28 / 75
第1章 医療の星 [医星]
第9話 持たざる弱者の想い
しおりを挟む
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
【登場人物】
[サンダー・パーマー=ウラズマリー]
Gene of Thunderbolt
金髪の活発な青年。電撃系の能力を持つ。
サンダー・P・ウラズマリーから「プラズマ」というあだ名で呼ばれる。
遺伝子能力養成学校中等部を卒業し、輸送船に忍び込んで宇宙へと旅立った。
▼ヴィスタ診療所
[ヴィスタ]
医星で医者をしている若い女性。
[バリス・スピア]
医星で医者をしている青年。
目つきがとても悪い。
▼その他
[セリナ]
プラズマの幼馴染の女の子。
勤勉で真面目な性格。氷の能力を操る。
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
~医星中心街区・ビル内~
「すぐにわかるわ……バリス!!」
ヴィスタが両手を前へ掲げると、プラズマ達を囲むように地面から大量の荊が発生した。
「この量っ……!」
「上からもだ!!」
「くっそ!風唱!」
バリスはプラズマに風の煉術を打ち込んだ。
それによってプラズマは荊の攻撃範囲内から外れ、バリスも風を放った反動で圏内から脱する。
間一髪だった。
二人が元いた場所を見ると、上下から生える荊が押し合うように挟撃していた。
「あそこにいたら潰されてたな。」
「ヴィスタのAGISはおそらく一定範囲内ならヴィスタ自身からだけでなく、どこからでも荊を伸ばすことができる。」
「どこからでも!?」
「そう………」
「空間からもなっ!!!」
プラズマとバリスの眼前から突然荊が伸びる。
「っぶねぇ……!!頭取れるとこだったぞ……!」
「(AGISの能力は厄介だが、ヴィスタは戦闘慣れしていない。)」
「ヴィスタは防御から攻撃に移るのに時間がかかる。」
「戦闘慣れしてないから全てが防御に集中させ、その後に攻撃に移行する。」
「その隙を狙うぞ。」
バリスは直径1メートル程の毒球をヴィスタに向けて放つと、続いて煉術も発動させた。
「炎唱!」
「毒霧なんて効かないわよ!!バリス!!」
自身を操り人形のようにして毒霧に突っ込んで来るヴィスタ。
バリスが自分を傷つける技を使ってこないだろうと読んでのことだった。
「くそっ!!」
プラズマが電撃を纏ってヴィスタに正面から体当たりするが、ビクともせず止められてしまう。
それもそのはず、彼女の胸部は荊で何重にも武装され、弾力性のある鎧のようになっていたのだ。
そして電撃によって燃えた胸部を新たな荊が覆い鎮火する。
「私を忘れているぞ!」
プラズマの左脇腹付近に直径30cm大の氷塊がぶつかり、それによってプラズマは大きく吹き飛ばされた。
そして入り口から、よれたスーツを着た不気味な男が現れた。
「肋骨はいっただろうな。私が神立病院の紹介状を書きましょうか?」
「プラズマ!!」
吹き飛ばされたプラズマの元にバリスが駆け寄る。
「どうも。神立病院職員のアルコ・トーレと申します。」
その不気味な男、アルコ・トーレはわざとらしく丁寧に挨拶をした。
「てめぇ、そんな堂々と神立って名乗っていいのかよ。こんなことが知れたら……」
「大丈夫。あなた方はここで捕らえられるのだから。」
「そもそも、この星にはみ出し者であるあなたの言うことなど信じる権力者がいると思いますか?」
「さて、では先にはみ出し者のスピア先生から潰しましょうか。」
「AGIS!!製氷者!」
トーレが両手を天へと掲げると直径3メートルほどの氷塊を生み出した。
「食らえっ!!!」
「ごめんね……バリス。」
ヴィスタは悲しそうにそう言うと、トーレの氷塊と同時に大量の荊を放った。
「やばい……!!」
すると四方八方から迫る荊の波と巨大な氷塊が炎に包まれ、跡形もなく消え去った。
「依頼主が助けたから今回は支払いなしだな。」
今回の依頼主である政府軍中佐のラルト・ローズがプラズマ達の後ろに立っていた。
そしてローズ中佐はタバコに火をつけながら彼らの前へと歩み出る。
「神立病院のアルコ・トーレは睨んじゃいたが、本当に診療所のやつも一枚噛んでたとはな。」
余裕な態度でタバコをふかす銀髪の男の登場に、トーレは苦虫を潰したような表情を浮かべている。
「お前は……!政府軍のラルト・ローズ……!」
銀河中央政府軍の中佐。
各星に設置されている地方政府軍の階級持ちとは桁違いの戦力。
その中でも【獄炎】の二つ名で知られる彼は、現場執行能力が高い若い軍人としても有名だった。
「さて……」
ローズ中佐はスーツの内ポケットから茶封筒を取り出した。
「逮捕状だ。朱種五級手配犯としてのな。」
ローズ中佐は茶封筒から折りたたまれた紙面を取り出すと、封筒をポケットへと戻す。
そして畳まれた紙面を広げて、上下を持ってパンッと伸ばした。
「アルコ・トーレ、お前には強盗で央星中央裁判所から逮捕状が出てる。いいかぁ?今から逮捕状読み上げるぞー?」
「被疑者は、医星貧民街区在住の氏名不詳複数名と共謀の……っとぉ!!」
ローズ中佐は顔面目掛けて飛んできた氷塊を焼き払った。
「読んでるときに攻撃してくんなよ。」
「もう邪魔すんなよ。………で、共謀の上、同星………っておい!飛ばすなって!」
中佐が読み始めたところでトーレは再度氷塊を放つが、軽く避けられてしまう。
「ふぅ………まぁいいや。逮捕手続書になんて書くかな。」
「『被疑者に逮捕する旨を告げ犯罪事実を読み聞かせようとするも、同人は本職に対して一方的に遺伝子能力による攻撃を仕掛け、逮捕に抵抗したものである』………」
「ってなとこだろうなぁ!!!」
「あとお前、軍務執行妨害もつくからな!」
「このっ……!!」
ヴィスタがローズ中佐に攻撃しようとした時だった。
ローズ中佐が手を掲げると、ヴィスタの周りを円状に炎の壁が囲む。
「お嬢さん、あんた無理に突っ切ろうとすんなよ。」
「俺の炎はちょっとやそっとじゃ消えないからな。身体に巻き付いてる荊ともども燃え尽きんぞ。」
「くっ……」
「さて、じゃぁトーレの野郎を捕まえるか。」
ローズ中佐は“いっちょやってやるか”と言わんばかりに腕や首を回している。
「よし!いいか、俺がアイツの氷塊に火球をぶつける。その瞬間必ずスキができるはずだ。その隙にお前らで制圧してくれ。」
「ならその隙に俺が突っ込む。」
「突っ込むってそんな体当たりでいけるか!!」
「大丈夫だ。コイツは電撃を纏って高速で突撃できる。相手をのすことくらいはできるはずだ。」
「まぁ、なんとかなるか……じゃぁいくぞ!!」
ローズ中佐は合図も無しにすぐ様複合煉術を放った。
「轟唱・焔填火球!!」
その後すぐにバリスがトーレに向かって火唱を使用し、小火球を放つが躱されてしまう。
「その程度の火球で体勢を崩せるとでも思ったか!!舐めおって!!」
バリスの火唱を躱したトーレは、ローズ中佐の攻撃に対応するように氷塊で迎撃する。
そして爆風を起こしながら2人の攻撃が相殺されたと同時にプラズマがトーレの眼前へと迫った。
「これ……狙………!!」
トーレが氷でプラズマを迎撃しようとするが……
「腕…が…動か……」
トーレは腕を上げることができないどころか、呂律も回らなくなっていた。
その瞬間、プラズマの背後に見えるバリスが笑みを浮かべているのが目に入る。
「10秒も吸い込めば効くような即効性の麻痺毒だ。」
「(くそっ、最初の火唱は躱した先にあった毒に当てたものだったか……!)」
すでに言葉を発することすらできなくなったトーレはその場に倒れ込んだ。
ローズ中佐がヴィスタを取り囲んでいた炎の壁を解除すると、彼女はその中心で倒れていた。
「しまった、酸欠になっちまったか!」
倒れるヴィスタの元にバリスが駆け寄り、脈を確認した。
「ヴィスタ!!」
「……ん………」
倒れてから間もなかったからか彼女に意識はあるようだった。
その様子を見て一安心したローズ中佐は倒れるヴィスタの元へ歩みよった。
「さて……」
「ちょっと待て……!」
「心配すんな。とりあえずこの医者の娘をしょっぴくつもりはねぇ。」
「この娘は、“トーレにさらわれて人質にされてたところ、飲まされた薬で遺伝子能力に目覚めて、助けに来たお前らとの戦闘に巻き込まれた”んだろ?」
「軍上層部はどう考えてんのかは知らねぇが、正直俺はこの星の貧民街区の扱いには疑問しかない。」
「貧民街区の奴らは元医者やその家族だろ?」
「二大病院のやり方に背いた者、告発しようとした者、弱者に味方しようとした者……」
「そういう奴らをクビにして貧民街区でしか生きられないようにする。」
「で、特殊な毒を持った昆虫やらをばら撒いて消せば万事解決だからな。」
「あとはトーレから、特殊な毒を生成してる奴らを手繰れるかだ。」
ローズ中佐はそう言い、トーレの方に振り向くと、その姿がなかった。
「うわ、やべっ!!逃しちまった。」
麻痺して動けないと油断していたのが仇となった。
組織的な犯行である可能性が高く、仲間が助けにくることも考えておくべきだった。
「怒られっかなぁ……」
「まぁ……そこのお嬢さんを救護してる間に逃げられたことにするか。」
ローズ中佐は“しまった”と頭を掻いた後、逮捕状を封筒に入れると、救急に通報した。
程なくして、救急車や警察車両のサイレンがけたたましく鳴り始める。
「ヴィスタ……」
バリスは自分の無力さに憤りながらも、倒れる彼女の手を握ることしかできなかった。
To be continued.....
【EXTRA STORY】
「くそっ……!」
「こんなはずでは……!!」
「あの娘が強化剤一本であそこまで能力を飛躍させるとは……」
「だが……最低限はクリアできた……」
「あとは、パイカがなんと言うか……」
「最悪皇帝に助けを……」
To be continued to next EXTRA STORY.....?
【登場人物】
[サンダー・パーマー=ウラズマリー]
Gene of Thunderbolt
金髪の活発な青年。電撃系の能力を持つ。
サンダー・P・ウラズマリーから「プラズマ」というあだ名で呼ばれる。
遺伝子能力養成学校中等部を卒業し、輸送船に忍び込んで宇宙へと旅立った。
▼ヴィスタ診療所
[ヴィスタ]
医星で医者をしている若い女性。
[バリス・スピア]
医星で医者をしている青年。
目つきがとても悪い。
▼その他
[セリナ]
プラズマの幼馴染の女の子。
勤勉で真面目な性格。氷の能力を操る。
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
~医星中心街区・ビル内~
「すぐにわかるわ……バリス!!」
ヴィスタが両手を前へ掲げると、プラズマ達を囲むように地面から大量の荊が発生した。
「この量っ……!」
「上からもだ!!」
「くっそ!風唱!」
バリスはプラズマに風の煉術を打ち込んだ。
それによってプラズマは荊の攻撃範囲内から外れ、バリスも風を放った反動で圏内から脱する。
間一髪だった。
二人が元いた場所を見ると、上下から生える荊が押し合うように挟撃していた。
「あそこにいたら潰されてたな。」
「ヴィスタのAGISはおそらく一定範囲内ならヴィスタ自身からだけでなく、どこからでも荊を伸ばすことができる。」
「どこからでも!?」
「そう………」
「空間からもなっ!!!」
プラズマとバリスの眼前から突然荊が伸びる。
「っぶねぇ……!!頭取れるとこだったぞ……!」
「(AGISの能力は厄介だが、ヴィスタは戦闘慣れしていない。)」
「ヴィスタは防御から攻撃に移るのに時間がかかる。」
「戦闘慣れしてないから全てが防御に集中させ、その後に攻撃に移行する。」
「その隙を狙うぞ。」
バリスは直径1メートル程の毒球をヴィスタに向けて放つと、続いて煉術も発動させた。
「炎唱!」
「毒霧なんて効かないわよ!!バリス!!」
自身を操り人形のようにして毒霧に突っ込んで来るヴィスタ。
バリスが自分を傷つける技を使ってこないだろうと読んでのことだった。
「くそっ!!」
プラズマが電撃を纏ってヴィスタに正面から体当たりするが、ビクともせず止められてしまう。
それもそのはず、彼女の胸部は荊で何重にも武装され、弾力性のある鎧のようになっていたのだ。
そして電撃によって燃えた胸部を新たな荊が覆い鎮火する。
「私を忘れているぞ!」
プラズマの左脇腹付近に直径30cm大の氷塊がぶつかり、それによってプラズマは大きく吹き飛ばされた。
そして入り口から、よれたスーツを着た不気味な男が現れた。
「肋骨はいっただろうな。私が神立病院の紹介状を書きましょうか?」
「プラズマ!!」
吹き飛ばされたプラズマの元にバリスが駆け寄る。
「どうも。神立病院職員のアルコ・トーレと申します。」
その不気味な男、アルコ・トーレはわざとらしく丁寧に挨拶をした。
「てめぇ、そんな堂々と神立って名乗っていいのかよ。こんなことが知れたら……」
「大丈夫。あなた方はここで捕らえられるのだから。」
「そもそも、この星にはみ出し者であるあなたの言うことなど信じる権力者がいると思いますか?」
「さて、では先にはみ出し者のスピア先生から潰しましょうか。」
「AGIS!!製氷者!」
トーレが両手を天へと掲げると直径3メートルほどの氷塊を生み出した。
「食らえっ!!!」
「ごめんね……バリス。」
ヴィスタは悲しそうにそう言うと、トーレの氷塊と同時に大量の荊を放った。
「やばい……!!」
すると四方八方から迫る荊の波と巨大な氷塊が炎に包まれ、跡形もなく消え去った。
「依頼主が助けたから今回は支払いなしだな。」
今回の依頼主である政府軍中佐のラルト・ローズがプラズマ達の後ろに立っていた。
そしてローズ中佐はタバコに火をつけながら彼らの前へと歩み出る。
「神立病院のアルコ・トーレは睨んじゃいたが、本当に診療所のやつも一枚噛んでたとはな。」
余裕な態度でタバコをふかす銀髪の男の登場に、トーレは苦虫を潰したような表情を浮かべている。
「お前は……!政府軍のラルト・ローズ……!」
銀河中央政府軍の中佐。
各星に設置されている地方政府軍の階級持ちとは桁違いの戦力。
その中でも【獄炎】の二つ名で知られる彼は、現場執行能力が高い若い軍人としても有名だった。
「さて……」
ローズ中佐はスーツの内ポケットから茶封筒を取り出した。
「逮捕状だ。朱種五級手配犯としてのな。」
ローズ中佐は茶封筒から折りたたまれた紙面を取り出すと、封筒をポケットへと戻す。
そして畳まれた紙面を広げて、上下を持ってパンッと伸ばした。
「アルコ・トーレ、お前には強盗で央星中央裁判所から逮捕状が出てる。いいかぁ?今から逮捕状読み上げるぞー?」
「被疑者は、医星貧民街区在住の氏名不詳複数名と共謀の……っとぉ!!」
ローズ中佐は顔面目掛けて飛んできた氷塊を焼き払った。
「読んでるときに攻撃してくんなよ。」
「もう邪魔すんなよ。………で、共謀の上、同星………っておい!飛ばすなって!」
中佐が読み始めたところでトーレは再度氷塊を放つが、軽く避けられてしまう。
「ふぅ………まぁいいや。逮捕手続書になんて書くかな。」
「『被疑者に逮捕する旨を告げ犯罪事実を読み聞かせようとするも、同人は本職に対して一方的に遺伝子能力による攻撃を仕掛け、逮捕に抵抗したものである』………」
「ってなとこだろうなぁ!!!」
「あとお前、軍務執行妨害もつくからな!」
「このっ……!!」
ヴィスタがローズ中佐に攻撃しようとした時だった。
ローズ中佐が手を掲げると、ヴィスタの周りを円状に炎の壁が囲む。
「お嬢さん、あんた無理に突っ切ろうとすんなよ。」
「俺の炎はちょっとやそっとじゃ消えないからな。身体に巻き付いてる荊ともども燃え尽きんぞ。」
「くっ……」
「さて、じゃぁトーレの野郎を捕まえるか。」
ローズ中佐は“いっちょやってやるか”と言わんばかりに腕や首を回している。
「よし!いいか、俺がアイツの氷塊に火球をぶつける。その瞬間必ずスキができるはずだ。その隙にお前らで制圧してくれ。」
「ならその隙に俺が突っ込む。」
「突っ込むってそんな体当たりでいけるか!!」
「大丈夫だ。コイツは電撃を纏って高速で突撃できる。相手をのすことくらいはできるはずだ。」
「まぁ、なんとかなるか……じゃぁいくぞ!!」
ローズ中佐は合図も無しにすぐ様複合煉術を放った。
「轟唱・焔填火球!!」
その後すぐにバリスがトーレに向かって火唱を使用し、小火球を放つが躱されてしまう。
「その程度の火球で体勢を崩せるとでも思ったか!!舐めおって!!」
バリスの火唱を躱したトーレは、ローズ中佐の攻撃に対応するように氷塊で迎撃する。
そして爆風を起こしながら2人の攻撃が相殺されたと同時にプラズマがトーレの眼前へと迫った。
「これ……狙………!!」
トーレが氷でプラズマを迎撃しようとするが……
「腕…が…動か……」
トーレは腕を上げることができないどころか、呂律も回らなくなっていた。
その瞬間、プラズマの背後に見えるバリスが笑みを浮かべているのが目に入る。
「10秒も吸い込めば効くような即効性の麻痺毒だ。」
「(くそっ、最初の火唱は躱した先にあった毒に当てたものだったか……!)」
すでに言葉を発することすらできなくなったトーレはその場に倒れ込んだ。
ローズ中佐がヴィスタを取り囲んでいた炎の壁を解除すると、彼女はその中心で倒れていた。
「しまった、酸欠になっちまったか!」
倒れるヴィスタの元にバリスが駆け寄り、脈を確認した。
「ヴィスタ!!」
「……ん………」
倒れてから間もなかったからか彼女に意識はあるようだった。
その様子を見て一安心したローズ中佐は倒れるヴィスタの元へ歩みよった。
「さて……」
「ちょっと待て……!」
「心配すんな。とりあえずこの医者の娘をしょっぴくつもりはねぇ。」
「この娘は、“トーレにさらわれて人質にされてたところ、飲まされた薬で遺伝子能力に目覚めて、助けに来たお前らとの戦闘に巻き込まれた”んだろ?」
「軍上層部はどう考えてんのかは知らねぇが、正直俺はこの星の貧民街区の扱いには疑問しかない。」
「貧民街区の奴らは元医者やその家族だろ?」
「二大病院のやり方に背いた者、告発しようとした者、弱者に味方しようとした者……」
「そういう奴らをクビにして貧民街区でしか生きられないようにする。」
「で、特殊な毒を持った昆虫やらをばら撒いて消せば万事解決だからな。」
「あとはトーレから、特殊な毒を生成してる奴らを手繰れるかだ。」
ローズ中佐はそう言い、トーレの方に振り向くと、その姿がなかった。
「うわ、やべっ!!逃しちまった。」
麻痺して動けないと油断していたのが仇となった。
組織的な犯行である可能性が高く、仲間が助けにくることも考えておくべきだった。
「怒られっかなぁ……」
「まぁ……そこのお嬢さんを救護してる間に逃げられたことにするか。」
ローズ中佐は“しまった”と頭を掻いた後、逮捕状を封筒に入れると、救急に通報した。
程なくして、救急車や警察車両のサイレンがけたたましく鳴り始める。
「ヴィスタ……」
バリスは自分の無力さに憤りながらも、倒れる彼女の手を握ることしかできなかった。
To be continued.....
【EXTRA STORY】
「くそっ……!」
「こんなはずでは……!!」
「あの娘が強化剤一本であそこまで能力を飛躍させるとは……」
「だが……最低限はクリアできた……」
「あとは、パイカがなんと言うか……」
「最悪皇帝に助けを……」
To be continued to next EXTRA STORY.....?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる