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罪と願いと…
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しおりを挟む冬樹は、少しへこんでいるようだった。
(確かにそう考えると、おじさんが作ったというその薬も…何かヤバイ臭いがしないでもないけど。でも、力の話もどこまで信用していいものか、微妙なとこだよな…)
今は何とも言えない気がした。
雅耶は、思いに沈んでいる冬樹の頭の上に掌をポンッ…と乗せると、気持ちを切り替えるように明るく言った。
「今、分からないことを悪い方に考えてても仕方ない。とりあえず、明日アイツに詳しい話を聞こうぜ?まずは、それからだ」
「…まさや…」
不安げな瞳を向けてくる冬樹に。
雅耶は「なっ?」…と、安心させるように笑顔を向けた。
「……ああ。そう、だな…」
冬樹は頷きながら、自分に言い聞かせるように呟くと。
照れたように微笑みを浮かべた。
「でも、よくよく考えたら、詳しい話を聞くならやっぱり力の親父さんに聞くのが一番早いと思うんだよな。一緒に開発していたのなら薬のことも全て理解している筈だろうし…」
雅耶が何気なく言った。
「そう、だな…」
「あれ?でも、それなら…力の親父さんの所にそのデータもあると考えるのが普通なんじゃないのか?」
「………」
そんな雅耶の言葉に、冬樹は瞳を大きく見開いた。
(…確かにそうだ。本当なら神岡のおじさんが、その薬のデータの在処を知っていてもいいはずだ。もし、実際は知らなかったとしても、まずおじさんの所から大倉達は何らかの接触を試みるに違いない。でも、何だろう…。何か…)
冬樹は何だか嫌な予感が頭を過ぎっていた。
以前、あの崖で力が言っていた言葉が突然思い浮かぶ。
『野崎のおじさんの転落事故。…あれは、ただの事故なんかじゃない。あれは仕組まれたものだ…』
あの事故は、あの別荘の帰り道で起きた。
力と…恐らく神岡のおじさんの乗った車の目の前で…。
だからと言って、それが直接どうこうという訳ではないけれど。
(もしかしたら…事故のことも、おじさんは何か知っているのかも知れない…)
今まで思いもよらなかった考えが浮かんで、冬樹は思わず身ぶるいした。
その時。
「ま…やっぱり、まずは明日力に聞いてみて、それからだなっ」
そんな思考を打ち消すような雅耶の声に、冬樹は我に返ると、思わず力んでいた肩の力を抜いた。
(今は、これ以上考えないようにしよう。雅耶の言うとおり、悪い方へ考えが行きがちだ…)
冬樹は気持ちを落ち着けるように小さく息を吐くと、月の浮かぶ夜空を見上げた。
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