異世界の歩き方〜慰謝料を請求したい〜

白色ひつじ

文字の大きさ
16 / 34
1.始まりの地

じゅうろく、飲み物を確保しよう

しおりを挟む
水信玄餅もどきを手のひらに乗せて荷物を見せてあげる。

「急に首筋に飛んでくるのは今度からやめてほしいかな、びっくりして死んじゃいそうだから。手とかに乗ってきてね。さ、どれがいいかな」

目があるのか分からないけど、全部が見えるように荷物の上を手のひらでかざしていく。すると、ひらたくなってジャンプをした。

「なるほど、こんな風に移動をするのか。結構な勢いで飛ぶのね。弾力があるわね。で、これが気に入ったの?」

水信玄餅もどきが気に入ったのは、家の鍵のようだ。

「んんー、鍵は流石に渡せないかな、あ、このついてる鈴はどうかな。はい、どうぞ」

鈴でも良さそうだったので、キーホルダーを外して目の前に置いてどうするのか眺めていると、取り込んだ。取り込みましたよ、今、そんな動きできるの。透明な水信玄餅もどきから真ん中に鈴がある水信玄餅もどきに変わりました。

「ぷるぷる動いていても鈴の音はならないのね。たまに動く、ああ、好きに動かせるのね。気に入ってくれてるようで何よりよ。あ、濾過したペットボトルの水は飲めなかったようなんだけど、あなた、いるかしら?君は元々そこから生まれたんだけど、覚えてるかなあ」

そのへんに捨ててもいいかな、とも思ったけど一応水信玄餅もどきに聞いてみる。手の上に乗せて濾過したペットボトルの前まで運んであげる。

「どう?これなんだけど」

相変わらず、ペットボトルの水はちゃぽちゃぽ動いている。水信玄餅もどきのように意思があるのかしら。
二人を見比べていると水信玄餅もどきが飛んでペットボトルのゆるんでいる蓋から中に入っていく。

「ああ、そんな無理に入ろうとすると鈴が落ちちゃうわよ。ほら、蓋を開けてあげるから待って。こっちにきて」

蓋を開けてあげたらすんなりと中に入っていった。

「蓋は閉じない方がいいかしら。とりあえず開けておくわね。なんだかせっかちね」

・・・・・

お昼も食べ終え、隣に水信玄餅もどきの入っているペットボトルを置き、パサランと話していると急に思い出した。

「あ、パサラン。朝起きたらね、これがあったのだけどなんだかわかる?」

朝起きたらあったガラスの石をポケットからだして、パサランに見せる。
すると、パサランが一度膨張したかと思ったら急に強い光をだしはじめた。

「うわ、ちょっと眩し、えっ、ごめん。駄目だったかな、背中に敷いて寝ちゃったんだけど」

パサランがチカチカしてすぐにケサランと綿毛の仲間たちがわらわらとやってきた。ガラスの石を持っている私の周りをぐるぐるまわりだす。

「うわあ、まだ目がぼやけるわ。え、これ、そんなやばいものなの…」

昨晩見た光景を思い出して私も何か痛い思いをするかもしれないと思いつつ、あまりにもいきなり囲まれてしまったので思考が停止してしまう。私、何かやってしまったのかしら。パサランがガラスの石を置くようにいっている気がするので、そっと地面に置く。置いたガラスを綿毛ちゃんが持ち去っていく。

「これ、背中にあったんだけどそんなにやばいものなの。私も退治されちゃったりするのかな」

言葉が通じないけれど思わず話しかけてしまう。
水分不足で死ぬのも今ここで死ぬのも嫌よ。もっと文明的な生活を送りたいし、何よりまだまだ死ぬわけにはいかないわ。

「ふふ、おかしいわね。まだ2日目なのにずっと泣いているわ、私」

死にたくない、と思いつつもどうにもできない状況に自然と涙がでてくる。ケサランが涙を拭ってくれ、パサランが慰めるように肩にとまった。

「ありがとね、2人とも。泣いててごめんなさいね」

しばらく泣いているといつの間にか綿毛ちゃんたちが解散をしていた。

「終わったのかしら。なんだったの一体…」

唖然としながらも助かったことがわかり、力が抜けてくる。

「つ、疲れたわ~!あー、もう疲れた。今日はおしまいにしたいわ!いえ、ここまた夜も危険だったらいけないし、お引越しもしないとよね、ケサラン、パサランいいとこ知ってる?ここだと毎晩あの変なのがやってくるの?」

