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ロディの心情②
しおりを挟む「あの女のせいだ」
幼少期。
ほとんど父の居ない家で、母はロディを抱き寄せていつも口癖のように呟いていた。
ロディはまだその時は幼かったので、母が何の事を言っているのかよく分かっていなかった。
が、それでも両親の仲が悪い事だけはおぼろげながら理解し、精一杯、父に好かれようと家の中でさえ、父によく見られようと化粧をするなどをしていた母を泣かせる父に対し、軽蔑の視線を向けていた。
また、そこまでして父に気に入られようとする母も、とても見ていられるものではなく、心のどこかで呆れていた。
なので、一度だけいつものように帰るかも分からない父を、布団に入らずに椅子に座って待つ母に対し、父と離婚してはどうかと提案したことがあった。
誰か第三者――つまり自分がソレを言わなければ、この不毛な家族関係に終止符を打つことが出来ないと思ったから。
だが、母は疲れ切った顔で、目を細めて「お父さんはきっと帰ってくるから……。私が待っていたら……ロディは寝なさい」と言ったきり、黙りこんでしまった。
母は父が昔のように愛する日が再びやってくるのだと哀れにも信じていたのだ。
結局、この日ロディは母に付き合い、明け方まで床に就くことはなかった。
ーー母の心が折れる日はそう遠くはなかった。
母は父が画家として稼いだ大金を湯水のように使い出した。
酒に溺れ、薬物に手を出し、男遊びをはじめ、父同様に家を空ける日々が増え、家に残されたのは自分だけ。
だが、経緯を知っているがために、ロディは母を責める気にはなれず、代わりに家族を滅茶苦茶にした顔も知らないあの女に、怒りを向けることで、自分の気を静めていた。
故に、ロディは特に家族との接点を持つことなく、父のアトリエにあった画材を無断で取り出して、絵を描くことに少年期の全てを捧げていた。
そして、ロディが青年期に入る頃――また転機が訪れる。
☆★☆
ねじれの関係、決して交わることがない家族関係。
そんな空洞の生活に終わりが来る。
母の莫大な額の散財に父が気がついたのだ。
支出が収入を上回り、多額の借用書が父の元に届き、父は激高し、母を別宅に追いやり、療養という名の元に閉じ込めたのだ。
そして、母の浪費を知りながらも報告しなかったロディに対して、父は罰を与えた。
それは、今回の事は不問とする代わりに、腹違いの姉であるマリーと田舎で暮らす事。
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