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13話 はじめての武器作り(1)
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「『創造(そうぞう)の間(ま)』へようこそ。ティル君は初回なため、お姉さんがお手伝いをさせてもらうわね」
帰還した俺達は建物の3階にある部屋に向かい、赤、黄、青の三色が混じった大型の魔法陣の前にいる。
各種素材を使った武器作りは『創造陣(そうぞうじん)』――魔法陣を使って行うようになっており、素材を陣に置くだけで作ってくれるのだ。ちなみにライザさんは接客で忙しかったのに、無理やり俺達を担当している(初めての武器作りに同席したいと言い出し、俺らはライザさんの手が空くまで待たされました)。
「それではティル君。創造陣に乗ってください」
「はい。分かりました」
直径5メートル程の陣に足を踏み入れ、そうすると目の前に文字が浮かび上がる。
その内容は、右から順に『武器を作る』『防具を作る』『魔法系アイテムを作る』。以上の三つとなっている。
「今回ティル君が制作したいのは、武器。右端の文字に触れてみて」
「了解です」
指示された通り手の平で触れてみると、文字が変化。『剣』『双剣』『斧』『刀』『槍』『弓』などなど、沢山の武器名が表示されるようになった。
「次はここで、作りたい武器の種類を選択するの。ティル君はどれにするのかな?」
「この機会に武器種を変える冒険者は、結構いるみたいよ。ティルはどうする?」
「うーん、そうだね……。そのままで、剣にしておくよ」
一応は10年間使い続けたものだし、斬撃波を取得しちゃってるからね。同じく右端にあった、『剣』をタッチにした。
「次は品質の項目で、『C級』『B級』『A級』『S級』『L級』から一つ選びます。こちらは後のものほど強度や切れ味に優れ、更には『スロット』の数が多くなります」
ライザさんは新たなに現れた文字を一つずつ指さし、ここからはスロットの説明が始まる。
「ユニークモンスターからドロップした魔石を消費する事で、1つのスロットを埋める形で武器や防具に特殊能力を宿せるようになっています。ただし注意点がありまして、宿る特殊能力ランダムであり、取り外しをするには『取り外し素材』――各素材ダンジョンで稀に入手できるレアアイテムが必要となります」
そのため火属性を付与できるスキルがあるのに、火属性を付与する能力つきの武器を持っている冒険者もいる。噂によると取り外し素材の入手確率は宝物庫とほぼ同じで、失敗した時は結構悲しい思いをする羽目になるのだ。
「そちらについてはあと少し紹介したい事がありますが、残りは後にします。ティル君、創造したい品質に触れてください」
「はい。俺の場合は消去法で、C級を選択っと」
みたび文字の触れると『必要素材を陣に置いてください。 中素材6つ 小素材20』となって、収納庫の能力で取り出して置く。あとは『武器を作っても構いませんか?』の問いに『YES』を押して答え、こちらが行う作業は終わりとなった。
「あとは創造陣が、指定した内容で武器を作ってくれます。創造作業は必見ですよ」
陣内にあった素材達がふわりと宙に浮き上がり、それぞれが柔らかな虹色の光に包まれてゆく。そうして七色の石となった素材はやがて円を描いて回転を始めるようになり、動きがピタリと止まると全ては霧散。ソレによって生まれた光の粒達は中央に集まって大きな光となり、暫く漂ったあとパッと光が弾けた。
強く眩しいはずなのに、優しく感じる光。
そんな幻想的なものが消え去るとソコには一本の剣がふわふわと浮かんでいて、ゆっくりと俺の手元にやってきた。
「おめでとうございます。以上で武器の創造は終了、完成となります。……ティル君、初めての武器おめでとうっ」
「ティル、おめでとう。初めて自分だけの武器を持った感想は、どう?」
「興奮と安堵が、半分半分かな。ついにちゃんとした冒険者になれたって気持ちと、ようやくちゃんとした冒険者になれたって気持ちが、半々だね」
ここに来るまで、他の人の10倍近くかかっている。ルーキーじゃなくなって随分経ってるせいで、感想も微妙なものになってしまった。
「ライザさんレナリア、面白みのない反応ですいません。どうしても、しみじみしちゃうんで――」
「ティル君は、苦労したもんね……っ。いいよきにしなくていいよそんなのどうでもいいもんお姉さんはティルくんが剣を持った姿を見れて幸せでもうそれだけで大満足してるからっ!!」
ものすごい勢いで剣を握っていた手を両手で握っていて、ギューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっと握り締めてくれる。
ライザさん。俺のことで喜んでくれて、いつもありがとうございます。
ただ……。血液の流れが止まっちゃってるんで、そろそろ離れていただけると幸せです。
「…………この握力、少なくとも70キロはあるわ。受け付けをしてる普通の女性とは思えないわね……」
「ライザさん、ストップです。このままだと、手がヤバいです」
「あっ、ごめんねティル君っ。ついつい我を忘れちゃったわ」
ようやく解放されて、手の血管達が平穏を取り戻した。
これで、安心。あとは……えっと……ああそうだ。安心するのは、まだ早かった。
ホッとするのは、特殊能力の付与が済んでからだ。
帰還した俺達は建物の3階にある部屋に向かい、赤、黄、青の三色が混じった大型の魔法陣の前にいる。
各種素材を使った武器作りは『創造陣(そうぞうじん)』――魔法陣を使って行うようになっており、素材を陣に置くだけで作ってくれるのだ。ちなみにライザさんは接客で忙しかったのに、無理やり俺達を担当している(初めての武器作りに同席したいと言い出し、俺らはライザさんの手が空くまで待たされました)。
「それではティル君。創造陣に乗ってください」
「はい。分かりました」
直径5メートル程の陣に足を踏み入れ、そうすると目の前に文字が浮かび上がる。
その内容は、右から順に『武器を作る』『防具を作る』『魔法系アイテムを作る』。以上の三つとなっている。
「今回ティル君が制作したいのは、武器。右端の文字に触れてみて」
「了解です」
指示された通り手の平で触れてみると、文字が変化。『剣』『双剣』『斧』『刀』『槍』『弓』などなど、沢山の武器名が表示されるようになった。
「次はここで、作りたい武器の種類を選択するの。ティル君はどれにするのかな?」
「この機会に武器種を変える冒険者は、結構いるみたいよ。ティルはどうする?」
「うーん、そうだね……。そのままで、剣にしておくよ」
一応は10年間使い続けたものだし、斬撃波を取得しちゃってるからね。同じく右端にあった、『剣』をタッチにした。
「次は品質の項目で、『C級』『B級』『A級』『S級』『L級』から一つ選びます。こちらは後のものほど強度や切れ味に優れ、更には『スロット』の数が多くなります」
ライザさんは新たなに現れた文字を一つずつ指さし、ここからはスロットの説明が始まる。
「ユニークモンスターからドロップした魔石を消費する事で、1つのスロットを埋める形で武器や防具に特殊能力を宿せるようになっています。ただし注意点がありまして、宿る特殊能力ランダムであり、取り外しをするには『取り外し素材』――各素材ダンジョンで稀に入手できるレアアイテムが必要となります」
そのため火属性を付与できるスキルがあるのに、火属性を付与する能力つきの武器を持っている冒険者もいる。噂によると取り外し素材の入手確率は宝物庫とほぼ同じで、失敗した時は結構悲しい思いをする羽目になるのだ。
「そちらについてはあと少し紹介したい事がありますが、残りは後にします。ティル君、創造したい品質に触れてください」
「はい。俺の場合は消去法で、C級を選択っと」
みたび文字の触れると『必要素材を陣に置いてください。 中素材6つ 小素材20』となって、収納庫の能力で取り出して置く。あとは『武器を作っても構いませんか?』の問いに『YES』を押して答え、こちらが行う作業は終わりとなった。
「あとは創造陣が、指定した内容で武器を作ってくれます。創造作業は必見ですよ」
陣内にあった素材達がふわりと宙に浮き上がり、それぞれが柔らかな虹色の光に包まれてゆく。そうして七色の石となった素材はやがて円を描いて回転を始めるようになり、動きがピタリと止まると全ては霧散。ソレによって生まれた光の粒達は中央に集まって大きな光となり、暫く漂ったあとパッと光が弾けた。
強く眩しいはずなのに、優しく感じる光。
そんな幻想的なものが消え去るとソコには一本の剣がふわふわと浮かんでいて、ゆっくりと俺の手元にやってきた。
「おめでとうございます。以上で武器の創造は終了、完成となります。……ティル君、初めての武器おめでとうっ」
「ティル、おめでとう。初めて自分だけの武器を持った感想は、どう?」
「興奮と安堵が、半分半分かな。ついにちゃんとした冒険者になれたって気持ちと、ようやくちゃんとした冒険者になれたって気持ちが、半々だね」
ここに来るまで、他の人の10倍近くかかっている。ルーキーじゃなくなって随分経ってるせいで、感想も微妙なものになってしまった。
「ライザさんレナリア、面白みのない反応ですいません。どうしても、しみじみしちゃうんで――」
「ティル君は、苦労したもんね……っ。いいよきにしなくていいよそんなのどうでもいいもんお姉さんはティルくんが剣を持った姿を見れて幸せでもうそれだけで大満足してるからっ!!」
ものすごい勢いで剣を握っていた手を両手で握っていて、ギューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっと握り締めてくれる。
ライザさん。俺のことで喜んでくれて、いつもありがとうございます。
ただ……。血液の流れが止まっちゃってるんで、そろそろ離れていただけると幸せです。
「…………この握力、少なくとも70キロはあるわ。受け付けをしてる普通の女性とは思えないわね……」
「ライザさん、ストップです。このままだと、手がヤバいです」
「あっ、ごめんねティル君っ。ついつい我を忘れちゃったわ」
ようやく解放されて、手の血管達が平穏を取り戻した。
これで、安心。あとは……えっと……ああそうだ。安心するのは、まだ早かった。
ホッとするのは、特殊能力の付与が済んでからだ。
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