10 / 15
episode 2 無刻の樹海
10
しおりを挟む
遺跡に着くなり、フィーは目を輝かせて観察している。
鏡面のような壁を触り、これが本当に割れるの?とブツブツと一人言を言いながら。
かつて父から聞き齧った知識を照らし完全に自分の世界だ。
「フィー、この円柱の台座に手を当てると扉が開いんだ。ヒィーが触っても開かないと思うか?」
「あっ、ごめんごめん!つい夢中になってしまって。だって、この石室に入れるだなんて、、。あっ、えっと、私が触れても、、よね。試してみる。」
そう言うなり止める暇もなくさっと手をかざす、が、何も起きない。
「やっぱりね。知られているだけで、似た遺跡は3つ存在するの。亜人の大陸に2つ、人族の大陸に1つ。これは、、、どちらかと言えば人族側だから、これで2つずつね。」
他にもあるのか。
「今まで色々な実験がされてるんだ。この水面のような傷ひとつない壁なんて、何をしても傷一つ付かない。台座も、魔力を通しても、何をしても何一つ反応がないの。これが何で、なんの目的で存在するのか、全くの謎。」
さういうと、お手上げだと言わんばかりに首を傾げる。
「なるほど。そーなると、、、これが開くのを見る初めての亜人、、人族も含めてでいうなら、君は歴史の証人になるのかもしれないね。」
「歴史の証人?、、、ふふ、いいね。それ、なんかすごくいいよ!」
「では、、、」
台座に手を触れると、ピッピッと音が鳴り光の筋が走る。
そして、、プシュッと空気の抜けるような音と共に音もなく入り口が出現する。
「す、、すごい、、すごい!すごいよ!」
満面の笑顔でフィーが僕の顔を見て、抑えきれず抱きついてくる。
「はは、僕が何かしたって訳じゃない、、と思うんだけど。でも、フィーが喜んでくれて僕も嬉しいよ。」
「歴史の証人!だね!」
さて、、興奮するフィーには悪いけど、これに入るのか?という問題だ。何があるかわからないのだ。
パンドラの箱のように、世界に災厄が撒かれて残ったのは一欠片の希望でした、なんてのは望んでないのだ。
それに、、、この壁の周囲を見て回ったが、一辺が10m程の正方形で、何かあるなら地下だろう。
なのに、、、入り口から見える通路の奥は闇だ。
常識で考えるなら見えるはずの先が見えないのだから、本能的な恐怖を、感じるのは致し方ない。
「ふぅ、、、。入る必要、、あるのかな。」
優先順位の問題だ。
このような知的好奇心を満たせるのは、生きること自体に問題がない環境で出来る贅沢ってやつじゃないか。
「ええ!何言ってるの!??入らなきゃダメだよ!もし、明日死んだとしてさ、入らなかったって悔やんで死にたくないもの。」
んー、、、優先順位は人それぞれということか。
フィーの話が正しいなら、少なくとも侵入を頑なに拒んでいた遺跡が僕には入れと開いた、と考えれば入った瞬間に殺されるような罠はないのかもしれない。
考えるには材料が少ないし、、必要なのは決断だ。
悩むことではないのか。
「わかった。僕が入った途端に閉じて、中から開けれなくなったら外からも開けれないだろ?かといって、フィーだけ入るのも危険だと思う。だから、2人で入ろう。」
「もちろんだよ!」
好奇心はあれど不安もまたある。
だからか自然と手を繋いで僕らは入り口へと踏み入れた。
足元は硬質な素材で壁と似ている。
数歩進むと空気の揺れを感じ、後ろを振り返るとちょうど入り口が閉じたところだった。
そして、閉じると同時に人工的な光で一気に視界が開ける。
そこは何もない空間だった。
いや、部屋の真ん中に円柱があるので、何もないわけではないんだけど。
「なんだか、、、思ったより広いね、、。」
不安そうに身を寄せてフィーが感想を述べる。
外から見たら10m四方だったはずだが、、明らかに広い。
外から見たら2倍はありそうだ。
「あの台座、似たようなものなら何かあるかもしれない。」
「そう、、よね。」
恐る恐る台座まで進み、、フィーを見る。
フィーは無言で頷く。
僕は台座に手をかざす。
今度は音もなく中心の宝石が💡を発すると、目の前の、空間にモニターが浮かぶ。
ほんとにらSFじゃないか、、、。
「ヒッ、、」
前世ではゲームなんかでも当たり前にある演出だから、僕はすんなり受け入れてしまったけどフィーには未知も未知だ。
