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第4章 運動会編
第15話 初恋の人に見て欲しい
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運動会当日
俺はかなり緊張している。
別に運動会自体に緊張している訳では無い……
まぁ、『中身はおっさん』だし、こんな『大舞台』というものは社会に出てからでも何度でもあった。
『現実世界』で働いていた会社でも大勢の前で発表する機会は幾らでもあったし、部下達がいる手前、オドオドした様子をみせる事も出来なかったので、いつの間にか俺は『今までの経験』と『演技力』によって『全然、緊張していない俺』ってのを創る能力を身に付けていた。
しかし今日はダメだ。
朝から、いや、この一週間くらい緊張しっぱなしだ。
それは何故か?
勿論、今日の運動会に『つねちゃん』が来るからだ。
『中身がおっさん』の俺がそれくらいで何故緊張するんだと思われるかもしれないが、こればかりは仕方が無い……
誰だって『好きな人』の前で良いところを見せたいはずだ。
それに俺は『現実世界』では経験出来なかった事を『この世界』で出来るまたとないチャンスが訪れたのだから。
そして、ややこしい言い方をするが、俺は『現実世界の未来』を知っている。
そう、『現実世界』での俺はせっかくリレーの選手に選ばれたのにスタートと同時に、いきなりコケてしまいクラスの笑い者になる事を知っている。
だから絶対に『つねちゃん』にはそんな恥ずかしいところを見せる訳にはいかないのだ。
その思いがプレッシャーとなり俺の緊張度を高めていた。
「五十鈴君、どうかしたの? なんか疲れた顔をしてるけど……気持ちでも悪いの?」
寿久子が心配そうな顔をしながら俺に声をかけてきた。
さすがは女子だ。男なんかよりも遥かに観察力があるし、良く気が利くなぁぁ……
まぁ、この時期の子供は男よりも女の方がしっかりしていると聞いた事があるし、寿は女子の中でも特にしっかりしていて面倒見も良いし美人さんだからクラスの『マドンナ』として絶大な人気がある。
『現実世界』での俺も寿の事はとても憧れていたからなぁ……
だから『現実世界』の俺だったら、今の様に寿に声をかけられただけでも嬉しさのあまり興奮していただろう……
ただ今の俺には寿が『普通の小学一年生』にしか見えないのが非常に残念ではある。
「いや大丈夫だよ、寿さん。少しだけ緊張しているだけだから……心配してくれて有難う……」
俺がそう答えると寿は安心した表情をした後に満面の笑顔で『良かった』と言いながら他の女子達の所へ走って行くのであった。
寿が他の女子達と楽しそうに話をしている姿を見ていると、俺の背後が騒がしくなってきた。
「おい、見ろよ!! あの女の人『つねちゃん』じゃないのか!?」
「あっ、本当だ!! 『つねちゃん』だ!!」
俺と同じ幼稚園に通っていた『つねちゃん』のクラスの子達が騒ぎ出していた。
遂に『つねちゃん』が来た!!
俺は嬉しさを押し殺し、冷静な表情を無理矢理つくり、『つねちゃん』の所へ向おうとした矢先に高山が俺に話しかけてきた。
「おい、五十鈴? 『つねちゃん』って誰なの?」
「えっ? あぁ、俺が『青葉幼稚園』に行ってた時の先生だよ」
「へぇ、すっごく美人な先生だねぇ……」
高山がそう言うと俺は何故か自分の彼女を褒められた感覚になってしまい、少し大きな声で高山にこう言った。
「そ、そうだろぉぉ!? 俺の自慢の先生さっ!!」
俺は高山の手を掴んで『高山もつねちゃんに紹介してやる』と言いながら二人笑顔で『つねちゃん』のところに駆け寄って行くのであった。
二人の光景を寿がジッと見ていた事など知る由もなく……
「つっ、つねちゃん!!」
俺は『つねちゃん』の周りに集まっている『元教え子』達をかき分けて、高山と一緒に『つねちゃん』の前に出た。
そして俺の姿を見た『つねちゃん』は目を細くし、『天使の様な笑顔』で俺の前で中腰になり俺の耳元でこう言った。
「隆君、元気そうで良かったわ。それと志保ちゃんから聞いたわよ。リレーの選手に選ばれたんだってね? 凄いじゃない。先生、しっかり応援するから頑張ってね……」
『つねちゃん』にそう言われた俺は『年甲斐もなく』顔を真っ赤にしながら返事をする。
「う、うん……俺、頑張るよ……」
俺は『つねちゃん』からの応援の言葉で更に緊張が増してきた。
絶対にコケられない……
例え『夢の世界』であっても『つねちゃん』に恥ずかしいところは見せられない……
いや、見せたくない……
絶対に『現実世界の過去』を変えてやる!!
俺は拳を握りしめながら、そう心に誓うのだった。
――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
運動会に来てくれた『つねちゃん』
そして耳元で応援の言葉を優しく言われた隆......
遂に『つねちゃん』に良いところを見せる為に隆が走る!!
