いて箸を持つ。
「艾葉、食べよう」
隣に座っている翠玉が、箸を艾葉に渡して促す。艾葉は小さく頷いて、箸を受け取った。
「艾葉は、今幾つ?僕は冬生まれだから如月で十七歳になったよ」
少しでも艾葉の緊張を無くそうと、翠玉は彼女に話しかける。
「私は……成人の儀を終えて戦士訓練を二年受けました。それから王宮付き近衛兵になり一年経ったので、多分十八歳か十九歳になっていると思います。白童子の頃に親が魔獣に殺されたので、生まれた月日を覚えていません」
言いにくそうに、艾葉は自分の話をした。
「そうだったんだ……辛いよね。僕も、白童子の頃に親を魔獣に殺されたんだ。でも、琥珀の所に引き取られて育ったんだ」
翠玉は、玉髄と二号一と同じく肉を取り合う、漆黒の髪の琥珀を指さした。
「そう……あなたはそれでも、幸せに暮らしていたんですね……」
「え?」
先ほどより沈んでしまった面影の艾葉は、翠玉にその理由を聞かそうとさせない雰囲気だった。正面に座る中の子は、そんな艾葉を静かに眺めている。
「中の子様―! 二号一が俺の肉盗るんですー!」
並べられた沢山のウサギや猪、鹿の肉の争奪戦は、二号一が優勢の様だった。彼は肉を頬張り、箸を伸ばす琥珀達の手を叩く。中々肉が食べれない琥珀が、中の子に告げ口をしたのだ。
「おほほ! アタシに食べられた方が肉も喜ぶのよ! 玉髄、隠れてアタシの鹿の肉盗らないで!」
「……静かに食えんのか……」
お粥を食べる匙を手に、中の子は溜息を零す。
結局二号一がほとんどの肉を食べて、食事は綺麗に無くなった。それでも二号一は呪術師の精神回復用である甘味の、柚子の砂糖漬けまで完食した。
お腹いっぱいに食事を終えた一行はそのまま宿屋に向かい、開いている部屋を尋ねた。幸い、中の子と二号一、翠玉と艾葉、琥珀と玉髄の部屋を三室用意できた。
おやすみ、と部屋の寝台に横たえると溜まっていた疲れのせいか琥珀はぐっすりと眠りにつくことが出来た。
琥珀は、温かいものに包まれていた。何処か安らぎを感じる、幸せな感覚だ。
『――く、は……こは……』
名を――自分の名前を、誰かが呼んでいる。しかし、琥珀は暖かな此処で寝ていたかったので、中々それに応えられない。
『……て、……き……つけ……こは……く……』
藍玉の声だ――幼い頃からの馴染みであるその声を、聞き間違える筈がない。
『琥珀、気を付けて……』
「琥珀! おはよう」
かけられた声に、琥珀は驚いて瞳を開けると反射的にがばりと上体を起こした。
夢を見ていたらしい。窓から明るい日差しを取り入れ、先に起きた玉髄が琥珀に声をかけたようだった。
「ん?どうした?」
琥珀の様子に、玉髄は不思議そうに尋ねる。
「いや、何でもない。おはよう」
琥珀は頭を振り、ゆっくりと覚醒する。
――夢の中だが、藍玉の声は何処か琥珀に切羽詰まった感じで話しかけていた気はする。琥珀は思い出した夢の中の藍玉の声に、焦りに似た感情に急かされる思いがした。
「ほら、琥珀早く用意しろよ?」
戦士服に着替えて、玉髄は手ぬぐいを手にまだ布団にいる琥珀に、もう一度声をかける。
「ごめんごめん、すぐ着替えるよ」
琥珀は寝台から降りると、手早く玉髄と同じく戦士服に着替えた。そうして二人で洗面用の井戸で顔を洗い、菩提樹の木で作られた歯木で歯を磨いた。
翠玉や艾葉も用意できた様で、宿屋の受付で四人が揃った。まだ姿を見せていない中の子と二号一を、のんびりと待つ。しかし、昨夜あんなに肉を食べた筈の琥珀も玉髄も、お腹が空いているようで、小さく腹を鳴らしていた。
「あの……」
そんな二人に、艾葉がおずおずと声をかけてきた。
「これ、良かったらどうぞ。木の実です」
艾葉は、腰に下げた木綿の袋から胡桃や銀杏の実などを取り出した。
「え? これどうしたの?」
琥珀は、艾葉の手に出された木の実を見て、不思議そうに尋ねたが喜びに顔を輝かせた。
「――使役する小さい式神に、与えるので常に持っているんです」
「いただきまーす!」
艾葉の返答と共に、琥珀はそれを一つ手にして直ぐに口に入れた。軽く焼いてあるのか、香ばしくて美味しかった。顔をほころばせる琥珀を見て、思わず玉髄も手を伸ばす。
「美味いな」
「僕も欲しいー!」
翠玉も手を伸ばしてきた。
その様子が、なんだか餌付けをしているようで、艾葉は少し笑みを浮かべた。
「あ! ようやく笑った!」
その笑顔を見た翠玉が、嬉しそうに胡桃を口に運んでにっこりと笑む。
「あ、その、……すみません……」
はっとして、艾葉はまた身を縮める。翠玉は昨日同じ部屋でもあまり話そうとしない艾葉の事が、とても気になっていた。何か気が付かないうちに、自分が悪い事をしたのかもしれないと心配していたのだ。
「なあに?
