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第1話
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「じゃーん。今日はグラタン作ってみた」
「あぁ」
いや「あぁ」って。もっと言い方があるでしょ。
「どう? おいしい?」
「ふつー」
あぁん? 普通ってなんだよこの野郎。
作ったの!
あんたのために!
「……寝る」
「え、ちょっと」
「……なに」
「気づいたことない?」
「いや、なにも」
「ランチョンマット新しくしたの!」
「そっか」
薄い! 反応が薄い!
「……もういい。別れる」
「おいおいなんでだよ」
「自分の胸に聞いてみたら⁉」
あーもーホント無理。また失敗。
◇
アタシは、結婚したい。
人生、誰しも一回くらいは「将来の夢はお嫁さん」なんて言ったことがあると思う。アタシもその一人だ。大学を卒業して、社会人として何年か働いたら、素敵なダンナ様を見つけて、寿退社して、子どもを産む。これが、アタシの目標だった。出版社に勤めている今のアタシにとって、あと一つ足りないもの。それが結婚相手。
……でも、これが一番の難関だった。これまでに何人かの男と付き合ってきたけど、全員ダメ。最初は「いいかも」って思っても、同棲すると本性が見えてきて。そこでぶつかる。
日に日に結婚したい欲ばかりが溜まってきて、その鬱憤は性欲という分かりやすい形で現れた。
◇
「いただきます」
「めしあがれ」
……で、性欲のはけ口を探しているうちにこうなった。
セフレができたのだ。しかもその相手は同性。つまり女だ。なんか成り行きでルームシェアも始めてた。
「んー! 今日のしょうが焼きおいしい!」
「そうそうそれそれ! その反応が欲しかった!」
作った料理に対するコメントって、もらえると本当に嬉しい。今までの彼氏連中にはそんなものほとんどなかったか、あったとしても長続きしなかった。
「そういえば、あたしが出てる間に棚の人形の位置変えたんだね。いい感じ」
「わかる⁉」
「わかるよ。帰ってきてすぐ気づいたもん」
あーこれこれ! こういう会話がしたかった! 元カレ連中に彼女の全身の垢を煎じて飲ませてやりたい。
アタシのセフレ、基江理拿。彼女とルームシェアを始めてもうすぐ一年。はじめは結婚するまでの繋ぎ程度にしか見てなかったけど、今となっては彼女の存在なしでは生きていけない。
あーもーホント無理。理拿と結婚したい。
……でも、彼女にとってアタシはただのセフレ。アタシとの結婚なんて考えてないだろうし。今は彼女の胃袋を掴めているけど、決定打がない限りそれもいつまでもつか……。
プロポーズ、しなきゃなぁ……。
「あぁ」
いや「あぁ」って。もっと言い方があるでしょ。
「どう? おいしい?」
「ふつー」
あぁん? 普通ってなんだよこの野郎。
作ったの!
あんたのために!
「……寝る」
「え、ちょっと」
「……なに」
「気づいたことない?」
「いや、なにも」
「ランチョンマット新しくしたの!」
「そっか」
薄い! 反応が薄い!
「……もういい。別れる」
「おいおいなんでだよ」
「自分の胸に聞いてみたら⁉」
あーもーホント無理。また失敗。
◇
アタシは、結婚したい。
人生、誰しも一回くらいは「将来の夢はお嫁さん」なんて言ったことがあると思う。アタシもその一人だ。大学を卒業して、社会人として何年か働いたら、素敵なダンナ様を見つけて、寿退社して、子どもを産む。これが、アタシの目標だった。出版社に勤めている今のアタシにとって、あと一つ足りないもの。それが結婚相手。
……でも、これが一番の難関だった。これまでに何人かの男と付き合ってきたけど、全員ダメ。最初は「いいかも」って思っても、同棲すると本性が見えてきて。そこでぶつかる。
日に日に結婚したい欲ばかりが溜まってきて、その鬱憤は性欲という分かりやすい形で現れた。
◇
「いただきます」
「めしあがれ」
……で、性欲のはけ口を探しているうちにこうなった。
セフレができたのだ。しかもその相手は同性。つまり女だ。なんか成り行きでルームシェアも始めてた。
「んー! 今日のしょうが焼きおいしい!」
「そうそうそれそれ! その反応が欲しかった!」
作った料理に対するコメントって、もらえると本当に嬉しい。今までの彼氏連中にはそんなものほとんどなかったか、あったとしても長続きしなかった。
「そういえば、あたしが出てる間に棚の人形の位置変えたんだね。いい感じ」
「わかる⁉」
「わかるよ。帰ってきてすぐ気づいたもん」
あーこれこれ! こういう会話がしたかった! 元カレ連中に彼女の全身の垢を煎じて飲ませてやりたい。
アタシのセフレ、基江理拿。彼女とルームシェアを始めてもうすぐ一年。はじめは結婚するまでの繋ぎ程度にしか見てなかったけど、今となっては彼女の存在なしでは生きていけない。
あーもーホント無理。理拿と結婚したい。
……でも、彼女にとってアタシはただのセフレ。アタシとの結婚なんて考えてないだろうし。今は彼女の胃袋を掴めているけど、決定打がない限りそれもいつまでもつか……。
プロポーズ、しなきゃなぁ……。
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