握った手を優しく包むように少し強く握る。
モニター場では見たこともない文字が高速で流れていく。
何かの起動中?だろうか。
とにかく見守るしかない。
しばらくするとモニターの文字の流れが消え二つの文字がボタンのように左右に配置され表示された画面で止まる。
「これ、、わかる?」
フィーはブンブンッと首を振る。
二者択一か。
確か四角の動線は左右と進むので、yes or noは右がyesの配置にする事が多かったはず、、、。
この設備やモニターを見るに科学的な文明の遺物だとすればUIも似通ってると考えていいだろう。
ここでも決断、だな。
何について聞かれているのか、そもそも判断を仰ぐような内容なのかもわからない。
ただ、直感がここは押しとけと無責任にささやく。
フィーは不安そうに僕とモニターを交互に見ている。
「フィー、これが何か僕にもわからないけど、、おそらくこの2つは選択肢だと思う。僕は右を選ぶよ。」
「選択肢って何の?、、わかりっこないか。」
「うん。でも、選ばないと何もかわらないだほうし、、ここにいても飢えるだけだ。だから、僕は選ぶよ。」
「わ、わかったわ。ノアに任せる。ここに入れただけで、、すごい事だし。私は満足だから、だから、、、お願い。」
わかった、と頷きぼくは右のボタンを押す。
すると相変わらず訳のわからない文字列がモニターを走るように流れてく。
しばらくすると、ローディング画面のように線が進み、、全てのびきると正面に扉が出現する。
更にロード画面を挟みながら繰り返される度に今度は左と右に扉が出現さ、最後にまたボタンが表示される。
今度は一つだけだ。
完了ってことなんだろうか?
ボタンを押すとスッと消えるようにモニターがなくなり、、一筋の光がかざした僕の手の甲に当たると一瞬で幾何学的な紋様を刻む。痛みがなかったから、良かったからびっくりした。
そしてどういう原理かわからないが、この設備についての情報が開示された。
この紋様は管理者権限の保有者を示している。
なんで、光が手に当たって知識がインストールされるんだよ。
一連の流れを考えると、ぼくが手をかざした事でシステムが起動しセットアップを開始、完了した。という印象だ。
世界を作り変える傲慢な無印か。
科学が行き着く先、神の逆鱗にでも触れたのかもしれない。
「さて、、フィー。ここには3つの選択肢がある。どれから開く?」
「えっ、、」
なになになに?!って状態から、当然振られても困るよね。
「多分だけど、危険はないと思うんだ。」
—————————————————
もし良ければ、お気に入り登録お願いします。
鏡面のような壁を触り、これが本当に割れるの?とブツブツと一人言を言いながら。
かつて父から聞き齧った知識を照らし完全に自分の世界だ。
「フィー、この円柱の台座に手を当てると扉が開いんだ。ヒィーが触っても開かないと思うか?」
「あっ、ごめんごめん!つい夢中になってしまって。だって、この石室に入れるだなんて、、。あっ、えっと、私が触れても、、よね。試してみる。」
そう言うなり止める暇もなくさっと手をかざす、が、何も起きない。
「やっぱりね。知られているだけで、似た遺跡は3つ存在するの。亜人の大陸に2つ、人族の大陸に1つ。これは、、、どちらかと言えば人族側だから、これで2つずつね。」
他にもあるのか。
「今まで色々な実験がされてるんだ。この水面のような傷ひとつない壁なんて、何をしても傷一つ付かない。台座も、魔力を通しても、何をしても何一つ反応がないの。これが何で、なんの目的で存在するのか、全くの謎。」
さういうと、お手上げだと言わんばかりに首を傾げる。
「なるほど。そーなると、、、これが開くのを見る初めての亜人、、人族も含めてでいうなら、君は歴史の証人になるのかもしれないね。」
「歴史の証人?、、、ふふ、いいね。それ、なんかすごくいいよ!」
「では、、、」
台座に手を触れると、ピッピッと音が鳴り光の筋が走る。
そして、、プシュッと空気の抜けるような音と共に音もなく入り口が出現する。
「す、、すごい、、すごい!すごいよ!」
満面の笑顔でフィーが僕の顔を見て、抑えきれず抱きついてくる。
