輪廻の紡ぐ先

徒花幸介

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とりま始まり

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意識が深く落ちていく
これが死ぬってことかぁ。長かったなこの32年。いろんなことがあったな...
いろんな人と出会って、いろんなことをした。わけでもなく普通に生きて、普通に暮らしていただけだ。
そこそこの大学行って、そこそこの会社に入って、結婚することもなくただ一人。
あーそういえば実家の猫だけは若干心残りか?でもそのくらいか。
実際恨みはかったもんな。殺されるほどなのか?とは思うけど。まぁ殺したくなるのは分かるけど。

いやーでも死ぬときってゆっくり溶けていく感じなんか。すっと行って終わりじゃないんだなー
意外にも感傷に浸れたってのはここまで頑張った俺に対する優しさみたいのを感じるな。

ーー彼が光の海に浸かって数刻。光におぼれながら人生を振り返り少しづつ光の海に溶けていく...

ん?ここ底だよな?あれ?体感的にはもう消えていてもおかしくないんだけど?なんだこれ?こういうもんなのか?って、ちょっと待て!
身体がどんどん吸われている...!?ちょっとやばいこれ。抵抗ができない...

クソが...また普通にいかないのかよ!?頼むから普通に生きさせろよ!この野郎ーーーーーー



ーー彼の意識はここで暗転する。何かに吸われ、回転し、気が遠くなるほどの時間が過ぎていく。
そして地獄でも天国でもない。そんな時間を過ごし続け、次に彼が目を覚ましたとき彼の目に入ったのは



見知らぬおっさんの顔面だった








「ほらほら父さんのこと、しっかり見ておくんだぞ?今からすんごいの見せてやるからな!」
そう言った目の前にいる赤髪のおっさんは目の前でそれはもう不細工な剣の舞を見せてくる。俺は一体何を見せられているんだ?
明らかに剣の重さに引っ張られた動きだ。っていうかこのままだと俺に当たるんじゃないか?

「おっとっと!?やばい!息子よ、避けてくれぇ!!」
マジでこっちに来やがった。ふざけるなよこのおっさん!ってか体が思うように動かん...!?このままじゃあた

ーーあたる。そう思った次の瞬間。木が壊される音と共におっさんは目の前に振ってきた剣ごと視界から消えていった。
「なにやってんだ!このくそバカぁ!!!!!」
ん?あたってない?というかなんだ?くそバカ?あれ絶対回避できないやつだったぞ?間違いなく死んだと思った。なのに、おっさんは目の前から消えているし、俺の視界もさっきよりかなり高い。誰かに持ち上げられた?じゃあいったい誰が?

「全く自分の息子を殺すのような馬鹿がどこにいる!ふざけるのも大概にしな!このお役所勤めのヒョロヒョロ野郎が!!」
「怖い思いをしたねー?ほんとアホな父親を持つと苦労するんだね?なぁ、私の愛しいロット。」
ロット?それが俺の名前なのか?







ーそこから数刻
なるほど?大体今の状況は分かってきたぞ。俺の名前はタルロット。年齢は体感的には2歳から3歳っていったところか。で、さっきの剣振り回していたおっさんが俺の父ウィリアム。そしてそれを殴り飛ばした(たぶん)のが俺の母ミランダ。兄弟は特におらず、父と母と俺の三人家族ってところか。
でだ。俺の身辺はまぁいいとして、俺の体。正確には魂的な部分だな。なんで推定2歳のやつがこれだけの思考ができるのかって話だ。
覚えてんのは光の海に落ちていくところ。あのとき俺の魂は完全に消えなかった。その理由はあの海の底に行ってなお俺の意識があったからだ。これは間違いなくイレギュラーで俺は前世の記憶をある程度持った状態で輪廻転生したって可能性が高い。
問題はただ一つ。俺の前世の記憶に欠落している部分があるっていうことだ。明確にすべてを覚えていないのは当然。いらない記憶はどんどん消していくっていうのが人間の脳だからな。でも。それでも俺の前世での名前が思い出せない・・・・・・・・・っていうのは明らかにおかしいだろ...
それ以外にも思い出せないことはあるが、名前が出てこないのが一番やばい。一番大事なところだろうが...!

ただ、これだけ考えたところで俺の人生がどうなるのかはわからない。でも一つやらなきゃいけないことがあるのは確かだ。

それはこの世界を知ること。
この世界がどんな世界でなぜ自分がこのような状況になったのかを知らなきゃいけない。ここでの暮らしは俺の過ごしてきた普通からかけ離れた異常だ。この世界にいる限り俺は、常日頃この異常と向き合っていかないといけない。
だからこの世界にいることが普通だと思うために、別の世界からきた俺が普通に生きれる世界なんだと俺の手で証明しなきゃいけない。



だって今んところこの世界に存在する異常は俺なのだから...
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