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胸騒ぎと焦燥
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階段に差し掛かると、途中で長瀬が同じ部の先輩と偶然一緒になり、会話に花が咲いたのか踊り場で足を止めた。
「ごめん!先に行ってて」
手を合わせて「悪ィ」と言いながらウインクしている長瀬に。
冬樹と雅耶は顔を見合わせると「じゃあな」…と、長瀬を置いて二人で階段を下りて行った。
冬樹は長瀬が抜けたことで少しだけ気が重くなってしまった。
何故なら、雅耶と二人で帰ることになっても、また校門で彼女が待っているだろうと思ったから。
(長瀬がいれば、まだ気が紛れるんだけどな…)
流石にあのイチャイチャを一人で目の当たりにするのは正直キツイ。
(今度は、余裕ぶってかわせる自信…ないかも…)
雅耶にべったりな彼女を思い出して、冬樹はそっと小さく溜息を吐いた。
そんな冬樹の様子を横から見ていた雅耶は、ずっと気に掛かっていた言葉を口にした。
「冬樹、お前さ…。昨夜、あんまり寝てないだろ?」
「えぇっ?」
思わぬ指摘に、冬樹は驚いて足を止めた。
「な…んで…?」
「バレバレだよ。今日一日、ずっと眠そうに欠伸かみ殺してたろ?話し掛けてもボーっとしてるしさ…」
それに何より、妙に目が潤んでいるし。
そう言おうと思った雅耶だったが、その潤んだ瞳でじっ…と見上げられて思わず動揺してしまい、言葉は続かなかった。
「よく…見てるんだな…」
そう言われて、ドキリ…とする。
視線がつい冬樹を追ってしまっている、最近の自分の現状を指摘されたようで恥ずかしくなった。
だが、続いた冬樹の言葉には思わず固まってしまう。
「なんか雅耶、直純先生みたいだな…」
「え…」
「直純先生ってスゴい観察眼って言うか、隠し事出来ない感じがするだろ?」
思わぬところで直純の名前が出てきて、雅耶は複雑な気持ちになる。だが、無邪気に話している冬樹の笑顔につられるように笑うと、その意見に賛同した。
「確かに…。直純先生にかかれば何でもお見通しって感じだもんな」
「だよな?」
そう笑って歩き出した冬樹の横を一緒に歩きながら、雅耶はふと真面目な顔になった。
「でも…じゃあ、俺も直純先生張りに見抜いて見せようか?」
「…えっ?」
再び足を止めた雅耶を冬樹は振り返ると。
思いのほか、真剣な表情をした雅耶と目が合った。
「…雅耶…?」
「冬樹…お前さ、実は…」
冬樹は、ドキッとした。
(雅耶は、何を言うつもりなんだ…?)
その…ほんの数秒の間にも、冬樹の頭の中では様々な言葉が浮かんでは消えていった。その浮かんだ言葉の分だけ、自分には後ろめたいことがある…ということなのだが。
そのまま固まっている冬樹を見詰めていた雅耶の表情がフッと緩む。
「……っ?」
「お前…実は、昨夜徹夜で課題終わらせただろ」
「え…」
「…当たってたか?」
そう言って、雅耶は悪戯っぽい顔をして笑った。
「あ…ああ。うん…、アタリ…」
冬樹は一瞬面食らっていたが、我に返ると苦笑する。
「さっきは長瀬に『日頃の積み重ね』…なんてエラそうなこと言ったけど…。ホントは昨夜終わらせたんだ…。長瀬には内緒な?」
冬樹が人差し指を口に当てて「ナイショ」…と言うと、雅耶は少し意地の悪い笑みを浮かべて言った。
「借りにしといてやるな♪」
「うわ…ひどっ…」
そうして二人顔を見合わせると、笑い合った。
「ごめん!先に行ってて」
手を合わせて「悪ィ」と言いながらウインクしている長瀬に。
冬樹と雅耶は顔を見合わせると「じゃあな」…と、長瀬を置いて二人で階段を下りて行った。
冬樹は長瀬が抜けたことで少しだけ気が重くなってしまった。
何故なら、雅耶と二人で帰ることになっても、また校門で彼女が待っているだろうと思ったから。
(長瀬がいれば、まだ気が紛れるんだけどな…)
流石にあのイチャイチャを一人で目の当たりにするのは正直キツイ。
(今度は、余裕ぶってかわせる自信…ないかも…)
雅耶にべったりな彼女を思い出して、冬樹はそっと小さく溜息を吐いた。
そんな冬樹の様子を横から見ていた雅耶は、ずっと気に掛かっていた言葉を口にした。
「冬樹、お前さ…。昨夜、あんまり寝てないだろ?」
「えぇっ?」
思わぬ指摘に、冬樹は驚いて足を止めた。
「な…んで…?」
「バレバレだよ。今日一日、ずっと眠そうに欠伸かみ殺してたろ?話し掛けてもボーっとしてるしさ…」
それに何より、妙に目が潤んでいるし。
そう言おうと思った雅耶だったが、その潤んだ瞳でじっ…と見上げられて思わず動揺してしまい、言葉は続かなかった。
「よく…見てるんだな…」
そう言われて、ドキリ…とする。
視線がつい冬樹を追ってしまっている、最近の自分の現状を指摘されたようで恥ずかしくなった。
だが、続いた冬樹の言葉には思わず固まってしまう。
「なんか雅耶、直純先生みたいだな…」
「え…」
「直純先生ってスゴい観察眼って言うか、隠し事出来ない感じがするだろ?」
思わぬところで直純の名前が出てきて、雅耶は複雑な気持ちになる。だが、無邪気に話している冬樹の笑顔につられるように笑うと、その意見に賛同した。
「確かに…。直純先生にかかれば何でもお見通しって感じだもんな」
「だよな?」
そう笑って歩き出した冬樹の横を一緒に歩きながら、雅耶はふと真面目な顔になった。
「でも…じゃあ、俺も直純先生張りに見抜いて見せようか?」
「…えっ?」
再び足を止めた雅耶を冬樹は振り返ると。
思いのほか、真剣な表情をした雅耶と目が合った。
「…雅耶…?」
「冬樹…お前さ、実は…」
冬樹は、ドキッとした。
(雅耶は、何を言うつもりなんだ…?)
その…ほんの数秒の間にも、冬樹の頭の中では様々な言葉が浮かんでは消えていった。その浮かんだ言葉の分だけ、自分には後ろめたいことがある…ということなのだが。
そのまま固まっている冬樹を見詰めていた雅耶の表情がフッと緩む。
「……っ?」
「お前…実は、昨夜徹夜で課題終わらせただろ」
「え…」
「…当たってたか?」
そう言って、雅耶は悪戯っぽい顔をして笑った。
「あ…ああ。うん…、アタリ…」
冬樹は一瞬面食らっていたが、我に返ると苦笑する。
「さっきは長瀬に『日頃の積み重ね』…なんてエラそうなこと言ったけど…。ホントは昨夜終わらせたんだ…。長瀬には内緒な?」
冬樹が人差し指を口に当てて「ナイショ」…と言うと、雅耶は少し意地の悪い笑みを浮かべて言った。
「借りにしといてやるな♪」
「うわ…ひどっ…」
そうして二人顔を見合わせると、笑い合った。
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