48 / 50
ハッピーおじさんと新しい生活
第048話 カイコン、シテクダサーイ
しおりを挟む
開墾作業なんて、本来沢山の人や重機を使ってやるような大仕事。特に木の根っこを掘り起こす作業なんて重機を使ってもかなり大変だ。
しかし、俺たちには人を超えた身体能力やスキルがある。
「それじゃあ、始めるぞ。ヨル、木の根っこの周りの土を柔らかくできるか?」
「きゅっ」
ヨルに頼んで土の状態を変えてもらった。
「亜理紗、ちょっとやってみてくれ」
「了解」
その後で亜理紗に木を引っこ抜けるかどうか試してもらう。
――ズズズズズズッ
亜理紗が木を手で挟んで力を入れると、徐々に地面に埋まっていた部分が姿を現わしていく。
――スポンッ
「あっ。意外に簡単に抜けたよ」
「お、おお、そうか」
ある程度根っこが顔を出すと、まるで大根を引っこ抜くように木が抜けて、根っこがその全容を見せた。
根っこは物凄く長くて、これだけの根が地中に広がってれば、そりゃあ開墾作業は大変だよなと思う。
ただそれ以上に、女子高生が一人で木を持ち上げているという光景はとてもシュールだった。見た目とのギャップがあり過ぎて違和感しかない。
「俺もやってみるか」
亜理紗とはレベル差があるものの俺もそれなりにレベルが上がっている。ステータスポイントは良く分からないが、各パラメータに万遍なく振っているので、力も上がっているはずだ。
「おっ。ホントだな」
再びヨルに地面を柔らかくしてもらい、今度は俺が持ち上げてみると、思ったよりも簡単に抜けたし、木もそれほど重さを感じなかった。
モンスターを倒した時には分からなかったが、こういうことに力を使うと自分がプレイヤーになったという実感が湧く。
「きゅっ!!」
俺達の様子に触発されたマヒルも同じように挑戦しようと木を掴んだ。
――スポッ
すると、俺や亜理紗以上に簡単に木を引きぬき、片手で木を持ち上げていた。その手元は明らかに木に食い込んでいる。
マヒルたちの力って俺たちを超えているんじゃないか、これ。
幼女が片手で持った木を振り回すという亜理紗以上に異質な光景を見て、俺はそんな風に思った。
「ピッ」
「ピィッ」
さらにワラビモチやカシワモチも参戦。彼らも体を変形させて木の幹を包み込んで持ち上げると、簡単に引き抜いてしまった。
俺の仲間たちは皆優秀だな。
「ただ、木はこのままだと枝とか、根っこが邪魔だな」
「きゅっ!! きゅうっ!!」
俺の呟きを聞いていたマヒルが手を上げて、ワラビモチたちが持っている木に向けて手をかざす。
――スパパパパッ
すると、枝や根っこが切り落とされ、操り人形のように宙を舞って離れた場所に積み重なっていく。
それはとても不思議な光景だった。
「あれは風魔法かな」
「なるほど」
亜理紗によれば、風の刃で切り落とし、それを風の力で一か所に運んでいるらしい。魔法が便利すぎるので、可能なら俺もいつか覚えたいところだ。
木は幹を残してスッキリ。とても持ち運びしやすい形になった。
俺達は木材を一か所に集めて積み重ねていく。
ワラビモチとカシワモチが頭の上に木を乗せて、飛び跳ねながら運ぶ姿は非常に可愛らしい。
「うほぉ、これは良い動画が撮れそうだねぇ、ぐへへっ」
その様子を見ながら木を運ぶ亜理紗が怪しい笑みを浮かべて涎を垂らしているが、見て見ぬふりをした。
「滅茶苦茶さっぱりしたな」
「そうだね」
数時間後、ざっと五百メートル四方くらいの木々を伐採というか引っこ抜き、ヨルの土壌操作によって地面に整えると、森にぽっかりと開いた平地が出来上がった。
これくらいの土地の畑があれば、自給自足もいけるだろう。
まぁ足りなければ、もっと切り開けばいいだけだ。今のところはこの広さで問題ないだろう。
気づけば日が傾き、辺りがオレンジ色に染まってきていた。
「よし、今日はこのくらいで作業は終わりにしてご飯にしよう。昼食べるのも忘れてたしな」
「そういえば、お腹空いてたよ」
作業に夢中になっていた俺たち。落ち着いた所でようやく腹が減っていることを体が思い出す。
「それじゃあ、風呂に入ったら集合してくれ」
「さんせーい!!」
「「きゅっ」」
「「ピッ」」
俺達は一斉に風呂に向かった。
しかし、俺たちには人を超えた身体能力やスキルがある。
「それじゃあ、始めるぞ。ヨル、木の根っこの周りの土を柔らかくできるか?」
「きゅっ」
ヨルに頼んで土の状態を変えてもらった。
「亜理紗、ちょっとやってみてくれ」
「了解」
その後で亜理紗に木を引っこ抜けるかどうか試してもらう。
――ズズズズズズッ
亜理紗が木を手で挟んで力を入れると、徐々に地面に埋まっていた部分が姿を現わしていく。
――スポンッ
「あっ。意外に簡単に抜けたよ」
「お、おお、そうか」
ある程度根っこが顔を出すと、まるで大根を引っこ抜くように木が抜けて、根っこがその全容を見せた。
根っこは物凄く長くて、これだけの根が地中に広がってれば、そりゃあ開墾作業は大変だよなと思う。
ただそれ以上に、女子高生が一人で木を持ち上げているという光景はとてもシュールだった。見た目とのギャップがあり過ぎて違和感しかない。
「俺もやってみるか」
亜理紗とはレベル差があるものの俺もそれなりにレベルが上がっている。ステータスポイントは良く分からないが、各パラメータに万遍なく振っているので、力も上がっているはずだ。
「おっ。ホントだな」
再びヨルに地面を柔らかくしてもらい、今度は俺が持ち上げてみると、思ったよりも簡単に抜けたし、木もそれほど重さを感じなかった。
モンスターを倒した時には分からなかったが、こういうことに力を使うと自分がプレイヤーになったという実感が湧く。
「きゅっ!!」
俺達の様子に触発されたマヒルも同じように挑戦しようと木を掴んだ。
――スポッ
すると、俺や亜理紗以上に簡単に木を引きぬき、片手で木を持ち上げていた。その手元は明らかに木に食い込んでいる。
マヒルたちの力って俺たちを超えているんじゃないか、これ。
幼女が片手で持った木を振り回すという亜理紗以上に異質な光景を見て、俺はそんな風に思った。
「ピッ」
「ピィッ」
さらにワラビモチやカシワモチも参戦。彼らも体を変形させて木の幹を包み込んで持ち上げると、簡単に引き抜いてしまった。
俺の仲間たちは皆優秀だな。
「ただ、木はこのままだと枝とか、根っこが邪魔だな」
「きゅっ!! きゅうっ!!」
俺の呟きを聞いていたマヒルが手を上げて、ワラビモチたちが持っている木に向けて手をかざす。
――スパパパパッ
すると、枝や根っこが切り落とされ、操り人形のように宙を舞って離れた場所に積み重なっていく。
それはとても不思議な光景だった。
「あれは風魔法かな」
「なるほど」
亜理紗によれば、風の刃で切り落とし、それを風の力で一か所に運んでいるらしい。魔法が便利すぎるので、可能なら俺もいつか覚えたいところだ。
木は幹を残してスッキリ。とても持ち運びしやすい形になった。
俺達は木材を一か所に集めて積み重ねていく。
ワラビモチとカシワモチが頭の上に木を乗せて、飛び跳ねながら運ぶ姿は非常に可愛らしい。
「うほぉ、これは良い動画が撮れそうだねぇ、ぐへへっ」
その様子を見ながら木を運ぶ亜理紗が怪しい笑みを浮かべて涎を垂らしているが、見て見ぬふりをした。
「滅茶苦茶さっぱりしたな」
「そうだね」
数時間後、ざっと五百メートル四方くらいの木々を伐採というか引っこ抜き、ヨルの土壌操作によって地面に整えると、森にぽっかりと開いた平地が出来上がった。
これくらいの土地の畑があれば、自給自足もいけるだろう。
まぁ足りなければ、もっと切り開けばいいだけだ。今のところはこの広さで問題ないだろう。
気づけば日が傾き、辺りがオレンジ色に染まってきていた。
「よし、今日はこのくらいで作業は終わりにしてご飯にしよう。昼食べるのも忘れてたしな」
「そういえば、お腹空いてたよ」
作業に夢中になっていた俺たち。落ち着いた所でようやく腹が減っていることを体が思い出す。
「それじゃあ、風呂に入ったら集合してくれ」
「さんせーい!!」
「「きゅっ」」
「「ピッ」」
俺達は一斉に風呂に向かった。
18
あなたにおすすめの小説
生活魔法は万能です
浜柔
ファンタジー
生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。
それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。
――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~
シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。
目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。
『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。
カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。
ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。
ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。
小さなフェンリルと私の冒険時間 〜ぬくもりに包まれた毎日のはじまり〜
ちょこの
ファンタジー
もふもふな相棒「ヴァイス」と一緒に、今日もダンジョン生活♪
高校生の優衣は、ダンジョンに挑むけど、頼れるのはふわふわの相棒だけ。
ゆるふわ魔法あり、ドキドキのバトルあり、モフモフ癒しタイムも満載!
ほんわか&ワクワクな日常と冒険が交差する、新感覚ファンタジー!
病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。
もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。
田舎おじさんのダンジョン民宿へようこそ!〜元社畜の俺は、民宿と配信で全国初のダンジョン観光地化を目指します!〜
咲月ねむと
ファンタジー
東京での社畜生活に心身ともに疲れ果てた主人公・田中雄介(38歳)が、故郷の北海道、留咲萌町に帰郷。両親が遺したダンジョン付きの古民家を改装し、「ダンジョン民宿」として開業。偶然訪れた人気配信者との出会いをきっかけに、最初の客を迎え、民宿経営の第一歩を踏み出す。
笑えて、心温かくなるダンジョン物語。
※この小説はフィクションです。
実在の人物、団体などとは関係ありません。
日本を舞台に繰り広げますが、架空の地名、建造物が物語には登場します。
親友と婚約者に裏切られ仕事も家も失い自暴自棄になって放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました
空地大乃
ファンタジー
ダンジョンが日常に溶け込んだ世界――。
平凡な会社員の風間は、身に覚えのない情報流出の責任を押しつけられ、会社をクビにされてしまう。さらに、親友だと思っていた男に婚約者を奪われ、婚約も破棄。すべてが嫌になった風間は自暴自棄のまま山へ向かい、そこで人々に見捨てられた“放置ダンジョン”を見つける。
どこか自分と重なるものを感じた風間は、そのダンジョンに住み着くことを決意。ところが奥には、愛らしいモンスターたちがひっそり暮らしていた――。思いがけず彼らに懐かれた風間は、さまざまなモンスターと共にダンジョンでのスローライフを満喫していくことになる。
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる