64 / 303
ヒメゴト
5-7
しおりを挟む
雅耶は冬樹を横抱きに抱え、足早に校舎へと向かっていた。
二人の鞄は先程の場所に放置してきてしまったが、今はそれどころではない。意識を失ってしまった冬樹を抱え、雅耶はとにかく必死に保健室を目指していた。
昇降口の前に差し掛かったが、靴を脱いで上がるのも煩わしく感じて、そのまま校庭側から保健室を目指す。一階にある保健室には、校庭側に面して非常口兼用のドアが設置されているのだ。普段そのドアは解放されてはいないのだが、今は緊急事態でもあるし、保険医の清香がそこに居てさえくれれば何とかなる…と、雅耶は思っていた。
(熱い…冬樹…)
冬樹はぐったりとしている。
僅かに呼吸も早い。
(こんなに熱があるのに、無理して暴れたりするから)
冬樹のこの身体のどこにそんなパワーがあるのか、不思議にさえ思う。
何よりも雅耶が驚いたのは、冬樹の『小ささ』だった。
上級生には『おチビ』と言われていた冬樹だったが、実際背は言う程小さいということもない。平均よりは小さ目だが160センチ以上は十分にあるし、もっと身長が低い同級生は沢山いる。
だが、何より線が細いのだ。
顔の小ささも相まって、余計に小さく見えるということなのだろう。だが、実際に抱え上げてみて、その細さと軽さに雅耶は驚愕した。
自分と同じ男の身体とは思えない程の華奢さに。
窓越しに保健室を覗くと、清香がいるのが見えた。
雅耶は冬樹を横抱きに抱えたまま、肘で窓をノックする。
「雅耶…?どうしたのっ?その子は?」
状況を見て、清香はすぐにドアを開けるとベッドへと誘導した。
「熱があるみたいなんだ。突然、気を失っちゃって…」
冬樹をとりあえずベッドに寝かせると、雅耶は大きく息を吐いた。重たいということはなかったが、気を遣いながら慌てて抱えて来たので流石に少し疲労を感じていた。
「…大丈夫?いったい何処から抱えて来たのよ?もうとっくに下校時間は過ぎてるでしょう?」
冬樹の額に手を当てながら清香は疑問を口にした。
「うん…ちょっと…ね。後で詳しく話すよ。あっそうだ、清香センセイ…俺、鞄を置きっぱなしで来ちゃったんだ。今取って来ても良いかな?」
バタバタと校庭側のドアから再び出て行こうとする雅耶に。
「良いけど…あっ待って。この子のクラスと名前を教えてくれる?」
ごく普通に清香は質問を口にした。
雅耶はその言葉に一瞬動きを止めて、瞬きをすると。
「それ、冬樹だよ。一年A組、野崎冬樹」
そう言って微笑むと、外へと駆けて行った。
二人の鞄は先程の場所に放置してきてしまったが、今はそれどころではない。意識を失ってしまった冬樹を抱え、雅耶はとにかく必死に保健室を目指していた。
昇降口の前に差し掛かったが、靴を脱いで上がるのも煩わしく感じて、そのまま校庭側から保健室を目指す。一階にある保健室には、校庭側に面して非常口兼用のドアが設置されているのだ。普段そのドアは解放されてはいないのだが、今は緊急事態でもあるし、保険医の清香がそこに居てさえくれれば何とかなる…と、雅耶は思っていた。
(熱い…冬樹…)
冬樹はぐったりとしている。
僅かに呼吸も早い。
(こんなに熱があるのに、無理して暴れたりするから)
冬樹のこの身体のどこにそんなパワーがあるのか、不思議にさえ思う。
何よりも雅耶が驚いたのは、冬樹の『小ささ』だった。
上級生には『おチビ』と言われていた冬樹だったが、実際背は言う程小さいということもない。平均よりは小さ目だが160センチ以上は十分にあるし、もっと身長が低い同級生は沢山いる。
だが、何より線が細いのだ。
顔の小ささも相まって、余計に小さく見えるということなのだろう。だが、実際に抱え上げてみて、その細さと軽さに雅耶は驚愕した。
自分と同じ男の身体とは思えない程の華奢さに。
窓越しに保健室を覗くと、清香がいるのが見えた。
雅耶は冬樹を横抱きに抱えたまま、肘で窓をノックする。
「雅耶…?どうしたのっ?その子は?」
状況を見て、清香はすぐにドアを開けるとベッドへと誘導した。
「熱があるみたいなんだ。突然、気を失っちゃって…」
冬樹をとりあえずベッドに寝かせると、雅耶は大きく息を吐いた。重たいということはなかったが、気を遣いながら慌てて抱えて来たので流石に少し疲労を感じていた。
「…大丈夫?いったい何処から抱えて来たのよ?もうとっくに下校時間は過ぎてるでしょう?」
冬樹の額に手を当てながら清香は疑問を口にした。
「うん…ちょっと…ね。後で詳しく話すよ。あっそうだ、清香センセイ…俺、鞄を置きっぱなしで来ちゃったんだ。今取って来ても良いかな?」
バタバタと校庭側のドアから再び出て行こうとする雅耶に。
「良いけど…あっ待って。この子のクラスと名前を教えてくれる?」
ごく普通に清香は質問を口にした。
雅耶はその言葉に一瞬動きを止めて、瞬きをすると。
「それ、冬樹だよ。一年A組、野崎冬樹」
そう言って微笑むと、外へと駆けて行った。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)
義姉妹百合恋愛
沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。
「再婚するから」
そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。
次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。
それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。
※他サイトにも掲載しております
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる