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第9章 空白の一年編
第48話 初恋の人に会うまでに
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俺は今、体育館にいる。
そして体育館の半分を使用している卓球部の先輩達の球拾いをしているのだ。
この時代は先輩後輩がはっきりとしている時代で一年生がまともに卓球が出来るのは先輩達が休憩をしている時間だけだ。だから普通に考えても一年生が直ぐに卓球が上手くなるはずがない。
また、球拾い以外は二年生の先輩達の指導による筋トレ及びマラソン……
どこが『卓球』なんだと思ってしまうが、この時代は仕方が無かった。
顧問も同じ考えだからだ。
それに『現代』とは違い、昔の『卓球部』といえば『根暗』『真面目』が集まる部活でも有名である。
おそらくいじめられっ子も多かったのではないか……
俺は『前の世界』でもさほど根暗でも真面目でも無い性格だったが、やはり友人はそういった部類の奴が多かったと思う。
なので先輩達もそういった部類が多い為に筋トレ指導という名の『しごき』は日頃、クラスメイトに遠慮ばかりしている人達だから俺達後輩には逆に当たりがきつかった。
後に俺達はその先輩達と揉める事になるのだが……
また週三回、隣で部活をしているのが『バスケ部』で球拾いをミスると網越しにピン級が『バスケ部』のコートに入ってしまう。
そしてその転がったピン級を『バスケ部』のどちらかといえば『クラスで人気者』の人達は面白がって蹴飛ばしたりする。それならまだマシだ。
ヒドイ人ならワザとピン級を踏みつぶしてしまう。
でも『卓球部』の先輩達はその行為を怒らずに愛想笑いをし、そして後から球拾いをミスってしまった後輩に八つ当たりをするという、なんとも情けない時代であった。
しかし俺達が二年生の頃にはこの状況は逆転する。
いや、逆転させたのだ。
詳しい事はいずれ分かるのだが……
俺はこの『卓球部時代』を今でも誇りに思っている。
ほんと、あの時の俺達はよく頑張ったよなぁ……と思いながら『この世界』でも俺は球拾いをしているのであった。
そんな中、高山……いや、ケンチが俺に話しかけてくる。
玉球拾い中の私語は厳禁だから俺にしてみればありがた迷惑なことだ。
「おい、隆?」
「なんだよ? 今話しかけるなよ」
「塾どうする? 今夜俺と一緒に塾の見学に行ってみるか?」
ケンチは俺の勉強の事を気にしていてくれたみたいだ。
本当にこいつは良い奴だなぁと思う。
「いや、今日は母さんにお願いだけをするよ。それに見学はしなくて大丈夫だから。気にしてくれてありがとな……」
「バカ野郎……お礼なんて言うなよ。別にお前の事を気にしている訳じゃ無いしな……」
こいつは男のクセに『ツンデレ』みたいな奴だなと思うと自然と笑みが出てしまう。
その時……
「こらっ、お前等!! 球拾い中に何しゃべってんだよ!?」
俺達に怒鳴ってきたのは一番端の卓球台でプレイをしていた二年生の『今田』であった。
この今田は今後、俺達一年生と色々と騒動がある人である。
「 「すっ、すみません!!」 」
ブオーーーン バシッ コロコロコロ……
俺達二人が謝ったと同時に背後から網をうまく潜り抜けバスケットボールが俺の前に転がって来た。するとバスケットコートの方から大きな『ドスのきいた声』がする。
「おぉぉ!! お前等、悪い悪い!! ボールをこっちに投げてくれないか?」
その声の主はバスケ部キャプテンの『片岡』であった。
俺はボールを拾い、そして網をくぐり抜けて片岡さんの方にバスケットボールのやり方のパスをした。
ヒュッ
パシッ
「おっ!?」
ボールを受け取った片岡さんが少し驚いた顔をしながら俺の方に近寄って来る。
ま、マズいな……
俺は片岡さんを怒らせる様なパスをしてしまったのか? と思っていたが、それは逆であった。
「おい、君は名前なんて言うんだ?」
「え? ああ、僕は五十鈴と言います……」
「そっかそっか五十鈴君かぁ? で、五十鈴君は『バスケット経験者』じゃないのかい? どう見ても今のパスは素人のパスとは思えなかったんだけど……」
「は、はい……小学生の頃はバスケ部でした」
俺がそう答えると片岡さんはニコッとしながら
「やっぱりそうなのか!! まあ、色々考えて『卓球部』に入ったんだろうけど、もし途中で『卓球部』が嫌になったらいつでもうちの部に来てくれていいからな!!」
「えっ? あ、有難うございます……」
片岡は俺の肩をポンと叩きバスケットコートに帰って行った。
俺は球拾いをしている自分の位置に戻るとそこには先程の今田さんが驚いた様子で立っている。そして俺に話しかけてきたのだ。
「お、お前、片岡さんと知り合いなのか? あの人はバスケ部キャプテンで生徒会長もやっている凄い人気のある人なんだぞ!!」
俺は片岡さんが生徒会長だった記憶は薄かったので少し驚いたが、俺が一番驚いたのは『前の世界』の俺は今の様なやり取りはしていなかったという事だ。
まさか片岡さんに『バスケ部』に誘われるとは……
俺は『前の世界』で『バスケットボール』に少し未練があった。でもある『事件』が起こり俺は絶対に『卓球部』で頑張ると決めたのだ。
そういえば『この世界』の俺は小六最後の大会に出場出来なかったんだよなぁ……
まぁ、出場出来てもあの時『つねちゃん』は仕事で応援に来る事が出来なかったんだけど……
でも『卓球』ならどうだろうか?
俺が先で大会に出場した時に『つねちゃん』は応援に来てくれるだろうか?
その為にもまた『この世界』で部活も頑張らなければという思いと、早く一度『つねちゃん』に会わなければという思いが大きくなっていくのであった。
よし、明日からゴールデンウィークだし、『空白の一年』があるのはとても不安だが、不安がっていても何も始まらない。この期間に『つねちゃん』に会いに行こう……
――――――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
中学生になった隆に再び色々な事が起こりそうな予感……
そして隆は『つねちゃん』に会いに行く事を決意する。
果たしてた隆は『つねちゃん』に再会する事が出来るのか?
次回もどうぞお楽しみに(^_-)-☆
そして体育館の半分を使用している卓球部の先輩達の球拾いをしているのだ。
この時代は先輩後輩がはっきりとしている時代で一年生がまともに卓球が出来るのは先輩達が休憩をしている時間だけだ。だから普通に考えても一年生が直ぐに卓球が上手くなるはずがない。
また、球拾い以外は二年生の先輩達の指導による筋トレ及びマラソン……
どこが『卓球』なんだと思ってしまうが、この時代は仕方が無かった。
顧問も同じ考えだからだ。
それに『現代』とは違い、昔の『卓球部』といえば『根暗』『真面目』が集まる部活でも有名である。
おそらくいじめられっ子も多かったのではないか……
俺は『前の世界』でもさほど根暗でも真面目でも無い性格だったが、やはり友人はそういった部類の奴が多かったと思う。
なので先輩達もそういった部類が多い為に筋トレ指導という名の『しごき』は日頃、クラスメイトに遠慮ばかりしている人達だから俺達後輩には逆に当たりがきつかった。
後に俺達はその先輩達と揉める事になるのだが……
また週三回、隣で部活をしているのが『バスケ部』で球拾いをミスると網越しにピン級が『バスケ部』のコートに入ってしまう。
そしてその転がったピン級を『バスケ部』のどちらかといえば『クラスで人気者』の人達は面白がって蹴飛ばしたりする。それならまだマシだ。
ヒドイ人ならワザとピン級を踏みつぶしてしまう。
でも『卓球部』の先輩達はその行為を怒らずに愛想笑いをし、そして後から球拾いをミスってしまった後輩に八つ当たりをするという、なんとも情けない時代であった。
しかし俺達が二年生の頃にはこの状況は逆転する。
いや、逆転させたのだ。
詳しい事はいずれ分かるのだが……
俺はこの『卓球部時代』を今でも誇りに思っている。
ほんと、あの時の俺達はよく頑張ったよなぁ……と思いながら『この世界』でも俺は球拾いをしているのであった。
そんな中、高山……いや、ケンチが俺に話しかけてくる。
