輪廻の紡ぐ先

徒花幸介

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とりま始まり

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前回のあらすじ
怪しいヤツに怪しい空間で声をかけられました


「ここがどこで、お前は誰か?聞きたいに決まってんだろ。バカにしてんのか?」

『ハハッ命の恩人に酷い言いようだね。ただその不遜さは僕好みだ。とてもいい』
"それ"は拍手しながら笑う

「質問に答えろよ」

『それもそうだね。ここは他の誰でもない。君自身の世界さ。あ、地球って意味じゃないよ?』
『ここは君の能力・・の世界ってこと。僕はその世界を無理やり拡張して君とお話しに来たのさ!』

・・・俺の世界?何言ってんだこいつ。それに能力ってなんだよ?
魔法がある世界だからある可能性は危惧してたけど、俺にそんな能力があるって片鱗あったか?


『はーい!考えすぎー。もっと目の前の相手と喋ろうって気にはならないの?』

「あ、すまん。考えすぎるのは癖なんだ。決して無視したくてしてる訳じゃない。」

『そこまで言わなくてもいいんじゃない?流石の僕も傷つくよ?』
『まぁいいや。で、君が気になるところは何となく分かるよ。それは「俺の能力についてだ」
会話する気ないね?君』
"それ"はいじけたのか俺の額を指でグリグリして来た

「すまん…」

『謝れるのは偉いね。じゃ、話を続けるよ?』
『君の能力について話す前にこの世界の能力のシステムの話をしよう。
能力には3つ種類がある。
まずは基本となる〈システム内能力〉と〈システム外能力〉の2つ。』
『前者は魔法と呼ばれるものが該当するかな。世界のシステムに関与して物理的に不可能な現象を引き起こす。何も無いところか火をおこしたりするからね。』

なるほど、母さんが使ってたのはこれか。どういう原理で起きてたのかは正直気になってたんだよな。

『後者は身体的な技能が該当するのかな?システムに頼らない個人の技。剣術とかがこれに入る。』

体力とかもここか。確かに剣術がシステムで動くわけないもんな。
おそらく飛ぶ斬撃みたいな技は魔法と技術の合わせ技ってとこか


『そして問題は3つ目。〈管理者権限〉と呼ばれる力さ』

「管理者権限?」

『そ、〈管理者権限〉。これはシステムでも個人の技量でもない。
君は神の奇跡とか聞いたことある?突然知識が授けられたりとかするやつのことなんだけど』

「多分ある。神話とかの話だろ?ノアの方舟とか」
神様からさずけられた知恵で世界中の生き物が乗れるほど巨大な船を作って世界が滅ぶほどの大洪水からそれらを守ったっていう話だっけ?

『そう!意外と博識だねー君は。そういう神の奇跡ってさ。神様の意思がなければ起きないじゃない?』

「当たり前だろ……ってまさか!?〈管理者権限〉って!?」
驚く俺に“それ”はいじらしく笑う

『おや、わかったようだね。〈管理者権限〉はそう言った神の奇跡を人為的・・・に起こすことができる能力ってことさ。』
『そしてここまで聞いた君なら何となく察しているだろうけど、君の持つ能力。それは〈管理者権限〉に該当する能力なのさ。困ったことにね。』

「なんでそんなものを俺に付けたんだ?」

『つけたくて付けれるものじゃない。だってそうだろ?〈管理者権限〉なんてものが世界に溢れてたらそれこそ事故さ。』
『それにね。そもそも〈管理者権限〉っていう能力はね。輪廻の輪で完全に転生しきっていればつかない能力なのだよ』

「それは何故なんだ?」

『単純明快、それはこの世界に生きるものは全てシステムによって成り立っているからさ。
ただ、それは君の生きていた地球も変わらないけどね』

「そうなのか?」

『ああ、そうさ。君のいた地球もこの世界も根本的なシステムは変わらない。人が産まれ、生きて、死ぬ。』
『じゃあ、私から一つ質問。人は死んで産まれるまでの間、その人間の魂はどこにあると思う?』

「輪廻転生的な話をしているのか?」
「だったら、新しい器を手に入れるまでどこかに保存されているんじゃないのか?」
感覚的ではあるが人の魂っていうのが死後どこに行くかなんてわからない。けど、どこかしらに存在はしている。それだけは言える。なぜなら、存在しているものが跡形もなく消えるなってことはあり得ないからだ。

『いやー君、やっぱりさえているね。人間の答えとしては合格点をあげよう』

「人間...として?」

『そ、今から話すのは僕みたいな神目線の答えさ。』
”それ”は掌に三つの光の球を作り出した。
『本来地に生きる者の動力として保存媒体として存在していた魂は死後、輪廻の輪へ還る。ちなみに”還る”っていうのはね。”魂の記憶”を明け渡し、新たな魂を作るためのエネルギーとなることを指すんだけど、君の場合はちょっと違う』
光の球は丸、三角、四角と形をとり、それぞれが違う色と変わっていく。そしてその光たちは最終的に輪郭がぼやけ始め、収束していく。その際に光の物体たちは色が別の場所に奪われていく。
『今君の前にある大きな光の球、これが”輪廻の輪”。そしてこの色だけの何かが”記憶”さ。本来生物の魂というのはね。こんな感じに完全リセットされたうえで次の生を迎える』
”それ”はそう言ったうえで俺の方を向き呆れた顔で告げる。

『稀にいるのさ。君みたいな例外が。何かしらの不具合で記憶が完全にリセットされないで次の生を迎えるっていう奴が』

「だったらどうなんだ?それが〈管理者権限〉とやらとどう関係するんだ?」

『気になっているようだから答えを言おう。魂の重複はね。生物としての規格を超える行為なのさ』
『規格を超えれば、三次元の存在は四次元に干渉し、四次元の存在は五次元に干渉できるようになる。本来人間が扱える次元はね〈システム内能力〉による四次元、つまりは空間への干渉までだったんだよ。』
『けどね。〈管理者権限〉というのはね。五次元、つまりは時空間へ干渉できるようにしてしまうそういうものなのさ。だから扱いを間違えれば世界に歪みが生じてしまう。』
”それ”は先ほどまでとは違い真剣な顔もちで眼前の相手へ脅しをかけるように言葉を続ける

「つまり、能力を使わせる前に殺しに来たってことか?」

『いや、そうではないよ。僕は君に制約をかけに来ただけだからね!』
先ほどまでとは打って変わって満面の笑み(?)を浮かべる”それ”
それにとんでもなく困惑した顔を浮かべる俺

「どういうことだ?そんな能力使わせたところでお前らに徳なんてないだろ?」
「要約したら世界を歪められる力を君は持っている!」ってことだろ?そんな力を人間に持たせていいわけないだろ?

『そもそも、僕らからしたらね。多少の世界の改変程度だったら大して痛くもかゆくもないんだよね。それに僕個人としては君の能力には興味があるから殺したくはないんだ。だからわざわざ制約を掛けに来たってこと』

「そもそも俺はそんな能力知らねぇぞ?」

『そりゃそうさ。〈管理者権限〉なんてスキル、人間たちに知らせると思う?』
ーー思わない。人間という生き物の性質を知っていれば、そんな発想には絶対にならない。差別や戦争を生むだけだからだ。

『君もよくわかっているようだ。まぁとりあえず君の能力だけ教えてあげよう』
『君の能力はね。【輪廻の紡ぎ手】さ。そしてその具体的な内容は幾千幾万、幾億とあるパラレルワールドから自分の望む未来を引き当てる・・・・・・・・・・・・・というものさ』

「は?」
は?は?は?は?why?why?は?なんだその能力、馬鹿げているだろ...

『君の反応はもっともなものさ。それにこの能力は自由度があまりにも高い』

「そりゃそうだろ...例えば俺が死にそうなときに発動させれば”何かがおきて俺が死ななかった世界線”に行くってことだ。そんなの理不尽だ。敵がどれだけ手を尽くしても俺は絶対に死なないってことだろ?」

『そう。だから、僕は君に制約を掛けに来た。掛ける制約は三つ。一つは選べる未来の限定。次に使用時の負荷。最後に発動条件さ』

「具体的には?特に二つ目以降だ」
一つ目は分かる。仮に俺が死ぬのをやり直すとして、俺が助かる世界が100個あったらその中のうちのランダムで選ばれた数個の中からしか選べないってことだろ。

『目ざといね。まず君に掛かる負荷だけど、君のステータスに何らかのデバフがかかると思ってもらいたい。たとえば足が遅くなったり、スキルが一つ一定時間封印されたりって感じだね。命が無くなるよりは軽いでしょ?』
『次に発動条件。これはとっても簡単さ。”君の死”のみがトリガーになるってことさ』
”それ”は青ざめた顔をしている俺を嗤う。これを待っていたといわんばかりの顔で。

『いやぁ本当にいい顔をするねぇ!最高だ。その顔が見たかった』

「意地が悪すぎんだろ...」
苦虫をつぶしたような表情で眼前の相手をにらむ

『さて、ここまで話したからにはもう僕はお役御免手所かなぁ?あとはどこからか君の雄姿を見守ることにするよ』
その言葉と共に”それ”の姿は少しずつ光の粒子となっていく。

「待て!まだ話は終わって...!!」
手を伸ばそうにも体が思うように動かねぇ

『じゃあ最後に、一つ』
『いつか君が訪れるであろう悠久の地にて君のことを待つ』
『だから精々抗って生きてね?愚かな道化タルロット君』
その言葉を最後に光の粒子は完全に消滅した。
そしてそれはこの灰色の世界の終わりを意味する。





「じゃあな。クソ偽善者野郎。」
その言葉と共に振り下ろされた刃は俺の心臓を貫いた。
この日、俺、タルロットの人生は終わりを迎えた...











『〈管理者権限〉起動。







特殊シークエンス接続完了










【輪廻の紡ぎ手】発動します』
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