2人と会話しつつもせっせと手を動かして穴を掘る。花が近くに咲いているし、もう少し深く掘ったらもっと水が得られるかもしれない、と思ったのだ。

毎晩ではなく不定期で変なナニカが落ちてくるそうなので、やはりここは危険だけど、花畑の中で暮らすには獣道はあまりにも狭く花を潰すのも心苦しい…あ、切り株のところはどうかしら。ケサランとパサランに聞いてみましょ。場所、わかるかしら。

「ねえねえ、切り株のここなんかはどうかな?拠点を変えてみようと思うんだけど…寝るときに切り株の場所に行くのはどうかしら。危なかったりする?」

拠点を変えると行ったときに2人ともが首を勢いよく振っていたので寝るときだけというので聞いてみたら、2人は話し合ってるみたい。この世界の危険度、よく分からないけど、2人を信じるしかないのよね。

話はまとまり、寝るときだけ移動、ということになったようだ。

「パサラン、毎晩ここから私と一緒に荷物を運んでもらえるかしら。対価の歌はこれにしましょ!」

~♪~~♪♪~~~♪♪♪

お花が題名の歌よ。車のラジオでよく流れてて覚えちゃったのよね。流行曲もおさえておかないと会社の人たちとの打ち上げ困るのよね。最近は行ってないけど。

「どうかしら?この歌で今晩運んでもらえるかしら」

どうやら運んでもらえるらしい。よかった、これで一安心ね。…いえ、一安心でもなかったわ。衣食住の住が辛うじてってところよ。

「ケサラン、パサラン、水が得られる場所とかってわかるかしら。ケサランが水を出せるのも分かるんだけど対価の目はちょっと…」

ケサランが水筒に近づいていったので中身はないよ、と見せてあげると水を入れてくれた。

「え、いきなり?ありがとう。だけど対価を払えてないと思うんだけど、契約違反とかそういうのは平気?私はとっても嬉しいし助かるのだけど、目はあげられないのよ?」

水を飲んだら目が見えなくなるとかノーセンキューよ!







しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』

宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています

空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。 『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。 「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」 「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」 そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。 ◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)

神スキル【絶対育成】で追放令嬢を餌付けしたら国ができた

黒崎隼人
ファンタジー
過労死した植物研究者が転生したのは、貧しい開拓村の少年アランだった。彼に与えられたのは、あらゆる植物を意のままに操る神スキル【絶対育成】だった。 そんな彼の元に、ある日、王都から追放されてきた「悪役令嬢」セラフィーナがやってくる。 「私があなたの知識となり、盾となりましょう。その代わり、この村を豊かにする力を貸してください」 前世の知識とチートスキルを持つ少年と、気高く理知的な元公爵令嬢。 二人が手を取り合った時、飢えた辺境の村は、やがて世界が羨む豊かで平和な楽園へと姿を変えていく。 辺境から始まる、農業革命ファンタジー&国家創成譚が、ここに開幕する。

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

アイムキャット❕~異世界キャット驚く漫遊記~

ma-no
ファンタジー
 神様のミスで森に住む猫に転生させられた元人間。猫として第二の人生を歩むがこの世界は何かがおかしい。引っ掛かりはあるものの、猫家族と楽しく過ごしていた主人公は、ミスに気付いた神様に詫びの品を受け取る。  その品とは、全世界で使われた魔法が載っている魔法書。元人間の性からか、魔法書で変身魔法を探した主人公は、立って歩く猫へと変身する。  世界でただ一匹の歩く猫は、人間の住む街に行けば騒動勃発。  そして何故かハンターになって、王様に即位!?  この物語りは、歩く猫となった主人公がやらかしながら異世界を自由気ままに生きるドタバタコメディである。 注:イラストはイメージであって、登場猫物と異なります。   R指定は念の為です。   登場人物紹介は「11、15、19章」の手前にあります。   「小説家になろう」「カクヨム」にて、同時掲載しております。   一番最後にも登場人物紹介がありますので、途中でキャラを忘れている方はそちらをお読みください。

処理中です...