「はは、僕が何かしたって訳じゃない、、と思うんだけど。でも、フィーが喜んでくれて僕も嬉しいよ。」
「歴史の証人!だね!」
さて、、興奮するフィーには悪いけど、これに入るのか?という問題だ。何があるかわからないのだ。
パンドラの箱のように、世界に災厄が撒かれて残ったのは一欠片の希望でした、なんてのは望んでないのだ。
それに、、、この壁の周囲を見て回ったが、一辺が10m程の正方形で、何かあるなら地下だろう。
なのに、、、入り口から見える通路の奥は闇だ。
常識で考えるなら見えるはずの先が見えないのだから、本能的な恐怖を、感じるのは致し方ない。
「ふぅ、、、。入る必要、、あるのかな。」
優先順位の問題だ。
このような知的好奇心を満たせるのは、生きること自体に問題がない環境で出来る贅沢ってやつじゃないか。
「ええ!何言ってるの!??入らなきゃダメだよ!もし、明日死んだとしてさ、入らなかったって悔やんで死にたくないもの。」
んー、、、優先順位は人それぞれということか。
フィーの話が正しいなら、少なくとも侵入を頑なに拒んでいた遺跡が僕には入れと開いた、と考えれば入った瞬間に殺されるような罠はないのかもしれない。
考えるには材料が少ないし、、必要なのは決断だ。
悩むことではないのか。
「わかった。僕が入った途端に閉じて、中から開けれなくなったら外からも開けれないだろ?かといって、フィーだけ入るのも危険だと思う。だから、2人で入ろう。」
「もちろんだよ!」
好奇心はあれど不安もまたある。
だからか自然と手を繋いで僕らは入り口へと踏み入れた。
足元は硬質な素材で壁と似ている。
数歩進むと空気の揺れを感じ、後ろを振り返るとちょうど入り口が閉じたところだった。
そして、閉じると同時に人工的な光で一気に視界が開ける。
そこは何もない空間だった。
いや、部屋の真ん中に円柱があるので、何もないわけではないんだけど。
「なんだか、、、思ったより広いね、、。」
不安そうに身を寄せてフィーが感想を述べる。
外から見たら10m四方だったはずだが、、明らかに広い。
外から見たら2倍はありそうだ。
「あの台座、似たようなものなら何かあるかもしれない。」
「そう、、よね。」
恐る恐る台座まで進み、、フィーを見る。
フィーは無言で頷く。
僕は台座に手をかざす。
今度は音もなく中心の宝石が💡を発すると、目の前の、空間にモニターが浮かぶ。
ほんとにらSFじゃないか、、、。
「ヒッ、、」
前世ではゲームなんかでも当たり前にある演出だから、僕はすんなり受け入れてしまったけどフィーには未知も未知だ。
握った手を優しく包むように少し強く握る。
モニター場では見たこともない文字が高速で流れていく。
何かの起動中?だろうか。
とにかく見守るしかない。
しばらくするとモニターの文字の流れが消え二つの文字がボタンのように左右に配置され表示された画面で止まる。
「これ、、わかる?」
フィーはブンブンッと首を振る。
二者択一か。
確か四角の動線は左右と進むので、yes or noは右がyesの配置にする事が多かったはず、、、。
この設備やモニターを見るに科学的な文明の遺物だとすればUIも似通ってると考えていいだろう。
ここでも決断、だな。
何について聞かれているのか、そもそも判断を仰ぐような内容なのかもわからない。
ただ、直感がここは押しとけと無責任にささやく。
フィーは不安そうに僕とモニターを交互に見ている。
「フィー、これが何か僕にもわからないけど、、おそらくこの2つは選択肢だと思う。僕は右を選ぶよ。」
「選択肢って何の?、、わかりっこないか。」
「うん。でも、選ばないと何もかわらないだほうし、、ここにいても飢えるだけだ。だから、僕は選ぶよ。」
「わ、わかったわ。ノアに任せる。ここに入れただけで、、すごい事だし。私は満足だから、だから、、、お願い。」
わかった、と頷きぼくは右のボタンを押す。
すると相変わらず訳のわからない文字列がモニターを走るように流れてく。
しばらくすると、ローディング画面のように線が進み、、全てのびきると正面に扉が出現する。
更にロード画面を挟みながら繰り返される度に今度は左と右に扉が出現さ、最後にまたボタンが表示される。
今度は一つだけだ。
完了ってことなんだろうか?
