加護なし転生

ボロン

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episode 2 無刻の樹海

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遺跡に着くなり、フィーは目を輝かせて観察している。
鏡面のような壁を触り、これが本当に割れるの?とブツブツと一人言を言いながら。
かつて父から聞き齧った知識を照らし完全に自分の世界だ。

「フィー、この円柱の台座に手を当てると扉が開いんだ。ヒィーが触っても開かないと思うか?」

「あっ、ごめんごめん!つい夢中になってしまって。だって、この石室に入れるだなんて、、。あっ、えっと、私が触れても、、よね。試してみる。」

そう言うなり止める暇もなくさっと手をかざす、が、何も起きない。

「やっぱりね。知られているだけで、似た遺跡は3つ存在するの。亜人の大陸に2つ、人族の大陸に1つ。これは、、、どちらかと言えば人族側だから、これで2つずつね。」

他にもあるのか。

「今まで色々な実験がされてるんだ。この水面のような傷ひとつない壁なんて、何をしても傷一つ付かない。台座も、魔力を通しても、何をしても何一つ反応がないの。これが何で、なんの目的で存在するのか、全くの謎。」

さういうと、お手上げだと言わんばかりに首を傾げる。

「なるほど。そーなると、、、これが開くのを見る初めての亜人、、人族も含めてでいうなら、君は歴史の証人になるのかもしれないね。」

「歴史の証人?、、、ふふ、いいね。それ、なんかすごくいいよ!」

「では、、、」

台座に手を触れると、ピッピッと音が鳴り光の筋が走る。
そして、、プシュッと空気の抜けるような音と共に音もなく入り口が出現する。

「す、、すごい、、すごい!すごいよ!」

満面の笑顔でフィーが僕の顔を見て、抑えきれず抱きついてくる。

「はは、僕が何かしたって訳じゃない、、と思うんだけど。でも、フィーが喜んでくれて僕も嬉しいよ。」

「歴史の証人!だね!」

さて、、興奮するフィーには悪いけど、これに入るのか?という問題だ。何があるかわからないのだ。
パンドラの箱のように、世界に災厄が撒かれて残ったのは一欠片の希望でした、なんてのは望んでないのだ。

それに、、、この壁の周囲を見て回ったが、一辺が10m程の正方形で、何かあるなら地下だろう。
なのに、、、入り口から見える通路の奥は闇だ。
常識で考えるなら見えるはずの先が見えないのだから、本能的な恐怖を、感じるのは致し方ない。

「ふぅ、、、。入る必要、、あるのかな。」

優先順位の問題だ。
このような知的好奇心を満たせるのは、生きること自体に問題がない環境で出来る贅沢ってやつじゃないか。

「ええ!何言ってるの!??入らなきゃダメだよ!もし、明日死んだとしてさ、入らなかったって悔やんで死にたくないもの。」

んー、、、優先順位は人それぞれということか。
フィーの話が正しいなら、少なくとも侵入を頑なに拒んでいた遺跡が僕には入れと開いた、と考えれば入った瞬間に殺されるような罠はないのかもしれない。
考えるには材料が少ないし、、必要なのは決断だ。
悩むことではないのか。

「わかった。僕が入った途端に閉じて、中から開けれなくなったら外からも開けれないだろ?かといって、フィーだけ入るのも危険だと思う。だから、2人で入ろう。」

「もちろんだよ!」

好奇心はあれど不安もまたある。
だからか自然と手を繋いで僕らは入り口へと踏み入れた。

足元は硬質な素材で壁と似ている。
数歩進むと空気の揺れを感じ、後ろを振り返るとちょうど入り口が閉じたところだった。
そして、閉じると同時に人工的な光で一気に視界が開ける。

そこは何もない空間だった。
いや、部屋の真ん中に円柱があるので、何もないわけではないんだけど。

「なんだか、、、思ったより広いね、、。」

不安そうに身を寄せてフィーが感想を述べる。
外から見たら10m四方だったはずだが、、明らかに広い。
外から見たら2倍はありそうだ。

「あの台座、似たようなものなら何かあるかもしれない。」

「そう、、よね。」

恐る恐る台座まで進み、、フィーを見る。
フィーは無言で頷く。
僕は台座に手をかざす。

今度は音もなく中心の宝石が💡を発すると、目の前の、空間にモニターが浮かぶ。
ほんとにらSFじゃないか、、、。

「ヒッ、、」

前世ではゲームなんかでも当たり前にある演出だから、僕はすんなり受け入れてしまったけどフィーには未知も未知だ。
握った手を優しく包むように少し強く握る。

モニター場では見たこともない文字が高速で流れていく。
何かの起動中?だろうか。
とにかく見守るしかない。

しばらくするとモニターの文字の流れが消え二つの文字がボタンのように左右に配置され表示された画面で止まる。

「これ、、わかる?」

フィーはブンブンッと首を振る。
二者択一か。

確か四角の動線は左右と進むので、yes or noは右がyesの配置にする事が多かったはず、、、。
この設備やモニターを見るに科学的な文明の遺物だとすればUIも似通ってると考えていいだろう。
ここでも決断、だな。

何について聞かれているのか、そもそも判断を仰ぐような内容なのかもわからない。
ただ、直感がここは押しとけと無責任にささやく。

フィーは不安そうに僕とモニターを交互に見ている。

「フィー、これが何か僕にもわからないけど、、おそらくこの2つは選択肢だと思う。僕は右を選ぶよ。」

「選択肢って何の?、、わかりっこないか。」

「うん。でも、選ばないと何もかわらないだほうし、、ここにいても飢えるだけだ。だから、僕は選ぶよ。」

「わ、わかったわ。ノアに任せる。ここに入れただけで、、すごい事だし。私は満足だから、だから、、、お願い。」

わかった、と頷きぼくは右のボタンを押す。

すると相変わらず訳のわからない文字列がモニターを走るように流れてく。
しばらくすると、ローディング画面のように線が進み、、全てのびきると正面に扉が出現する。
更にロード画面を挟みながら繰り返される度に今度は左と右に扉が出現さ、最後にまたボタンが表示される。
今度は一つだけだ。

完了ってことなんだろうか?

ボタンを押すとスッと消えるようにモニターがなくなり、、一筋の光がかざした僕の手の甲に当たると一瞬で幾何学的な紋様を刻む。痛みがなかったから、良かったからびっくりした。

そしてどういう原理かわからないが、この設備についての情報が開示された。
この紋様は管理者権限の保有者を示している。
なんで、光が手に当たって知識がインストールされるんだよ。

一連の流れを考えると、ぼくが手をかざした事でシステムが起動しセットアップを開始、完了した。という印象だ。

世界を作り変える傲慢な無印か。
科学が行き着く先、神の逆鱗にでも触れたのかもしれない。

「さて、、フィー。ここには3つの選択肢がある。どれから開く?」

「えっ、、」

なになになに?!って状態から、当然振られても困るよね。

「多分だけど、危険はないと思うんだ。」





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