貧乏国家のクズ王子~国家建て直しのため魔王軍に入った俺が天才と呼ばれ始める。

葉月

文字の大きさ
18 / 45

第18話 スケベなお姉たま?

しおりを挟む
 上官であるお姉たまをお出迎えしに、町の外に設置してあったゲートへ赴くと、おっかなそうな面持ちの魔族が隊列を組んでいた。

 圧巻の魔王軍を前に、警備に当たっていた兵たちが腰を抜かしている。
 無理もない。
 大剣を担いだ人狼に、鋭利な鉤爪を有するハーピィなど、その数ざっと一万である。

 この数が一気に王都に攻めいって来た日には人溜まりもない。

「なんだ……妾が来てやったというのに出迎えは下僕のお主だけか?」
「とんでもない! これは一種のパフォーマンスですよ。お姉たま」

 と言いながら、煙管を吹かすお姉たまの柔らかそうなおっぱいをツンツンしてみると、

「痛っ!?」
「無礼者っ! 気安く妾に触れるでないわっ!」

 煙管で手を叩かれてしまった。
 お姉たまは俺に御執心のはずなのに……あっ! 照れてるのか。
 なんて可愛いんだ♡

「ムフフ……意外と初々しいんですね」
「何のことじゃ?」
「またまた、この照れ屋さん♡」
「は……?」

 俺は照れ屋なお姉たまたちフォクシー軍を引き連れ、王都の門をくぐり抜けた。
 すると、盛大にラッパの音が蒼天を駆け抜ける。同時に音楽隊の派手な演奏が町に木霊する。

「ほぉ~、下僕にしてはよい歓迎じゃの。誉めて遣わす」
「ええ、王都をあげてのお出迎えですから」

 町の者たちも皆予定通り、城までの大通りを埋め尽くして歓迎している。
 この日のために王都在住すべての者に、少しではあるが給付金を渡しておいたからな。

 しかもっ! 魔王軍がこの国の発展に貢献し、さらなる発展を遂げた暁には、ベーシックインカムと題して毎月少額の国民配当を支給すると……大嘘をついてやった!

 もちろん爆発的に国が栄えたなら、毎月は不可能だが、極たまになら給付金を与えて経済を回すのも悪くないかもなしれない。

 つまり、いまの王都は金に目を眩ませた者たちで溢れ返っており、魔王軍大歓迎というわけだ。

 パレードは滞りなく順調に進み、王の間にフォクシーお姉たまがやって来ると、チャームで魅了された貴族一同が跪いてお出迎え。
 そこへ透かさず公爵家令嬢ユリアナ・アスタロッテが花束を贈呈する。

 エクセレ~~~ントッ! 我ながら完璧な流れだ。これなら誰も文句を言えまい!
 この日のために沢山苦労をした甲斐があったというものだ。

「あはははっ――気に入ったわ! まるで妾が魔王さまとなったようではないか」
「喜んでいただけて光栄ですよ。なんたってフォクシーお姉たまは俺のそくし……妃みたいなものですから」

 二つ並べた玉座に腰をおろし、ご機嫌なフォクシーお姉たまにプリティーなウインクを送ると、

「妃じゃと……?」

 一瞬凍りついたような声音がお姉たまの口から漏れ、その綺麗なお顔に影が落ちる。

「妾が下僕の妃と申すか?」
「ええ、嬉しいですよね? 好きなんですから」

 俺の問いかけに応えるように顔をあげたお姉たまから、凄まじい殺気が放たれる。
 他を呪い殺してしまうほどの狂気に、この場に居合わせたすべての者たちが震えあがっていく。

「戯けぇ――っ!! 人間無勢が図に乗るでないわっ!」

 ヒュゥーッ、ヒュゥヒュウーッ♪
 早速飛び出たお姉たまの罵りプレイに胸が高揚して参りました!
 堪らず心の中で黄色い声をあげてしまう。

「ムフフ――わかってます、わかってますとも。SMプレイがお好きなんですよね?」
「は?」
「安心してください。俺はSもMもどっちも得意なんですよ♪」

 と、言いつつ。ドSのお姉たまをベッドの上で服従させることに興奮しているとは……まだ秘密だよ。
 ドSな女をドMに目覚めさせる快楽を知る俺にとって、まさにフォクシーは最高の側室となることだろう。

 これほどまでの悦楽は久々かもしれん。
 たとえるなら禁欲生活半年を乗り越えたあとにやって来るマスターベーション。
 いや、至高のハーレムプレイとたとえた方が正しいか……どちらにせよ堪らんっ!

「下僕……貴様妾を……女衒のフォクシーと恐れられた妾を舐めておるのか?」

 ん……どういう意味だろう?
 女衒……早い話が奴隷商人のような者のことだよな?
 ああっ! そういうことか……読めたぞ!

 つまりフォクシーお姉たまは長ったらしい挨拶などどうでもいいから、いますぐにでもおっぱじめたいと言っているのだろう。

 要約すると、ドSな妾はここで貴様に羞恥を与えることこそが至福の悦び、そんな妾を夜まで待たせるつもりか? 舐めておるのか、貴様は……ということらしい。

 この……ドスケベめっ!

「別に構いませんよ、俺は」
「……構わぬとはどういう意味じゃ」
「ここでお姉たまとおっぱじめても構わないと言っているんですよ」

 おおっ、スケベに興奮して身震いしている。
 溜まっているのかな?
 でも、女の人でも溜まるのか?
 あっ……!? これが動物的な発情期というやつか。
 ミラちゃん納得♪

「殺すぞ……貴様っ……殺すぞっっ――!!」

 バタンッ――おや?
 興奮し過ぎたお姉たまの魔力圧に耐えきれず、バタバタと皆気を失っていく。
 情けないやつらだな。

 立ち上がったお姉たまが俺を眼下に睨みつけている。
 SMプレイ開始というわけかな?
 望むところだ。
 お姉たまにドMの快楽を叩き込んでくれよう。


 気持ちよすぎて気を失うなよっ!
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。 現世で惨めなサラリーマンをしていた…… そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。 その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。 それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。 目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて…… 現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に…… 特殊な能力が当然のように存在するその世界で…… 自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。 俺は俺の出来ること…… 彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。 だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。 ※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※ ※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※

嫁に来た転生悪役令嬢「破滅します!」 俺「大丈夫だ、問題ない(ドラゴン殴りながら)」~ゲームの常識が通用しない辺境領主の無自覚成り上がり~

ちくでん
ファンタジー
「なぜあなたは、私のゲーム知識をことごとく上回ってしまうのですか!?」 魔物だらけの辺境で暮らす主人公ギリアムのもとに、公爵家令嬢ミューゼアが嫁として追放されてきた。実はこのお嫁さん、ゲーム世界に転生してきた転生悪役令嬢だったのです。 本来のゲームでは外道の悪役貴族だったはずのギリアム。ミューゼアは外道貴族に蹂躙される破滅エンドだったはずなのに、なぜかこの世界線では彼ギリアムは想定外に頑張り屋の好青年。彼はミューゼアのゲーム知識をことごとく超えて彼女を仰天させるイレギュラー、『ゲーム世界のルールブレイカー』でした。 ギリアムとミューゼアは、破滅回避のために力を合わせて領地開拓をしていきます。 スローライフ+悪役転生+領地開拓。これは、ゆったりと生活しながらもだんだんと世の中に(意図せず)影響力を発揮していってしまう二人の物語です。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

処理中です...