ボタンを押すとスッと消えるようにモニターがなくなり、、一筋の光がかざした僕の手の甲に当たると一瞬で幾何学的な紋様を刻む。痛みがなかったから、良かったからびっくりした。
そしてどういう原理かわからないが、この設備についての情報が開示された。
この紋様は管理者権限の保有者を示している。
なんで、光が手に当たって知識がインストールされるんだよ。
一連の流れを考えると、ぼくが手をかざした事でシステムが起動しセットアップを開始、完了した。という印象だ。
世界を作り変える傲慢な無印か。
科学が行き着く先、神の逆鱗にでも触れたのかもしれない。
「さて、、フィー。ここには3つの選択肢がある。どれから開く?」
「えっ、、」
なになになに?!って状態から、当然振られても困るよね。
「多分だけど、危険はないと思うんだ。」
—————————————————
もし良ければ、お気に入り登録お願いします。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
【短編】淫紋を付けられたただのモブです~なぜか魔王に溺愛されて~
双真満月
恋愛
不憫なメイドと、彼女を溺愛する魔王の話(短編)。
なんちゃってファンタジー、タイトルに反してシリアスです。
※小説家になろうでも掲載中。
※一万文字ちょっとの短編、メイド視点と魔王視点両方あり。
淫紋付きランジェリーパーティーへようこそ~麗人辺境伯、婿殿の逆襲の罠にハメられる
柿崎まつる
恋愛
ローテ辺境伯領から最重要機密を盗んだ男が潜んだ先は、ある紳士社交倶楽部の夜会会場。女辺境伯とその夫は夜会に潜入するが、なんとそこはランジェリーパーティーだった!
※辺境伯は女です ムーンライトノベルズに掲載済みです。
冴えない建築家いずれ巨匠へと至る
木工槍鉋
ファンタジー
「建築とは、単なる箱を作ることではない。そこに流れる『時』を設計することだ――」
かつてそう語り、伝説の巨匠と呼ばれることになる男も、かつては己の名前に怯えるだけの冴えない二級建築士だった。
安藤研吾、40代。独立したものの仕事はなく、下請けとして「情緒のない真四角な箱」の図面を引き続ける日々。そんな彼が恩師に教えられた座標の先で迷い込んだのは、昭和初期を彷彿とさせる、魔法のない異世界だった。
現代の建築知識、そして一釘一釘を大切にする頑固大工との出会い。 「便利さ」ではなく「住む人の幸せ」を求めて、研吾は廃村に時計台を建て、水路を拓き、人々の暮らしを再生していく。
異世界で「百年の計」を学んだ研吾が現実世界に戻ったとき、その設計は現代の建築界をも揺るがし始める。 これは、一人の男が仕事への誇りを取り戻し、本物の「巨匠」へと駆け上がるまでの、ひたむきな再建の記録。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる