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治癒の効果
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ウナギをシルフィに振舞うと、城下側にある店舗を開店して民に振舞おうって話がすぐに持ち上がった。
混雑する事が考えられ、店舗の外に屋根だけのテントとテーブルと椅子を即席で大量に用意して、大勢のお客さんを待つ事にしたのはいいのだが。
食の使徒である僕が作ったイールの食事という事で、宣伝したものの門の外に人だかりは出来ても中まで入ってくる人がいない。
セバスさんとリリアさんが迎え入れてやっとお客さん達が敷地内に入ってきたのだが、妙に?服がボロボロだったり、どこかした怪我が目立つ人達の集団だった。
その中には明らかにボロを着た子供もいる。
スラムの住人かな?と考えていると、セバスさんが僕の方にきて教えてくれた。
「樹様のおかげで住むところが立派になった元スラムの住人です。この国に仕えるものとしてお恥ずかしながら、彼らは元冒険者だったり、奴隷から一般市民になったような方々ばかり、多くの人間が国からの補助でなんとか生活しております。国からの援助も無限ではありません。彼らはまた働きたいと立ち上がっても、手が震えまともに仕事ができなかったり、自分にあった仕事がなかったり、心を壊されてしまったり、中には実際に腕や足がないもの、あるけど動かない者もいます。」
セバスは顔を顰める。
「イールを使った料理と聞き、おおくの民はあまり興味を引かれなかった様で、そんな中でも彼らは使徒様の料理ならと、使徒様の為になるならと集まってくれました。王宮が使徒様の料理を振舞うと大々的に告知したのに、人が集まらないでは王宮と使徒様の恥になるのではないか?と彼らなりに心配してくれた様で、結果として一般市民達は使徒様の料理でも扱う食材がイールならとがっかりしたようです」
リリアさんも悲しそうな顔をする。
「まぁ仕方ないですよね。実績ある高名な料理人ってわけでもないですし、ああっでもここにいる皆さんは食べてくれるのかな?アイテムボックスに熱々の状態で入ってますから、すぐにでも配れますよ!それに皆さん体の調子が悪いなら、むしろ好都合です。この料理はきっとみんなに活力と元気を分けてくれる。ああっ!リリアさんもセバスさんもまだ試食もしてなかったですよね!不安になるのは当然ですよ!お二人も皆さんと一緒に食べてみてください。」
僕はそういって、熱々のうな丼と味噌汁と漬物をテーブルにどんどん並べていく。
「どうぞ!みなさん!興味ある方は座って、食べてみてください!」
そういうとチラホラとお客さんが座り始めるが、まだ誰も手つけようとしない。
近くにいた孤児の兄妹かな?妹さんは見た目の意外な綺麗さに目をぱちくりさせながら「キレイ・・・・」とつぶやいていた。
そんな二人に食べてみてと、声をかけるとお兄ちゃんの方が僕をむいて頷いてウナギにかぶりついた。
「なぁ!!!なんだこれ!?」
口に入れて少し咀嚼した瞬間に兄の方が叫んだ。
「おにいちゃん?」
「リナ!食え!滅茶苦茶美味いぞ!あぐあぐあぐぐぐぐ!!!」
そういいながらガツガツと食べ始めた。
周りはその様子に、まじか?といった表情をしながら一人、また一人と食べ始める。
「うぉ!なんじゃこりゃぁ!!!本当だ!うめぇ!!!」
「なんだぁ!下に米!?あれか!エルフが好んで食うって奴!これもうめぇ!」
「俺らの知ってるイールじゃねぇ!全然違う!こりゃうめぇ!」
「ばかやろう!うめぇがそれだけじゃねぇ!こりゃああれだ!高級な奴の料理の味って奴だよ!食ったことあるか?こんな味の飯!流石使徒様だ!」
「ほぁ!ほどける!とろける!そんでもってタレと米!これが死ぬほどうめぇ!」
「全然知らねぇ味だ!長く生きてんのにこんな味の飯食った事ねぇ!」
「すげぇ!おらぁ初めて飯で感動してる、見ろ鳥肌がとまらねぇ!!」
「あぐあぐあぐ、おいちい!」
そんな様子を見て、セバスとリリアもうな丼を食べ始める。
「んぐ!これは!?程よい弾力とほどける柔らかさ!嫌味の無い脂の美味さ!濃厚なタレ!イールがこんなにも美味くなるなんて!?米!んぐうぐ!なるほど!米!あるのとないのとでは全然違う!この米が濃いイールをどっしり受け止め!絵も言われぬ快感度を高めている!」
「イールの美味しい調理法が出た時も驚きましたけど、期待ほどではなくがっかりしました。でもこれは完全に期待以上の味です!しかもこんな味の世界知らない!王宮に仕えそれなりに世界の料理を知っている私でも知らない、味の世界!私達より高次元な味の世界!」
席はあっという間に埋まり、みんなガツガツと食べ始める。
感動に振るえるものや中には涙を流すものまでいる。
そして食事の途中に異変は始まった。
「ぐぅぅぅ、いてててちくしょう足の傷がうずきやがる!」
「お前もか?俺もないはずの腕が妙に熱いんだ」
「俺もだ。幻覚痛か?」
そして治癒は始まった。
「なんだこれ!?体の傷が!古傷や刀傷なんかも全部が治っていくぞ!!!体のじわじわした痛みが消えていく!」
「うぉおおおおおおお!俺の目も!なんだこれ!視界が!目が治ってく!!」
「肩の凝りから腰、関節の痛みなんかもなくなっていくぞ!」
「おい!聞いてくれ!俺は魔力症だ!だけどみろ!治ってく!魔力症が治ってく!病気まで治るぞこれ!!」
「日に焼けた時みたいに古い皮がむけて綺麗な肌が・・・・・脱皮みてぇだ」
「おい!!!欠損組を見ろ!!!欠損部分が!隆起して治ってるぞ!なんじゃこりゃあ!」
「儂の足!新しい!儂の足!!」
「料理か!?使徒様の料理の効能なのか!?俺は酸でやられた肌が完治したぞ!」
「それだけじゃねぇ!違和感もなにもねぇ!それどころか!!今からでも現役冒険者に戻れそうな程力が溢れて来る!漲ってくる!!若返り?嫌そんなもんじゃねぇ!全盛期よりも力が漲る!今なら一個や二個上のランクの魔物でも狩れそうな程力が滾る!!!」
「超人にでもなった気分だ!憧れてた英雄に!慣れないと挫折した英雄に!試して見たくて仕方なくなる!!!」
「五感もするどくなってるぞこれ!?これなら体を失った時の様なミスなんて絶対しねぇ!」
「こりゃあいつまで続くんだ?永続的か?」
そうなのだ、俺の料理は治癒はもちろん食事した人たちの潜在能力を引き出す、もちろん限界はあるだろうけど、更には24時間の身体能力向上のバフまでかかるのだ。
潜在能力を引き出すのがメインなので、バフはおまけ感覚だな。
バフが抜けたからといって極端にパワーダウンするわけでもないので、いままで勝てていたのに急に勝てなくなった!?なんて事も起こらない安全設計である。
お祝いに僕の能力で作成した山崎25年を振舞ったら、今度はその酒の美味さで大騒ぎ!
大宴会が始まるのだった。
混雑する事が考えられ、店舗の外に屋根だけのテントとテーブルと椅子を即席で大量に用意して、大勢のお客さんを待つ事にしたのはいいのだが。
食の使徒である僕が作ったイールの食事という事で、宣伝したものの門の外に人だかりは出来ても中まで入ってくる人がいない。
セバスさんとリリアさんが迎え入れてやっとお客さん達が敷地内に入ってきたのだが、妙に?服がボロボロだったり、どこかした怪我が目立つ人達の集団だった。
その中には明らかにボロを着た子供もいる。
スラムの住人かな?と考えていると、セバスさんが僕の方にきて教えてくれた。
「樹様のおかげで住むところが立派になった元スラムの住人です。この国に仕えるものとしてお恥ずかしながら、彼らは元冒険者だったり、奴隷から一般市民になったような方々ばかり、多くの人間が国からの補助でなんとか生活しております。国からの援助も無限ではありません。彼らはまた働きたいと立ち上がっても、手が震えまともに仕事ができなかったり、自分にあった仕事がなかったり、心を壊されてしまったり、中には実際に腕や足がないもの、あるけど動かない者もいます。」
セバスは顔を顰める。
「イールを使った料理と聞き、おおくの民はあまり興味を引かれなかった様で、そんな中でも彼らは使徒様の料理ならと、使徒様の為になるならと集まってくれました。王宮が使徒様の料理を振舞うと大々的に告知したのに、人が集まらないでは王宮と使徒様の恥になるのではないか?と彼らなりに心配してくれた様で、結果として一般市民達は使徒様の料理でも扱う食材がイールならとがっかりしたようです」
リリアさんも悲しそうな顔をする。
「まぁ仕方ないですよね。実績ある高名な料理人ってわけでもないですし、ああっでもここにいる皆さんは食べてくれるのかな?アイテムボックスに熱々の状態で入ってますから、すぐにでも配れますよ!それに皆さん体の調子が悪いなら、むしろ好都合です。この料理はきっとみんなに活力と元気を分けてくれる。ああっ!リリアさんもセバスさんもまだ試食もしてなかったですよね!不安になるのは当然ですよ!お二人も皆さんと一緒に食べてみてください。」
僕はそういって、熱々のうな丼と味噌汁と漬物をテーブルにどんどん並べていく。
「どうぞ!みなさん!興味ある方は座って、食べてみてください!」
そういうとチラホラとお客さんが座り始めるが、まだ誰も手つけようとしない。
近くにいた孤児の兄妹かな?妹さんは見た目の意外な綺麗さに目をぱちくりさせながら「キレイ・・・・」とつぶやいていた。
そんな二人に食べてみてと、声をかけるとお兄ちゃんの方が僕をむいて頷いてウナギにかぶりついた。
「なぁ!!!なんだこれ!?」
口に入れて少し咀嚼した瞬間に兄の方が叫んだ。
「おにいちゃん?」
「リナ!食え!滅茶苦茶美味いぞ!あぐあぐあぐぐぐぐ!!!」
そういいながらガツガツと食べ始めた。
周りはその様子に、まじか?といった表情をしながら一人、また一人と食べ始める。
「うぉ!なんじゃこりゃぁ!!!本当だ!うめぇ!!!」
「なんだぁ!下に米!?あれか!エルフが好んで食うって奴!これもうめぇ!」
「俺らの知ってるイールじゃねぇ!全然違う!こりゃうめぇ!」
「ばかやろう!うめぇがそれだけじゃねぇ!こりゃああれだ!高級な奴の料理の味って奴だよ!食ったことあるか?こんな味の飯!流石使徒様だ!」
「ほぁ!ほどける!とろける!そんでもってタレと米!これが死ぬほどうめぇ!」
「全然知らねぇ味だ!長く生きてんのにこんな味の飯食った事ねぇ!」
「すげぇ!おらぁ初めて飯で感動してる、見ろ鳥肌がとまらねぇ!!」
「あぐあぐあぐ、おいちい!」
そんな様子を見て、セバスとリリアもうな丼を食べ始める。
「んぐ!これは!?程よい弾力とほどける柔らかさ!嫌味の無い脂の美味さ!濃厚なタレ!イールがこんなにも美味くなるなんて!?米!んぐうぐ!なるほど!米!あるのとないのとでは全然違う!この米が濃いイールをどっしり受け止め!絵も言われぬ快感度を高めている!」
「イールの美味しい調理法が出た時も驚きましたけど、期待ほどではなくがっかりしました。でもこれは完全に期待以上の味です!しかもこんな味の世界知らない!王宮に仕えそれなりに世界の料理を知っている私でも知らない、味の世界!私達より高次元な味の世界!」
席はあっという間に埋まり、みんなガツガツと食べ始める。
感動に振るえるものや中には涙を流すものまでいる。
そして食事の途中に異変は始まった。
「ぐぅぅぅ、いてててちくしょう足の傷がうずきやがる!」
「お前もか?俺もないはずの腕が妙に熱いんだ」
「俺もだ。幻覚痛か?」
そして治癒は始まった。
「なんだこれ!?体の傷が!古傷や刀傷なんかも全部が治っていくぞ!!!体のじわじわした痛みが消えていく!」
「うぉおおおおおおお!俺の目も!なんだこれ!視界が!目が治ってく!!」
「肩の凝りから腰、関節の痛みなんかもなくなっていくぞ!」
「おい!聞いてくれ!俺は魔力症だ!だけどみろ!治ってく!魔力症が治ってく!病気まで治るぞこれ!!」
「日に焼けた時みたいに古い皮がむけて綺麗な肌が・・・・・脱皮みてぇだ」
「おい!!!欠損組を見ろ!!!欠損部分が!隆起して治ってるぞ!なんじゃこりゃあ!」
「儂の足!新しい!儂の足!!」
「料理か!?使徒様の料理の効能なのか!?俺は酸でやられた肌が完治したぞ!」
「それだけじゃねぇ!違和感もなにもねぇ!それどころか!!今からでも現役冒険者に戻れそうな程力が溢れて来る!漲ってくる!!若返り?嫌そんなもんじゃねぇ!全盛期よりも力が漲る!今なら一個や二個上のランクの魔物でも狩れそうな程力が滾る!!!」
「超人にでもなった気分だ!憧れてた英雄に!慣れないと挫折した英雄に!試して見たくて仕方なくなる!!!」
「五感もするどくなってるぞこれ!?これなら体を失った時の様なミスなんて絶対しねぇ!」
「こりゃあいつまで続くんだ?永続的か?」
そうなのだ、俺の料理は治癒はもちろん食事した人たちの潜在能力を引き出す、もちろん限界はあるだろうけど、更には24時間の身体能力向上のバフまでかかるのだ。
潜在能力を引き出すのがメインなので、バフはおまけ感覚だな。
バフが抜けたからといって極端にパワーダウンするわけでもないので、いままで勝てていたのに急に勝てなくなった!?なんて事も起こらない安全設計である。
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