さっちゃんにサチアレ!

壊れ始めたラジオ

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担任こそがコノ悲劇の原因。

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 学生生活の中でも、修学旅行は第一級のイベント。よって、それに引率してくる担任の教師は雰囲気づくりにおける重要なファクターとなる。

 その年の担任は、横垣水晶よこがきすいしょう。華奢な体型の女教師だった。男性からすれば庇護欲をくすぐられるような見た目。美人であることを否定はしない。いかにも……というのは失礼かもしれないが、正直女子にはイジられそうなキャラだった。

 ……が、そんなことはなかった。

「おはようございますみなさん。では出欠をとりますね。えーと出席簿は……」
「ごふうっ!」
「す、すみません蝶茶韻理ちょうさいんりさん!」

 彼女は腕っぷしがやたらと強いのだ。オーバースペックなボディーは生まれつきらしく、その過剰なパワーを制御するために昔からキックボクシングを習っているらしいが……どう考えても逆効果だと思う。今も出席簿を探すためにのけた参考書が私めがけて飛んできた。なぜかは分からないが、毎回私がトラブルの被害者になっている。こんな日常を知っている周りの同級生達は彼女を恐れて畏怖し、イジろうなどとは考えない。賢明な判断だ。だけどなぜ私ばかりがこんな目に。


 ◇


 ……なんていう非日常系日常も今となっては懐かしい。


 …………いや、ちっとも懐かしくならない。こんなことになった発端こそ、あの担任なのだから。

 いつものくだりがうっかり発動してしまい、ハエかなにかを払いのけようと振った腕が偶然にもフルパワーで、さらに偶然が重なって天守閣の窓際に立っていた私にその裏拳状態の腕が命中し窓を破って落ちてしまい、さらにさらに不幸なことに石垣に頭を強打し、今のこの意識朦朧とした状態に陥ったのだ。

 このままじゃ本当に、死……ぬ…………………………。
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