上 下
6 / 10

第5話「キタコレ」

しおりを挟む


 ピヨピヨ

 小鳥のさえずり、まだ太陽がのぼり始めた早朝。起きた。というか目が覚めた。

 「腹ヘッタ・・・」

 腹の鳴る音で目を開け、未だ薄暗い窓の向こうへ視線を向ける。

 「金以前に食料がピンチだったわ」

 昨日はなんだかんだ町には着けたものの、野道を歩き回り、戦闘もして、平均以上にカロリーを消費した、育ち盛りのこの体でパン一個は流石にキツかった。

 「もういくか」

 空腹で二度寝する気分でもない。装備を整え出ることにした。
 因みに、この町の井戸水で体を拭くことは出来るのだが、如何せん今の俺は手拭すら持ってない。仕方ないので道中、水で顔を洗うくらいに留めることにする。
 下に降りるが、案の定まだ誰もいなかった。ドアに鍵が掛かっているが内側から開けられるタイプだ。このまま出ても良いが、流石に黙っていくのはあれか。
 勝手にカウンターの中に入り、引き出しやら棚やら漁り白紙を1枚見つけた。
 「レベル上がったら戻る」と殴り書いて机の上に置いておいた。
 さて、とりま昨日の集落に行って見ますか。2レベルアップが最優先だ。












 「お」

 昨日の集落付近に来た。
 来る途中2匹のゴブリンが見えたので追跡した結果、数匹のゴブリンが集まって集落を復旧していた。
 8匹くらいか。今の俺なら行けるな。
 ということで早速飛べ出て、まずは追跡していたゴブリンの背中にショートソードを突き刺す。そのままの流れで刺したゴブリンの持っていたナイフを奪い、横にいるもう片方のゴブリンの首元に突き刺す。

 「グギャ!?」

 復旧作業中のゴブリン達が気づいた。すぐさま武器を手に取りこちらに向かって来る。
 ショートソードとナイフを抜き、こちらも接近する。
 よく見ると武器を持っているのは4匹で、後は石ころや削った木の棒を持っていた。昨日、武器の方も適当に地面に投げつけてボロボロにしといたからな。
 振られる剣や槍をショートソードで弾き、ナイフを首元に突き刺す。
 別方向から振り下ろされる木の棒を避け、腹を蹴り飛ばす。その隙に再び突き出さられる剣をショートソードで流しながら柄ごと掴み、腕を切り落とす。返しの斬り上げで袈裟斬りしつつ、奪った剣で投げられる石を弾き落とす。

・「レベルアップ」を確認しました。報酬として「ガチャポイント1p」を入手しました。

 一番近い木の棒を持ったゴブリンに踏み込む。木の棒が振られるよりも先にショートソードを突き出す。首を貫いた刃をそのまま横に振り抜き、後ろに向き直る。
 既に斧と槍を持ったゴブリンが接近してくる。
 奪った方の剣を逆手に持ち、更に奥の方に投擲。石を投げ付けてきていたゴブリンの胴体を射抜き、先に処理する。
 突き出される槍を弾きながら避け、斧は振りかぶった手首を蹴り上げ、武器を飛ばす。体を捻り、回転斬りで槍持ちの首をはねると同時に、手ぶらになった方の顔面を掴み上げる。
 レベルアップによる向上した身体能力を生かし、思いっきり地面に叩きつけた。頭が砕け、血肉が飛び散る音を聞きながら体勢を直す。

・「レベルアップ」を確認しました。報酬として「ガチャポイント1p」を入手しました。
・「10レベル達成」を確認しました。報酬として「ガチャポイント10p」「経験値」を入手しました。
・「レベルアップ」を確認しました。報酬として「ガチャポイント1p」を入手しました。
・レベルが既定値に達しました。魔力を開放しました。

 「あん?」

 脳内通知に意識を削がれながら、一応周りを確認。他にゴブリンは見当たらない。
 一息付き、ちゃっちゃと解体用ナイフで耳を切り取り、一度来た道を戻りこの場を離れる。

 「さてと・・・魔力?」

 そういえば、俺の魔力って。
 当然だが、この世界には「魔術」と呼ばれる物がある。魔力を使い、様々な事象を引き起こすアレだ。
 そして、この「魔力」は基本誰にでも備わっている機能の一つだ。量や質が個々によって違うのはお約束だが、人間の子供でも、魔物でも持っているものだ。
 「魔力を持っている」ということは即ち「魔術を使う事ができる」という事。
 魔術のスキルは存在するし、スキルを持っていないと使えない魔術もあれば、そうでないものもある。これはまぁ、今までのスキルと一緒だ。
 そんな常識を思い出す。いや、忘れていたわけではないのだが、何故か今の今まで意識出来なかった。