玉球拾い中の私語は厳禁だから俺にしてみればありがた迷惑なことだ。
「おい、隆?」
「なんだよ? 今話しかけるなよ」
「塾どうする? 今夜俺と一緒に塾の見学に行ってみるか?」
ケンチは俺の勉強の事を気にしていてくれたみたいだ。
本当にこいつは良い奴だなぁと思う。
「いや、今日は母さんにお願いだけをするよ。それに見学はしなくて大丈夫だから。気にしてくれてありがとな……」
「バカ野郎……お礼なんて言うなよ。別にお前の事を気にしている訳じゃ無いしな……」
こいつは男のクセに『ツンデレ』みたいな奴だなと思うと自然と笑みが出てしまう。
その時……
「こらっ、お前等!! 球拾い中に何しゃべってんだよ!?」
俺達に怒鳴ってきたのは一番端の卓球台でプレイをしていた二年生の『今田』であった。
この今田は今後、俺達一年生と色々と騒動がある人である。
「 「すっ、すみません!!」 」
ブオーーーン バシッ コロコロコロ……
俺達二人が謝ったと同時に背後から網をうまく潜り抜けバスケットボールが俺の前に転がって来た。するとバスケットコートの方から大きな『ドスのきいた声』がする。
「おぉぉ!! お前等、悪い悪い!! ボールをこっちに投げてくれないか?」
その声の主はバスケ部キャプテンの『片岡』であった。
俺はボールを拾い、そして網をくぐり抜けて片岡さんの方にバスケットボールのやり方のパスをした。
ヒュッ
パシッ
「おっ!?」
ボールを受け取った片岡さんが少し驚いた顔をしながら俺の方に近寄って来る。
ま、マズいな……
俺は片岡さんを怒らせる様なパスをしてしまったのか? と思っていたが、それは逆であった。
「おい、君は名前なんて言うんだ?」
「え? ああ、僕は五十鈴と言います……」
「そっかそっか五十鈴君かぁ? で、五十鈴君は『バスケット経験者』じゃないのかい? どう見ても今のパスは素人のパスとは思えなかったんだけど……」
「は、はい……小学生の頃はバスケ部でした」
俺がそう答えると片岡さんはニコッとしながら
「やっぱりそうなのか!! まあ、色々考えて『卓球部』に入ったんだろうけど、もし途中で『卓球部』が嫌になったらいつでもうちの部に来てくれていいからな!!」
「えっ? あ、有難うございます……」
片岡は俺の肩をポンと叩きバスケットコートに帰って行った。
俺は球拾いをしている自分の位置に戻るとそこには先程の今田さんが驚いた様子で立っている。そして俺に話しかけてきたのだ。
「お、お前、片岡さんと知り合いなのか? あの人はバスケ部キャプテンで生徒会長もやっている凄い人気のある人なんだぞ!!」
俺は片岡さんが生徒会長だった記憶は薄かったので少し驚いたが、俺が一番驚いたのは『前の世界』の俺は今の様なやり取りはしていなかったという事だ。
まさか片岡さんに『バスケ部』に誘われるとは……
俺は『前の世界』で『バスケットボール』に少し未練があった。でもある『事件』が起こり俺は絶対に『卓球部』で頑張ると決めたのだ。
そういえば『この世界』の俺は小六最後の大会に出場出来なかったんだよなぁ……
まぁ、出場出来てもあの時『つねちゃん』は仕事で応援に来る事が出来なかったんだけど……
でも『卓球』ならどうだろうか?
俺が先で大会に出場した時に『つねちゃん』は応援に来てくれるだろうか?
その為にもまた『この世界』で部活も頑張らなければという思いと、早く一度『つねちゃん』に会わなければという思いが大きくなっていくのであった。
よし、明日からゴールデンウィークだし、『空白の一年』があるのはとても不安だが、不安がっていても何も始まらない。この期間に『つねちゃん』に会いに行こう……
――――――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
中学生になった隆に再び色々な事が起こりそうな予感……
そして隆は『つねちゃん』に会いに行く事を決意する。
果たしてた隆は『つねちゃん』に再会する事が出来るのか?
次回もどうぞお楽しみに(^_-)-☆
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