異世界定食屋 八百万の日替わり定食日記 ー素人料理はじめましたー 幻想食材シリーズ

夜刀神一輝

文字の大きさ
127 / 189

色々なレバー

しおりを挟む
 八百万 
 
 今回は常連さんの中でも夜の部によく来てくれて、それでいて影響力のある人、特に食べ物の情報を良く発信してくれて、尚且つ信用度の高い人に集まってもらった。 
 
 まずはもちろんニーアさんと黄金のレオンさん、それとヒルデガルドさんに情報屋のトムソンさん、王都周辺の冒険者や貴族にも影響力のあるガウェインさんに集まってもらった。 
 
 「それで?俺達を集めて何しようってんだ?試食か?」 
 
 「それもあるかな?まずは味をみてもらいたいんだけど、その前に夜の部の話から、みなさん知っての通り夜の部には内臓メインの料理がでます。モツ煮にモツ焼き、ウナギの串焼きに焼き鳥、魚の兜煮に煮つけや刺身なんかですね。それ自体はいいんですが、レバ刺しやセンマイ刺しなどの様は動物や魚の肝といった部分や、八百万では魚の心臓、ハツに胃袋、エラに卵、珍しい所では浮袋まで丁寧に処理してあるんです。まぁハツ、胃、エラ、浮袋はこの際中々でなくても仕方ないとは思うんですが、レバ刺しやセンマイ刺しが中々商品として出ないのは結構な問題でして、しかもあちらの世界とは違い、僕の店では一切の危険なくレバ刺しやセンマイ刺しなどノーリスクで食べれるのに。しかも魔物によってレバーの味も大きく変わります。鶏レバーは白レバーもあれば、普通はフォアグラ化しないような鳥系のレアなフォアグラや牛系や豚系の羊に山羊、馬にアナグマ、クマなどのレアなレバーもあれば、更に個体によって鳥系でしかみられない、レバーのフォアグラ化なんて多分物凄くレアな食材なんかもあるんです。特に龍種のレバーの脂肪肝なんて、きっと王族でお金いくらでも出してでも食べないと思う人がいるくらいの激レア食材もあるんですが、まずレバーが出来ないんですよね・・・・・」 
 
 「それで、レバーの味を俺達に見てもらおうと?」 
 
 「そういう事ですね。エイやサメなんかのレバーもあるんですが、今回はまず動物のレバーの味をみてもらおうかな?」 
 
 「あたしはレバー好きだぞ!てか龍種のレバーがあるなんて聞いてたら、まっさきに食べたのに!?」 
 
 「龍種のレバーはただでさえ貴重だから、おいそれと出せないし、なんなら薬としても高価でしょ?だから黙ってたんだ」 
 
 「わたくしはレバーは実は苦手なんですけど・・・・・焼いたレバーもちろん食べた事ありますわ。でもあのねとっとして下にべったり張り付く感じと鉄分の香が苦手で・・・」 
 
 「う~ん、俺も特段に美味いもんだって記憶はないねぇ」 
 
 「俺もだ、ありゃぁ癖があるぜ」 
 
 ヒルデガルドさんとトムソンさん、ガウェインさんは焼きレバーは苦手の様子だ。 
 
 「ばっかだな、お前ら、焼きレバーと生の刺しのレバーじゃ、味も風味も全然ちがうんだぞ!?まず生レバーは全然臭くねぇ!血の香なんて一切しない!焼くと確かに身がしまってねとっとした感じになるが、生は違う!ザクザクサクサクとした食感にコリコリ感、ゴマ油と塩がこれまた合って美味いんだ!日本酒でも焼酎でも美味いし、ウォッカなんかもまた美味いんだよなぁ!ありょあ火酒との相性がいいから、ドワーフなんかの奴らはきっと大喜びで食べるぞ!斗真の旦那も人が悪いぜ!龍種のレバ刺しなんかあるなら、まずは俺に言ってくれればいいのによぉ!」 
 
 「今回はレオンさんの為に、地龍のレバ刺しと火竜のレバ刺しに、どっちもフォアグラ化して脂肪が乗ってるのも用意したよ。龍種のレバーはデカいから沢山とれるけど、超貴重だから常連さんだけの秘密のメニューだね」 
 
 そういうと滅茶苦茶嬉しそうにレオンさんがガッツポーズをする。 
 
 「じゃあまずはお馴染みの黄金牛のレバ刺しから味みてもらおうかな?」 
 
 トムソン 
 
 「あずき色が綺麗だが、血とわかるとやっぱりちょっと怖いな、どれ、もにゅもにゅ、ザクザクク!ん!おぉ!これか!ザクザクって奴は!確かに見た目と違って血の匂いなんて一切しねぇ!んでもってザクザクゴリゴリの食感が気持ちいいな!味も焼いた奴とはべつもんだ!こりゃぁ生なら食えるぞ!」 
 
 ヒルデガルド 
 
 「べっとりした感じがしないわ!どっちかっていうととろとろしてさらりとした軽やかさ!口の中で咀嚼しても、確かに大丈夫みたい!これは悪くないわね!」 
 
 ニーア 
 
 「うん!美味い!けどこれは流石に米!ってより、酒!って感じだな。確かに夜の部にはぴったりだ!」 
 
 ガウェイン 
 
 「ちょっと前まではってか、今でも内臓を食えない奴は多いが、この味を知らないのはもったいないぜ!」 
 
 レオン 
 
 「くうぅ相変わらずうめぇなぁ、んでもって酒を・・・・たっは~!日本酒がまたうめぇんだ!スルスル飲めちまう!すっきりして華やかで、味わってみると果物も風味まで感じる!へっへっへいくらでもいけるぜこりゃぁ」 
 
 「やっぱり味に問題はなさそうだね、次は地龍のレバ刺し食べてもらおうかな」 
 
 地龍のレバ刺し、これがまったく別物といっていいくらい美味い!ちなみに僕は焼いた普通のレバーは嫌いだ、美味しいとあまり思えない。 
 
 所が地龍のレバーは焼いても、べたつく感じもせず、血の香もしないまったくのレバーやフォアグラとは別物の味になるのだ。 
 
 どことなくハツや砂肝なんかに近い味がして、ニンニクやニラなどと痛めるとご飯が進む。 
 
 動物のレバーというより、魚のレバーや白子の様な感じでとろりとして美味い!天ぷらやフライでも滅茶苦茶濃厚で美味いと思う。 
 
 トムソン 
 
 「これが地龍のレバーか?フォアグラってのとはまた別物なんだろ?もゆもにゅもにゅ、おおおおおおしっとりとろとろなのにこりっとしてとろける食感と歯ごたえが絶妙だな!!脂っぽい感じもあるが、スルスルはいるな!こいつは上品だな!酒との相性もいい」 
 
 ヒルデガルド 
 
 「どこか高級なお肉の脂の感じもありつつ、上品で滑らか、舌の上で淡く溶けていく感じ、これは万人受けしますわ!権力者が龍種の肉や肝を求める理由も頷けますわね!」 
 
 ニーア 
 
 「ああ、だから龍族や高位龍種と人間の間で戦争が起きるくらい、龍は武器防具はもちろん食事に薬、美術品として未だに人気だからな、ダンジョンの知能なき龍や邪龍、悪龍なんかと最初は全部一緒にされてたけど、今じゃちゃんと区別されてるからなぁ」 
 
 ガウェイン 
 
 「神魔戦争に龍種と人族の龍人戦争、奴隷解放戦争や邪神討伐戦、でかい大戦だけでも結構あるからな。今なんか魔物とも取引や街に住む奴らもいるくらいだ。穏やかになったもんよ。それにしてもこりゃうめぇな!でも斗真の旦那!こりゃアーサーや王家に献上してもいい品だぜ!」 
 
 レオン 
 
 「くわぁ~好物が一つ増えちまった!しかもこってりしてんのに、全然胸焼けしないぞ?お前ら気づいてたか?薬ってだけあって妙に胃の中がすっきりと整理さえたみたいな感じになってるぞ!こりゃいくらでもくえる!」 
 
 地龍のレバーは流石薬と歌われただけあって、胃の調子を整え、消化を手伝い、更には体内の有害物質を体外に排出しようとしたり、体や腹回りの余計な脂肪、内臓脂肪を溶かす作用もあるみたいで、食べてすぐに効果があるわけでもないけど、便秘にもいいみたいだ。 
 
 天ぷらやクリームコロッケの様に俵型にして揚げてもいいし、刺しでも十分に美味い、アンキモみたいに蒸して寿司ネタにするのもありかもしれない。 
 
 量はそれなりにあるけど、こればっかりは常連さんとか特別なお客様の分しか確保できてない。 
 
 他の種類のレバーなら山ほどあるから、刺しでもなんでも夜の部でもっと沢山出る様に広めてもらえるとありがたいのだが。 
 
 そして今度あの理性が飛んでしまうほど美味かった、肉を店でだそうと考えていたのだが、ねね達からは大反対された。 
 
 あんなの出したら店がパニックになると、出すなら常連さんをあつめて出すべきと言われた。 
 
 たまにこうやって常連さんに味みてもらうのもいいな、その時に出そうかな? 
 
 相手は誰にしようか?
しおりを挟む
感想 145

あなたにおすすめの小説

無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

追放された悪役令嬢、農業チートと“もふもふ”で国を救い、いつの間にか騎士団長と宰相に溺愛されていました

黒崎隼人
ファンタジー
公爵令嬢のエリナは、婚約者である第一王子から「とんでもない悪役令嬢だ!」と罵られ、婚約破棄されてしまう。しかも、見知らぬ辺境の地に追放されることに。 絶望の淵に立たされたエリナだったが、彼女には誰にも知られていない秘密のスキルがあった。それは、植物を育て、その成長を何倍にも加速させる規格外の「農業チート」! 畑を耕し、作物を育て始めたエリナの周りには、なぜか不思議な生き物たちが集まってきて……。もふもふな魔物たちに囲まれ、マイペースに農業に勤しむエリナ。 はじめは彼女を蔑んでいた辺境の人々も、彼女が作る美味しくて不思議な作物に魅了されていく。そして、彼女を追放したはずの元婚約者や、彼女の力を狙う者たちも現れて……。 これは、追放された悪役令嬢が、農業の力と少しのもふもふに助けられ、世界の常識をひっくり返していく、痛快でハートフルな成り上がりストーリー!

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

神獣転生のはずが半神半人になれたので世界を歩き回って第二人生を楽しみます~

御峰。
ファンタジー
不遇な職場で働いていた神楽湊はリフレッシュのため山に登ったのだが、石に躓いてしまい転げ落ちて異世界転生を果たす事となった。 異世界転生を果たした神楽湊だったが…………朱雀の卵!? どうやら神獣に生まれ変わったようだ……。 前世で人だった記憶があり、新しい人生も人として行きたいと願った湊は、進化の選択肢から『半神半人(デミゴット)』を選択する。 神獣朱雀エインフェリアの息子として生まれた湊は、名前アルマを与えられ、妹クレアと弟ルークとともに育つ事となる。 朱雀との生活を楽しんでいたアルマだったが、母エインフェリアの死と「世界を見て回ってほしい」という頼みにより、妹弟と共に旅に出る事を決意する。 そうしてアルマは新しい第二の人生を歩き始めたのである。 究極スキル『道しるべ』を使い、地図を埋めつつ、色んな種族の街に行っては美味しいモノを食べたり、時には自然から採れたての素材で料理をしたりと自由を満喫しながらも、色んな事件に巻き込まれていくのであった。

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?

水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが… 私が平民だとどこで知ったのですか?

処理中です...