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悪女殿下の7回目の婚約の行方
第90話
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意外だ。あの次兄が自分にそんなことをするなんて。
「閣下、不思議って表情をしてる。簡単なことだよ。殿下が帝位に就くまでは、何かあっては困るんだってさ。新しい婚約者になるオレですら、ジェレミー殿下にとってはただの駒だ」
「……わたくし、顔に出ていたかしら?」
怪訝な表情をすれば、エドワードがくすりと笑った。
「出てないよ。オレは長い間、副官として傍にいたんだ。閣下のことならわかるよ。閣下のこと、ずっと見てた。好きだったんだ」
クリスティーナは思わず目を瞠った。
まさかエドワードに想いを寄せられているなんて思わなかった。
自分が結婚する気がないことを彼は見てきたはずだから。
「意外? 戦場を駆け回り次々に勝利を収める姿、カリスマ性。閣下は初めからオレの憧れだったよ。惹かれないわけないよ。でもさ、オレの身分では結ばれることはない。だから、その隣に立つためにオレは努力した。副官になった時は嬉しかったな」
エドワードがうっとりと目を細めた。
「閣下が婚約破棄を繰り返すから、結婚する意志がないことはわかってた。だったら副官のオレこそが閣下に一番近い人間だろう? オレはそれで満足だった。ザートツェントルと婚約を結ぶまでは」
「……どうして、そこにシキが」
「どうして? 決まってるだろ。これまで国外の人間ばかりだったのに、国内から婚約者としてあいつが選ばれ、さらには副官にまでなった。許せるはずないだろ! しかも、閣下は受け入れただけでなく親し気に振舞って……。閣下のことを分かっていて、一番近い人間はオレだけなんだ!」
エドワードが激昂するところを初めてみた。
けれども、クリスティーナは冷静に見つめていた。
「……勝手ね。わたくしがどう振舞おうがわたくしの自由だわ。それで、ジェレミーお兄様の手を取ったというの? わたくしを裏切ってまで?」
クリスティーナの冷たい言葉に、エドワードは唇を噛んだ。
「最初にオレを裏切ったのは閣下だよ。もう何を言ったって、オレと婚約するのはもう決まったも同然だからな」
「わたくしの婚約者を決めるのはレオン皇太子殿下よ。あなたがわたくしの婚約者になるなんてありえないわ」
ぴしゃりと跳ねのけると、エドワードが物凄い形相で、クリスティーナに掴みかかろうとした。
(いやっ、触れられたくない!)
「ぎゃあああっ!」
クリスティーナに触れようとした瞬間、魔方陣が光り輝きエドワードを吹き飛ばした。
ジェレミーの結界魔法だ。
それだけなら良かったのだが、クリスティーナに再び痛みが襲う。
「う、ぐぐ……っ」
「どうしてオレは閣下に触れられないんだ! ずっと想ってるのに!」
(わたくし、に……触れてもいい、のは)
頭への締め付けがどんどんきつくなり、意識が朦朧とする中、クリスティーナは気絶した。
「閣下、不思議って表情をしてる。簡単なことだよ。殿下が帝位に就くまでは、何かあっては困るんだってさ。新しい婚約者になるオレですら、ジェレミー殿下にとってはただの駒だ」
「……わたくし、顔に出ていたかしら?」
怪訝な表情をすれば、エドワードがくすりと笑った。
「出てないよ。オレは長い間、副官として傍にいたんだ。閣下のことならわかるよ。閣下のこと、ずっと見てた。好きだったんだ」
クリスティーナは思わず目を瞠った。
まさかエドワードに想いを寄せられているなんて思わなかった。
自分が結婚する気がないことを彼は見てきたはずだから。
「意外? 戦場を駆け回り次々に勝利を収める姿、カリスマ性。閣下は初めからオレの憧れだったよ。惹かれないわけないよ。でもさ、オレの身分では結ばれることはない。だから、その隣に立つためにオレは努力した。副官になった時は嬉しかったな」
エドワードがうっとりと目を細めた。
「閣下が婚約破棄を繰り返すから、結婚する意志がないことはわかってた。だったら副官のオレこそが閣下に一番近い人間だろう? オレはそれで満足だった。ザートツェントルと婚約を結ぶまでは」
「……どうして、そこにシキが」
「どうして? 決まってるだろ。これまで国外の人間ばかりだったのに、国内から婚約者としてあいつが選ばれ、さらには副官にまでなった。許せるはずないだろ! しかも、閣下は受け入れただけでなく親し気に振舞って……。閣下のことを分かっていて、一番近い人間はオレだけなんだ!」
エドワードが激昂するところを初めてみた。
けれども、クリスティーナは冷静に見つめていた。
「……勝手ね。わたくしがどう振舞おうがわたくしの自由だわ。それで、ジェレミーお兄様の手を取ったというの? わたくしを裏切ってまで?」
クリスティーナの冷たい言葉に、エドワードは唇を噛んだ。
「最初にオレを裏切ったのは閣下だよ。もう何を言ったって、オレと婚約するのはもう決まったも同然だからな」
「わたくしの婚約者を決めるのはレオン皇太子殿下よ。あなたがわたくしの婚約者になるなんてありえないわ」
ぴしゃりと跳ねのけると、エドワードが物凄い形相で、クリスティーナに掴みかかろうとした。
(いやっ、触れられたくない!)
「ぎゃあああっ!」
クリスティーナに触れようとした瞬間、魔方陣が光り輝きエドワードを吹き飛ばした。
ジェレミーの結界魔法だ。
それだけなら良かったのだが、クリスティーナに再び痛みが襲う。
「う、ぐぐ……っ」
「どうしてオレは閣下に触れられないんだ! ずっと想ってるのに!」
(わたくし、に……触れてもいい、のは)
頭への締め付けがどんどんきつくなり、意識が朦朧とする中、クリスティーナは気絶した。
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