さっちゃんにサチアレ!

壊れ始めたラジオ

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アノ子と交わした約束を。

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 私、蝶茶韻理早智ちょうさいんりさちの自宅の近所に、大家族で知られている一家が住んでいた。それが、大須おおず。そこの子ども達の中でも、私は二女の多十羽たとばちゃんに特に懐かれていた。理由は分からない。

「何をしているのかしら?」

 立食パーティーの帰りに通りがかった公園の砂場で多十羽たとばちゃん達が遊んでいたのを見かけ、私は車を降りて話しかけた。

「あ。早智ねぇ……!」
「砂の……プリン?」
「違うのぜorzおーず。これは土台。お城の基礎なのだぜorzおーず

 彼女の口癖は「orzおーず」。テレビのネットスラング特集でこの言葉を知ったそうだ。

「基礎……ねぇ……」
「妹達が砂のお城を作りやすいように、濡らして固めているんだぜorzおーず
「感心するわね」
「何をするにも、支えてくれる人、支えてくれるものが必要なのだぜorzおーず。『縁の下の力持ち』は誇らしいのぜorzおーず。わたしも、誰かを支えられる人間になりたいのぜorzおーず。だから、手足でしっかりと支えている『orzおーず』の字を……りすぺくと……?……して声に出しているんだぜorzおーず!」

 てっきり流行りに乗っているだけかと思っていた。

「……なら、多十羽たとばちゃんが支えているところ、しっっっかりと見ていてあげるわ」
「大きくなって、わたしが早智ねぇを支えるのぜorzおーず!」
「ふふふ。そのときはお願いするわね」


 ◇


 それが、あの子との約束。

 でも、果たせそうにない。
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