朝からアンタ達つまみ食い?」
眠そうな中の子を引きずりながら、二号一がようやく姿を現した。艾葉から木の実を貰っている一同に、呆れた表情を浮かべていた。
「さ、朝餉を食べて出発するわよ」
一行は、昨日訪れた飯屋に向かってまた沢山頼み、喧嘩しながらもそれらを全て腹に収めた。その様子に、飯屋の女将は楽しそうだった。そして、中の子の気取らない様子に、すっかり感動していた。
飯屋も宿屋も、彼らから代金を受け取らなかった。王宮が代金を持ってくると、使い手に指示されているのだという。光の子は、中の子を溺愛している。それを知っている使い手は、光の子の機嫌を損ねる事をしない為、昨日言った言葉を守ったのだろう。
一行は礼を言うと飯屋を後にして、町の門を出た。
一通り注文をして、二号一は艾葉にこれまでの話を説明した。彼女は聞き漏らすまいと、真剣な面持ちで二号一の言葉に耳を傾ける。
「説明感謝いたします。では、我々はまず何をすれば良いのでしょうか?」
任務の話になると、艾葉は怯えた様子を見せなくなった。己の国に災いが来るとなると、阻止しなければならないと使命感に燃えているようだった。それに、頭もいいようで冷静に状況を把握していた。
「光王都周辺に異変はないかを術で探してから、今日はひとまず休もう。旅に出るには、もう遅い時刻だ。明日の朝から、風の国奏州と近い国境辺りの村に卵がないか探すつもりだ。今度は、ゆっくり卵を自然孵化させないだろう。術で誕生を早めさせ、輝華を襲うはずだ」
「そんな事も出来るのですか!?」
中の子の言葉に、艾葉をはじめ琥珀達も目を丸くする。
「光の加護の者に渡したのは、魔獣の卵が光の影響を受けないか試したのだと思う。輝華でも魔獣は現れるが、他の国に比べると格段に少ない。その為、魔獣を多く産まれさせられるか、実験していたのだろう。そして呪術師に渡したのは、孵化させる卵の限界と成長の早さを、術者の力で確かめたと思う」
そう説明した中の子の言葉が終わると、注文をしていた料理が皆の前にずらりと並んだ。人数分以上あるかという量に、艾葉と翠玉は呆気にとられる。
「つい癖で、訓練中と同じ量を頼んじまった」
玉髄と琥珀が、恥ずかしそうにそろってぎこちない笑みを浮かべた。厳しい訓練で体力を消耗するのに、呪術師と召喚士以外の戦士の食事の量は二人前ぐらい出されていたからだ。
「丸々一日食べてないんだし、ね?」
俺達が残さず食べるから、と男二人が頭を下げる。
「無駄にしないならいいわよ、食べなさい」
ウサギの肉を生姜醤油で漬けて焼いたものを箸で摘み、二号一は先に食べ始める。彼のその言葉に顔を輝かせた琥珀と玉髄は、それに続いて箸を持つ。
「艾葉、食べよう」
隣に座っている翠玉が、箸を艾葉に渡して促す。艾葉は小さく頷いて、箸を受け取った。
「艾葉は、今幾つ?僕は冬生まれだから如月で十七歳になったよ」
少しでも艾葉の緊張を無くそうと、翠玉は彼女に話しかける。
「私は……成人の儀を終えて戦士訓練を二年受けました。それから王宮付き近衛兵になり一年経ったので、多分十八歳か十九歳になっていると思います。白童子の頃に親が魔獣に殺されたので、生まれた月日を覚えていません」
言いにくそうに、艾葉は自分の話をした。
「そうだったんだ……辛いよね。僕も、白童子の頃に親を魔獣に殺されたんだ。でも、琥珀の所に引き取られて育ったんだ」
翠玉は、玉髄と二号一と同じく肉を取り合う、漆黒の髪の琥珀を指さした。
「そう……あなたはそれでも、幸せに暮らしていたんですね……」
「え?」
先ほどより沈んでしまった面影の艾葉は、翠玉にその理由を聞かそうとさせない雰囲気だった。正面に座る中の子は、そんな艾葉を静かに眺めている。
「中の子様―! 二号一が俺の肉盗るんですー!」
並べられた沢山のウサギや猪、鹿の肉の争奪戦は、二号一が優勢の様だった。彼は肉を頬張り、箸を伸ばす琥珀達の手を叩く。中々肉が食べれない琥珀が、中の子に告げ口をしたのだ。
「おほほ! アタシに食べられた方が肉も喜ぶのよ! 玉髄、隠れてアタシの鹿の肉盗らないで!」
「……静かに食えんのか……」
お粥を食べる匙を手に、中の子は溜息を零す。
結局二号一がほとんどの肉を食べて、食事は綺麗に無くなった。それでも二号一は呪術師の精神回復用である甘味の、柚子の砂糖漬けまで完食した。
お腹いっぱいに食事を終えた一行はそのまま宿屋に向かい、開いている部屋を尋ねた。幸い、中の子と二号一、翠玉と艾葉、琥珀と玉髄の部屋を三室用意できた。
おやすみ、と部屋の寝台に横たえると溜まっていた疲れのせいか琥珀はぐっすりと眠りにつくことが出来た。
琥珀は、温かいものに包まれていた。何処か安らぎを感じる、幸せな感覚だ。
『――く、は……こは……』
名を――自分の名前を、誰かが呼んでいる。しかし、琥珀は暖かな此処で寝ていたかったので、中々それに応えられない。
『……て、……き……つけ……こは……く……』
藍玉の声だ――幼い頃からの馴染みであるその声を、聞き間違える筈がない。
『琥珀、気を付けて……』
「琥珀! おはよう」
かけられた声に、琥珀は驚いて瞳を開けると反射的にがばりと上体を起こした。
夢を見ていたらしい。窓から明るい日差しを取り入れ、先に起きた玉髄が琥珀に声をかけたようだった。
「ん?どうした?」
琥珀の様子に、玉髄は不思議そうに尋ねる。
「いや、何でもない。おはよう」
琥珀は頭を振り、ゆっくりと覚醒する。
――夢の中だが、藍玉の声は何処か琥珀に切羽詰まった感じで話しかけていた気はする。琥珀は思い出した夢の中の藍玉の声に、焦りに似た感情に急かされる思いがした。
「ほら、琥珀早く用意しろよ?」
戦士服に着替えて、玉髄は手ぬぐいを手にまだ布団にいる琥珀に、もう一度声をかける。
「ごめんごめん、すぐ着替えるよ」
琥珀は寝台から降りると、手早く玉髄と同じく戦士服に着替えた。そうして二人で洗面用の井戸で顔を洗い、菩提樹の木で作られた歯木で歯を磨いた。
翠玉や艾葉も用意できた様で、宿屋の受付で四人が揃った。まだ姿を見せていない中の子と二号一を、のんびりと待つ。しかし、昨夜あんなに肉を食べた筈の琥珀も玉髄も、お腹が空いているようで、小さく腹を鳴らしていた。
「あの……」
そんな二人に、艾葉がおずおずと声をかけてきた。
「これ、良かったらどうぞ。木の実です」
艾葉は、腰に下げた木綿の袋から胡桃や銀杏の実などを取り出した。
「え? これどうしたの?」
琥珀は、艾葉の手に出された木の実を見て、不思議そうに尋ねたが喜びに顔を輝かせた。
「――使役する小さい式神に、与えるので常に持っているんです」
「いただきまーす!」
艾葉の返答と共に、琥珀はそれを一つ手にして直ぐに口に入れた。軽く焼いてあるのか、香ばしくて美味しかった。顔をほころばせる琥珀を見て、思わず玉髄も手を伸ばす。
「美味いな」
「僕も欲しいー!」
翠玉も手を伸ばしてきた。
その様子が、なんだか餌付けをしているようで、艾葉は少し笑みを浮かべた。
「あ! ようやく笑った!」
その笑顔を見た翠玉が、嬉しそうに胡桃を口に運んでにっこりと笑む。
「あ、その、……すみません……」
はっとして、艾葉はまた身を縮める。翠玉は昨日同じ部屋でもあまり話そうとしない艾葉の事が、とても気になっていた。何か気が付かないうちに、自分が悪い事をしたのかもしれないと心配していたのだ。
「なあに?
朝からアンタ達つまみ食い?」
眠そうな中の子を引きずりながら、二号一がようやく姿を現した。艾葉から木の実を貰っている一同に、呆れた表情を浮かべていた。
「さ、朝餉を食べて出発するわよ」
一行は、昨日訪れた飯屋に向かってまた沢山頼み、喧嘩しながらもそれらを全て腹に収めた。その様子に、飯屋の女将は楽しそうだった。そして、中の子の気取らない様子に、すっかり感動していた。
飯屋も宿屋も、彼らから代金を受け取らなかった。王宮が代金を持ってくると、使い手に指示されているのだという。光の子は、中の子を溺愛している。それを知っている使い手は、光の子の機嫌を損ねる事をしない為、昨日言った言葉を守ったのだろう。
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