不死者転生 -救いのない物語- 転生した不死者は生きる為に侵略し美しい眷属を従える

ボロン

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宗教国家オセの悲劇

不死者転生54 国盗り

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 聖王国首都を封鎖した聖騎士隊、即ちノエル教は混乱の収束を目的としてイルミナティを名乗る10名の官僚を派遣し統治を開始した。とは言え既存の制度を突然変えるわけにはいかない。彼らがまず行ったのは通常の国政を滞りなく行う為の議決が主だったものとなったが、他方で財政面の把握を最優先事項として調査を開始した。

 聖王国はオセの隣国であり、対魔人に於ける戦争には積極的ながら人類に対しては中立を固辞してきた歴史的背景から財政面は安定していたが、先の内紛による戦費は重く貯蓄の大半を失っていた。

 また、歳入を取りまとめた数値は、様々な歳入源の数値をまとめたものだが精査されておらず信用に足る数値とは言えない状況である。また、主だった産業はなく、外貨は巡礼者の経由地としての役割により得られるが多くはない。

 支出についても他国に比べ極端に多い支出はなく、戦費が抑えられていた分を備蓄できていた事を考えると寧ろ健全と言えた。

 イルミナティのメンバーが教皇より指示された方針は徹底した愚民化である。また、指導的立場の人間を排除する為に王族、貴族という特別な身分の廃止が一旦の目標であった。当然反発は予想されるが、、聖騎士隊という職業軍人による圧倒的な物量の前に武力で抵抗しうる勢力は既にない。まして、貴族という立場の人間達が異端により操られ内紛を起こし、更には王宮内で異端儀式が行われたのだ。民衆にとって天上人たる存在は今や疑念の対象となっていた。

 イルミナティによる統治が開始されて1ヶ月が過ぎた頃には政治経済の主要な人物がリストアップされ、それから2ヶ月の間に洗脳や脅迫、又は使い魔化により完全に掌握されるに至る。

 主に内紛の影響で低迷した経済を立て直すべく彼らは王族の財産を没収、ノエル教徒は教皇の名の下に平等である、というを掲げ、没収した財貨のほとんどを市場へ解放した。次いで、内乱に関わった領主達の権威•権限の凍結を宣言し同様に財産を没収、領主及びその親族は聖騎士隊によるを強制された。

 この時点で聖王国領土の8割がノエル教に掌握されている事になる。更にノエル教教皇の名の下に異端との聖戦、その徹底が宣言される。その際、異端の通報が教徒の義務として課せられ、家族、村、街、、と、それぞれの単位で相互監視及び連帯責任とする仕組みが構築され、異端の通報者には報奨金が支払われ、被害者の財産は没収、審議の為に森に近い教会施設に移送される流れが構築された。なお、審議により無罪とされ戻った者はただの一人もいなかった。

 僅か数ヶ月の内に聖王国内での生存条件はノエル教への服従となり、異論を唱える事や疑念を持つ事は即ち死に直結する異常な監視社会へと変貌を遂げていた。


「魅惑の花の生産は問題なさそうか?」

「はい。異端として連行した労働力があるのでこの分ならすぐできるようになると思います。」

メアは聖王国で内乱が発生する前から魅惑の花の栽培方法を研究し2ヶ月ほど前に手法を確立。二人の目の前には広大な栽培用地を埋め尽くす薄紅色の花畑が広がっている。

 この世界に麻薬は流通していなかったが民間療法として一部で利用されていたベラという花は一時的に気分が高揚し、自信が増し、疲労感が取れる効果があるとされ処方されていた。この花の花弁を燻し乾燥させ、そこに人口繭の羊水を混ぜ沸騰し精製した粉により強い中毒性と強力な多幸感を感じる麻薬が出来上がった。

 一度使うと虜となり、摂取が滞ると中枢神経に異常をかたし、酷い悪夢やおぞましい幻覚症状、妄想を引き起こす。更に大脳新皮質が萎縮しまるでスポンジのようになり正常な判断力を奪う事で取り返しのつかない後遺症を患うことになる。

 聖王国をオセに取り込み新国家樹立を宣言すれば周辺諸国は反発するだろう。だが、干渉する余力がない程、治世が乱れれば別だ。聖王国自体は真っ赤なイデオロギーに支配されつつある。元々争いを嫌い人を偶像崇拝する宗教に傾倒してきた彼らは己が身を守る為に従順に受け入れる事だろう。

「アリア、メア、エリー。国盗りを始めるぞ!」

「ご主人様の仰せのままに。」
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