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風邪(1)
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深夜。ふと目が覚める。わけもなく夜風に当たりたくなって、静かにベッドから降りる。重い体を半ば引き摺るようにしてベランダへ移る。外の空気は大分冷たくて、少し寒かった。
喉の渇きを覚えて、キッチンへ向かう。蛇口を捻り、グラスに水を移す。それを飲もうとした時、とてつもない胃の違和感と吐き気を感じ、咄嗟に屈み込んだ。必死に息を吸い衝動を止めにかかるが、胃から食道へと込み上げるものは止まらない。口元を押さえるが、指の隙間を抜けて粘性を持った、ところどころに柔らかな固体の混じった液体が溢れる。喉に押し戻そうとしても止まらなくて、ついに吐瀉物が堰を切ったように流れ出た。
「うぐっ……ッ、ォ゛、……………ェ、……ッ」
床にびちゃびちゃと嘔吐する。胃液の苦い味。
はぁはぁと息を吸い、必死に調子を整える。込み上げる食べ物だったものをどうにか抑えて、深呼吸する。歯の隙間や頬の内側に入った吐ききれなかった吐瀉が気持ち悪い。
「……はー、…………っ、あ゛ー……。……掃除、しないとな」
内臓がすべて金属にでも変わったかのようにだるく重い体に鞭を打って、吐き終えたそれを始末する。
床の消毒まで終え、やっと水を飲んだ。気持ちの悪かった口内がマシになる。吐くなんていつぶりだったか。もしかしたら体調を崩しているのかもしれない。ダリスにうつすわけにはいかないと思った俺は、毛布をクローゼットから引き摺り出して、それにくるまって床に眠った。
「アイン!?!?死んだ!?!?」
パニックになっているダリスの叫び声。目を開けると、涙目で騒いでいる彼が見えた。
「心配するな。生きている」
「……!よかった……心配したんだから……!!!」
生きてこそいるものの、体調は全く優れない。彼の第一声のとおり、きっと今自分は死体のような酷い顔色なのだろう。
「しかし、すまない。体調が優れず今日は動けそうにない。せっかくのデートなのに。不甲斐ない……」
「いいよ全然、てかまじ大丈夫?」
「微妙だ」
「だよね。体温計……ってどこ?あといるものある?てか食欲ある?ご飯食べる?」
「今は食う気にならない。調味料の隣の引き出しに体温計は入れていたはずだ。確か熱冷まし用の冷却シートもそこにあったはずだから、それも頼んでいいか?」
「ん。待ってて」
小走りで彼が去っていく。キッチンからガチャガチャと慌ただしい音がする。本当なら今日は彼とデートするはずだったのに、まさかこんなことになってしまうとは。ぎしぎしと痛む脳も未だ胃を狂わせる吐き気も体のだるさも止まる気配はなくて、早く治れと祈りながら目を伏せた。
「……ッ!?」
額を触られ、体が跳ねる。
「あ。起きたんだ。おはよ」
「ダリス……。……待て、今何時だ?」
「もうほぼ夜だよ。よく寝てた。六時くらいだったかな」
額に張り付いた冷却シートを剥がしながらダリスが言う。思いっきり寝てしまった。適当に数時間寝て治して、午後からでも出かけようと思ったのに。
「まだ熱あるね。へーき?」
冷却シートを取り替えたダリスが心配そうに顔を覗き込む。まだ体はだるかったが、頭痛と吐き気は幾分かマシになっていた。
「朝よりかは。」
「そっか。お風呂は入れそう?」
「…‥無理だ。だるくてかなわない」
「体拭くよ。汗すごいでしょ」
実際のところそうだった。風呂まで行き湯船に浸かる余力はないが、体にべとべと纏わりつく寝汗は気持ちが悪い。しかし、彼の丸一日を看病に付き合わせてしまったのにここまで面倒を見させるわけにはいかない。
「ありがとう。気持ちだけ受け取ろう。タオルだけもらえれば自分でどうにかする」
「いいよ辛いでしょ。おれがこうやって看病
してんのちょーレアだよ?いいの?」
「……では頼む」
上体を起こし、掛け布団を取り払って汗でぐっしょりと濡れた夜間着を脱ぐ。冷たい空気。ダリスの小さな手が背中に添えられる。首、背中と、湿ったタオルが肌を滑る。
「あ、……、…………」
視線を下に向けた時、股間がこんもりと盛り上がっていることに気がつく。
「すまない。そのうち治る」
「……」
意思に関わらず反応する体が恥ずかしい。看病してもらっている身で申し訳ない。
何も言うことができなくて黙って俯いていると、膨張した隠部に手を添えられた。嫌でも股間を意識してしまい、ゆるく勃っていたはずのそこは高度を増す。
「……、抜くよ」
「え」
「どっちみち、一応三ヶ月毎日えっちする約束だったでしょ。今日できないし、……その分、みたいな」
下着の中に手を入れられ、布をどかされる。ぴとりと彼の手が熱を持ったそれを包む。俺が次の言葉を発するより前に、骨っぽい小さい手がカリ裏に触れる。くすぐるように指の腹で擦られ、何を言いたかったかすら忘れてしまう。
「あ、ぁ゛♡」
「もうガチガチじゃん」
くすりと笑ったダリスが手のひらで剥き出しの亀頭を包む。ぐりぐりと押し付けるみたいに擦られる。独特な器官で触れるからこそわかる掌紋のざらざらした細やかな凹凸に快感が高まる。爪先で尿道をカリカリと引っ掻かれ、透明な汁がこぷこぷと溢れ出す。
「はッ、……ッ♡、……ぅ゛、ぐゥ゛ッ……♡」
空いている左手で、裏筋を指圧をかけながら上下に擦りだす。自分でするのとは違うまるで予想できない動きと、世界で一番愛しい存在に触れられているという興奮。風邪由来ではない熱で顔が火照る。
「ひ、ぅ゛、……っぐ、っ……♡」
かぷ、と熱い粘膜が包んだ。ちゅうちゅうと先端を吸った彼は唇を離し、動揺して固まっている俺に話しだす。
「この方がはやいでしょ」
「ッ♡ ッ♡」
竿を擦りながら、カリ首の段差を舌で舐めて、尿道口を舌先で弄って。ふわふわした熱と股間の気持ちよさのせいで、早漏でもないのにもうイってしまいそうだ。
「だめだ、ダリス、ダリスっ……♡、ぁ゛、……ッ♡」
「あは、めっちゃびくびくしてる……♡」
「イく、一旦待ってくれ、……ッ、~~ッ……♡♡」
「仕方ないな~……もー……♡」
責め立てるように動いていた舌の動きが鈍る。先ばかりを舐める舌と柔らかい唇が焦らす。細い指の輪がねちっこく、ゆっくりとした動きに変わる。
「ちが、~~~ッ、あ゛……♡」
「なあに?イきたくない~ってことじゃないの?」
「ッ♡ ぐ、……ッ♡ ふーッ……♡ ……ッ、……♡」
「やっぱイきたいんでしょ、ね」
「ぉ゛……ッ……………!?♡ ぃ゛、ッ、は、~~~~~ッ♡♡♡♡♡」
びゅ♡ びゅぷっ……♡ びゅ……♡
ぐりぐり舌先でいじめられ、限界を迎えた陰茎に重たい精子がのぼっていく。脈動が続く間も、くすぐるような優しい手つきで丁寧に搾り取られる。射精が終わるまでずっと口を離さないで、精液を受け止める。
「ん、……ぅ、……っ、いっぱい出たね……♡」
口に出した精液を、腕のような形を作った手に出す。唾液と入り混じった白濁が彼の手のひらに溜まる。
「おつかれ、たくさん寝て早く良くなってね」
「……ん゛、……っ♡、あ、あぁ…………」
眠気と射精後の疲労感が急に体を襲う。ばたりと寝転がって、再び眠りに落ちた。
喉の渇きを覚えて、キッチンへ向かう。蛇口を捻り、グラスに水を移す。それを飲もうとした時、とてつもない胃の違和感と吐き気を感じ、咄嗟に屈み込んだ。必死に息を吸い衝動を止めにかかるが、胃から食道へと込み上げるものは止まらない。口元を押さえるが、指の隙間を抜けて粘性を持った、ところどころに柔らかな固体の混じった液体が溢れる。喉に押し戻そうとしても止まらなくて、ついに吐瀉物が堰を切ったように流れ出た。
「うぐっ……ッ、ォ゛、……………ェ、……ッ」
床にびちゃびちゃと嘔吐する。胃液の苦い味。
はぁはぁと息を吸い、必死に調子を整える。込み上げる食べ物だったものをどうにか抑えて、深呼吸する。歯の隙間や頬の内側に入った吐ききれなかった吐瀉が気持ち悪い。
「……はー、…………っ、あ゛ー……。……掃除、しないとな」
内臓がすべて金属にでも変わったかのようにだるく重い体に鞭を打って、吐き終えたそれを始末する。
床の消毒まで終え、やっと水を飲んだ。気持ちの悪かった口内がマシになる。吐くなんていつぶりだったか。もしかしたら体調を崩しているのかもしれない。ダリスにうつすわけにはいかないと思った俺は、毛布をクローゼットから引き摺り出して、それにくるまって床に眠った。
「アイン!?!?死んだ!?!?」
パニックになっているダリスの叫び声。目を開けると、涙目で騒いでいる彼が見えた。
「心配するな。生きている」
「……!よかった……心配したんだから……!!!」
生きてこそいるものの、体調は全く優れない。彼の第一声のとおり、きっと今自分は死体のような酷い顔色なのだろう。
「しかし、すまない。体調が優れず今日は動けそうにない。せっかくのデートなのに。不甲斐ない……」
「いいよ全然、てかまじ大丈夫?」
「微妙だ」
「だよね。体温計……ってどこ?あといるものある?てか食欲ある?ご飯食べる?」
「今は食う気にならない。調味料の隣の引き出しに体温計は入れていたはずだ。確か熱冷まし用の冷却シートもそこにあったはずだから、それも頼んでいいか?」
「ん。待ってて」
小走りで彼が去っていく。キッチンからガチャガチャと慌ただしい音がする。本当なら今日は彼とデートするはずだったのに、まさかこんなことになってしまうとは。ぎしぎしと痛む脳も未だ胃を狂わせる吐き気も体のだるさも止まる気配はなくて、早く治れと祈りながら目を伏せた。
「……ッ!?」
額を触られ、体が跳ねる。
「あ。起きたんだ。おはよ」
「ダリス……。……待て、今何時だ?」
「もうほぼ夜だよ。よく寝てた。六時くらいだったかな」
額に張り付いた冷却シートを剥がしながらダリスが言う。思いっきり寝てしまった。適当に数時間寝て治して、午後からでも出かけようと思ったのに。
「まだ熱あるね。へーき?」
冷却シートを取り替えたダリスが心配そうに顔を覗き込む。まだ体はだるかったが、頭痛と吐き気は幾分かマシになっていた。
「朝よりかは。」
「そっか。お風呂は入れそう?」
「…‥無理だ。だるくてかなわない」
「体拭くよ。汗すごいでしょ」
実際のところそうだった。風呂まで行き湯船に浸かる余力はないが、体にべとべと纏わりつく寝汗は気持ちが悪い。しかし、彼の丸一日を看病に付き合わせてしまったのにここまで面倒を見させるわけにはいかない。
「ありがとう。気持ちだけ受け取ろう。タオルだけもらえれば自分でどうにかする」
「いいよ辛いでしょ。おれがこうやって看病
してんのちょーレアだよ?いいの?」
「……では頼む」
上体を起こし、掛け布団を取り払って汗でぐっしょりと濡れた夜間着を脱ぐ。冷たい空気。ダリスの小さな手が背中に添えられる。首、背中と、湿ったタオルが肌を滑る。
「あ、……、…………」
視線を下に向けた時、股間がこんもりと盛り上がっていることに気がつく。
「すまない。そのうち治る」
「……」
意思に関わらず反応する体が恥ずかしい。看病してもらっている身で申し訳ない。
何も言うことができなくて黙って俯いていると、膨張した隠部に手を添えられた。嫌でも股間を意識してしまい、ゆるく勃っていたはずのそこは高度を増す。
「……、抜くよ」
「え」
「どっちみち、一応三ヶ月毎日えっちする約束だったでしょ。今日できないし、……その分、みたいな」
下着の中に手を入れられ、布をどかされる。ぴとりと彼の手が熱を持ったそれを包む。俺が次の言葉を発するより前に、骨っぽい小さい手がカリ裏に触れる。くすぐるように指の腹で擦られ、何を言いたかったかすら忘れてしまう。
「あ、ぁ゛♡」
「もうガチガチじゃん」
くすりと笑ったダリスが手のひらで剥き出しの亀頭を包む。ぐりぐりと押し付けるみたいに擦られる。独特な器官で触れるからこそわかる掌紋のざらざらした細やかな凹凸に快感が高まる。爪先で尿道をカリカリと引っ掻かれ、透明な汁がこぷこぷと溢れ出す。
「はッ、……ッ♡、……ぅ゛、ぐゥ゛ッ……♡」
空いている左手で、裏筋を指圧をかけながら上下に擦りだす。自分でするのとは違うまるで予想できない動きと、世界で一番愛しい存在に触れられているという興奮。風邪由来ではない熱で顔が火照る。
「ひ、ぅ゛、……っぐ、っ……♡」
かぷ、と熱い粘膜が包んだ。ちゅうちゅうと先端を吸った彼は唇を離し、動揺して固まっている俺に話しだす。
「この方がはやいでしょ」
「ッ♡ ッ♡」
竿を擦りながら、カリ首の段差を舌で舐めて、尿道口を舌先で弄って。ふわふわした熱と股間の気持ちよさのせいで、早漏でもないのにもうイってしまいそうだ。
「だめだ、ダリス、ダリスっ……♡、ぁ゛、……ッ♡」
「あは、めっちゃびくびくしてる……♡」
「イく、一旦待ってくれ、……ッ、~~ッ……♡♡」
「仕方ないな~……もー……♡」
責め立てるように動いていた舌の動きが鈍る。先ばかりを舐める舌と柔らかい唇が焦らす。細い指の輪がねちっこく、ゆっくりとした動きに変わる。
「ちが、~~~ッ、あ゛……♡」
「なあに?イきたくない~ってことじゃないの?」
「ッ♡ ぐ、……ッ♡ ふーッ……♡ ……ッ、……♡」
「やっぱイきたいんでしょ、ね」
「ぉ゛……ッ……………!?♡ ぃ゛、ッ、は、~~~~~ッ♡♡♡♡♡」
びゅ♡ びゅぷっ……♡ びゅ……♡
ぐりぐり舌先でいじめられ、限界を迎えた陰茎に重たい精子がのぼっていく。脈動が続く間も、くすぐるような優しい手つきで丁寧に搾り取られる。射精が終わるまでずっと口を離さないで、精液を受け止める。
「ん、……ぅ、……っ、いっぱい出たね……♡」
口に出した精液を、腕のような形を作った手に出す。唾液と入り混じった白濁が彼の手のひらに溜まる。
「おつかれ、たくさん寝て早く良くなってね」
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