果たして隆は『現実世界の過去』を変える事ができるのか!?
俺はかなり緊張している。
別に運動会自体に緊張している訳では無い……
まぁ、『中身はおっさん』だし、こんな『大舞台』というものは社会に出てからでも何度でもあった。
『現実世界』で働いていた会社でも大勢の前で発表する機会は幾らでもあったし、部下達がいる手前、オドオドした様子をみせる事も出来なかったので、いつの間にか俺は『今までの経験』と『演技力』によって『全然、緊張していない俺』ってのを創る能力を身に付けていた。
しかし今日はダメだ。
朝から、いや、この一週間くらい緊張しっぱなしだ。
それは何故か?
勿論、今日の運動会に『つねちゃん』が来るからだ。
『中身がおっさん』の俺がそれくらいで何故緊張するんだと思われるかもしれないが、こればかりは仕方が無い……
誰だって『好きな人』の前で良いところを見せたいはずだ。
それに俺は『現実世界』では経験出来なかった事を『この世界』で出来るまたとないチャンスが訪れたのだから。
そして、ややこしい言い方をするが、俺は『現実世界の未来』を知っている。
そう、『現実世界』での俺はせっかくリレーの選手に選ばれたのにスタートと同時に、いきなりコケてしまいクラスの笑い者になる事を知っている。
だから絶対に『つねちゃん』にはそんな恥ずかしいところを見せる訳にはいかないのだ。
その思いがプレッシャーとなり俺の緊張度を高めていた。
「五十鈴君、どうかしたの? なんか疲れた顔をしてるけど……気持ちでも悪いの?」
寿久子が心配そうな顔をしながら俺に声をかけてきた。
さすがは女子だ。男なんかよりも遥かに観察力があるし、良く気が利くなぁぁ……
まぁ、この時期の子供は男よりも女の方がしっかりしていると聞いた事があるし、寿は女子の中でも特にしっかりしていて面倒見も良いし美人さんだからクラスの『マドンナ』として絶大な人気がある。
『現実世界』での俺も寿の事はとても憧れていたからなぁ……
だから『現実世界』の俺だったら、今の様に寿に声をかけられただけでも嬉しさのあまり興奮していただろう……
ただ今の俺には寿が『普通の小学一年生』にしか見えないのが非常に残念ではある。
「いや大丈夫だよ、寿さん。少しだけ緊張しているだけだから……心配してくれて有難う……」
俺がそう答えると寿は安心した表情をした後に満面の笑顔で『良かった』と言いながら他の女子達の所へ走って行くのであった。
寿が他の女子達と楽しそうに話をしている姿を見ていると、俺の背後が騒がしくなってきた。
「おい、見ろよ!! あの女の人『つねちゃん』じゃないのか!?」
「あっ、本当だ!! 『つねちゃん』だ!!」
俺と同じ幼稚園に通っていた『つねちゃん』のクラスの子達が騒ぎ出していた。
遂に『つねちゃん』が来た!!
俺は嬉しさを押し殺し、冷静な表情を無理矢理つくり、『つねちゃん』の所へ向おうとした矢先に高山が俺に話しかけてきた。
「おい、五十鈴? 『つねちゃん』って誰なの?」
「えっ? あぁ、俺が『青葉幼稚園』に行ってた時の先生だよ」
「へぇ、すっごく美人な先生だねぇ……」
高山がそう言うと俺は何故か自分の彼女を褒められた感覚になってしまい、少し大きな声で高山にこう言った。
「そ、そうだろぉぉ!? 俺の自慢の先生さっ!!」
俺は高山の手を掴んで『高山もつねちゃんに紹介してやる』と言いながら二人笑顔で『つねちゃん』のところに駆け寄って行くのであった。
二人の光景を寿がジッと見ていた事など知る由もなく……
「つっ、つねちゃん!!」
俺は『つねちゃん』の周りに集まっている『元教え子』達をかき分けて、高山と一緒に『つねちゃん』の前に出た。
そして俺の姿を見た『つねちゃん』は目を細くし、『天使の様な笑顔』で俺の前で中腰になり俺の耳元でこう言った。
「隆君、元気そうで良かったわ。それと志保ちゃんから聞いたわよ。リレーの選手に選ばれたんだってね? 凄いじゃない。先生、しっかり応援するから頑張ってね……」
『つねちゃん』にそう言われた俺は『年甲斐もなく』顔を真っ赤にしながら返事をする。
「う、うん……俺、頑張るよ……」
俺は『つねちゃん』からの応援の言葉で更に緊張が増してきた。
絶対にコケられない……
例え『夢の世界』であっても『つねちゃん』に恥ずかしいところは見せられない……
いや、見せたくない……
絶対に『現実世界の過去』を変えてやる!!
俺は拳を握りしめながら、そう心に誓うのだった。
――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
運動会に来てくれた『つねちゃん』
そして耳元で応援の言葉を優しく言われた隆......
遂に『つねちゃん』に良いところを見せる為に隆が走る!!
果たして隆は『現実世界の過去』を変える事ができるのか!?
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