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ヒメゴト
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翌日。
登校時、雅耶が昇降口で靴を履きかえていると。
「おはよう…」
突然、後ろから声を掛けられる。
相手を確認する前に反射的に「おはよう」と返事をすると、雅耶はその声の主を振り返った。
すると。
「冬樹…」
若干はにかんだ様子で、思わぬ人物がそこに立っていた。
「お前…大丈夫なのかっ?熱はっ?」
冬樹を見るや否や、真剣にそんな言葉を発する雅耶に。心底心配してくれていたのが分かって、冬樹は少し微笑むと、
「もう、大丈夫だよ。…昨日はありがとな…」
そう言って、照れているのを誤魔化すように自分もさっさと靴を脱いだ。上履きに履きかえて振り返ると、何故か先程の場所で固まっている雅耶がいて、冬樹は不思議に思って声を掛けた。
すると、
「あっ…いや、うん。何でもないっ」
何故か雅耶は、焦った様子でわたわたしていた。
二人はそのままの流れで、一緒に教室へと向かって歩き出した。
「熱…下がったんだな。良かったよ。昨日かなり高かったみたいだし…。突然倒れるから、びっくりしたよ」
雅耶は気遣うように、そんな言葉を口にした。
それに、冬樹は足を止めると、
「ごめん…。保健室まで、お前が運んでくれたんだってな。あの二年生の奴らのことと言い、本当に迷惑掛けた…」
そう言って、冬樹は雅耶に頭を下げた。
何気なく振り返っていた雅耶は、そんな冬樹の様子に慌てると、
「…っ!?馬鹿っ…何で頭下げてんだよっ。そんな大したことじゃないだろ?」
そう言って、無理やり頭を上げさせようとする。
そんな二人の様子を、周囲の通りすがりの生徒達は何事かとチラチラ見はじめていた。
だが、冬樹は言葉を続ける。
「『大したこと』…だろう?前に、オレはお前にあんな酷いことを言ったのに…。お前の気持ちも…考えないで…」
『オレに関わるなよ。オレの事なんか放っておいてくれ』
お前の好意を無下にして。
「オレは最低…なのに…本当に、ごめん…」
心からの謝罪。
大きな瞳を潤ませて、まっすぐに訴えてくる冬樹に。
「…冬樹…」
「はーい、はいはいっ!!ストーップ!!朝っぱらからこんなトコで痴話喧嘩は、皆さんに迷惑ですヨー♪」
「……っ?!」
「なっ…長瀬っ!?…ちっ…ちわげんか…って…」
突然の長瀬の乱入で、余計に周囲の注目を浴びてしまう冬樹と雅耶だった。
だが、この件で冬樹と雅耶の距離は少しだけ縮んだのだった。
登校時、雅耶が昇降口で靴を履きかえていると。
「おはよう…」
突然、後ろから声を掛けられる。
相手を確認する前に反射的に「おはよう」と返事をすると、雅耶はその声の主を振り返った。
すると。
「冬樹…」
若干はにかんだ様子で、思わぬ人物がそこに立っていた。
「お前…大丈夫なのかっ?熱はっ?」
冬樹を見るや否や、真剣にそんな言葉を発する雅耶に。心底心配してくれていたのが分かって、冬樹は少し微笑むと、
「もう、大丈夫だよ。…昨日はありがとな…」
そう言って、照れているのを誤魔化すように自分もさっさと靴を脱いだ。上履きに履きかえて振り返ると、何故か先程の場所で固まっている雅耶がいて、冬樹は不思議に思って声を掛けた。
すると、
「あっ…いや、うん。何でもないっ」
何故か雅耶は、焦った様子でわたわたしていた。
二人はそのままの流れで、一緒に教室へと向かって歩き出した。
「熱…下がったんだな。良かったよ。昨日かなり高かったみたいだし…。突然倒れるから、びっくりしたよ」
雅耶は気遣うように、そんな言葉を口にした。
それに、冬樹は足を止めると、
「ごめん…。保健室まで、お前が運んでくれたんだってな。あの二年生の奴らのことと言い、本当に迷惑掛けた…」
そう言って、冬樹は雅耶に頭を下げた。
何気なく振り返っていた雅耶は、そんな冬樹の様子に慌てると、
「…っ!?馬鹿っ…何で頭下げてんだよっ。そんな大したことじゃないだろ?」
そう言って、無理やり頭を上げさせようとする。
そんな二人の様子を、周囲の通りすがりの生徒達は何事かとチラチラ見はじめていた。
だが、冬樹は言葉を続ける。
「『大したこと』…だろう?前に、オレはお前にあんな酷いことを言ったのに…。お前の気持ちも…考えないで…」
『オレに関わるなよ。オレの事なんか放っておいてくれ』
お前の好意を無下にして。
「オレは最低…なのに…本当に、ごめん…」
心からの謝罪。
大きな瞳を潤ませて、まっすぐに訴えてくる冬樹に。
「…冬樹…」
「はーい、はいはいっ!!ストーップ!!朝っぱらからこんなトコで痴話喧嘩は、皆さんに迷惑ですヨー♪」
「……っ?!」
「なっ…長瀬っ!?…ちっ…ちわげんか…って…」
突然の長瀬の乱入で、余計に周囲の注目を浴びてしまう冬樹と雅耶だった。
だが、この件で冬樹と雅耶の距離は少しだけ縮んだのだった。
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