 「あーこれか」

 そして「魔力の操作」という常識《・・》が感覚を馴染ませてくれる。
 試してみるか。

「よっと」

 魔力を身体に巡らせ、身体能力を向上させる。
 近くの木に向かってジャンプし、3メートル程上の枝にぶら下がる。

「おおー」

 試しに視力を強化してみた。結果よく見えるようになった。双眼鏡倍率4倍くらい。・・・うん、微妙。
 まぁ魔力操作は追々だな。それよりもだ。

スキル「ガチャ」
『ポイント』
ガチャポイント:20p
売却ポイント:150p

ガチャ11連:ガチャポイント10p
ガチャポイントを消費してガチャを引きますか?
YES/NO

 ガチャポイントが溜まった。レベルアップと10レベル達成でなんと20連分もだ。引くしか無い。今度こそレアを引きたい。後なにより食い物が欲しい!もしくわ大金に換金できる何か。もう空腹でしょうがないのだ。黒パンでもなんでも良い!換金できそうな物が出れば一度ゲルムに帰る気でいる。

YES(ポチ)

チュイーン ピピピピピピピピピピピン

・C 石ころ
・N 木製のコップ 
・N 石の矢
・UC 緑葉薬草
・R タープラントとホワイトウルフの蓑
・UC ナターネの実
・N 黒パン
・UC パンツ(女性用)
・C オヴィスシープの羊毛
・HN 凪石の櫛
・N 回復薬 

YES(ポチ)

・C レイスマッシュルーム
・UC 松明
・C 木串
・SR スキル「活力吸収《スタミナドレイン》」 
・C 石ころ
・UC 木箱
・C 石筆
・C スルズナッツ 
・R+ 巨人の戦斧 
・C 石ころ 
・C 木の枝

 フォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!SRキタコレーーーーーーーーーー(゚∀゚)!!!
 落ち着け。落ち着け。まずは落ち着け。順番に片付けて行こう。まずは黒パンを出そう。齧りながら見ていこう。ガジガジ

『ナターネの実』
レアリティ:UC
植物資源「ナターネ」に成る実。潰すと食用油が出てくる
・1000年以上前に勇者の魔法『フェンシカエルロー』によって齎された一大資源「ナターネ」。根はポーション、幹は紙、葉は食用、実は油、それぞれの素材になる。
→使用
→強化
→売却

『オヴィスシープの羊毛』
レアリティ:C
一般的に流通している羊毛。糸、生地の主材料。量:2.5キログラム
・畜産業として世界中で扱われている「オヴィスシープ」という羊型魔物の毛。
→使用
→強化
→売却

『タープラントとホワイトウルフの蓑』
レアリティ:R
植物型魔物「タープラント」の揮発性の高い蔦と狼型魔物「ホワイトウルフ」の断熱性に秀でた毛皮を合わせて作られた蓑
・寒冷環境にて必須級のホワイトウルフ製の防寒着に、雨具としての機能を追加した秀逸な一品。
→使用
→強化
→売却

『松明』
レアリティ:UC
一般的な品質の松明。可燃持続時間は2時間程
・火種は別売。
→使用
→強化
→売却

『木箱』
レアリティ:UC
荷物輸送等で一般的に使用されている木箱。50センチの立方体。
・当然、空。
→使用
→強化
→売却

『スルズナッツ』
レアリティ:C
スルズに成る実を乾燥させたもの。砕くと胡椒になる。
・一般的に使われる胡椒の一つ。
→使用
→強化
→売却

『巨人の戦斧』
レアリティ:R+
巨人族が使う鉄斧。
・めっちゃ重い。
→使用
→強化
→売却

『スキル「活力吸収《スタミナドレイン》」』
レアリティ:SR
ドレイン系スキル。触れているもしくは1メートル以内の標的に対し発動。活力を吸収し奪う。
・同系統のエナジードレインと比較した際、条件難易度が容易である反面、吸収量は少ない。
→使用
→売却

 SRである!SR!しかもR+まである!たまらん!しかもスキルである。これはもうテンションブチ上げでも仕方ないだろう。もうコップとか櫛とか詳細を見る気にもならない。早速スキルを覚える事にした。

 「おぉー」

 なんか使える気がする。ただ周りに試せそうなものはない。
 しゃーない。後で確認するか。
 次に巨人の戦斧を見てみる。使用を押し顕現させると。

 「でっか」

 俺の身長よりも大きい斧が出てきた。まぁ巨人族用だもんな。
 試しに持ってみた。うん、めっちゃ重い。持てんわこれ。まぁ巨人族用だもんな。
 これは売りかなぁ。まぁ巨人族用だもんな。

 「つか食料出なかったな」

 ついでに換金出来そうなものも感覚ない感じだった。レベルは10を超えたが、継続して散策して金を作らねば。パンは1個食ったが、当然まだ足りないし、夜の分も必要なのだ。
 そんなわけで、道を逸れ、ちょっと川外れを散策してみるとしよう。


しおりを挟む

処理中です...