霜月壱谷の探偵録

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探偵+警部=>結成

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 「では、あなたがこの部屋に来たときの状況を詳しく話してください。」
そう言うと山村は手帳を取り出した。霜月は淡々と自分の見た物をありのままに伝えた。
「私の話せることは以上です。さて、それでは次はあなたの、というより、警察の持っている情報をいただきましょうか。」
「生憎ですが、民間人のあなたに情報を与えることはできません。第一、事件を解決するのは我々警察の仕事です。あなたじゃない。」
言うだけ言うと、山村は急ぎ気味に玄関へ向かった。
 その時、霜月がいきなり声をあげた。
「先程私は自分の見たもののみを話した。その程度の情報で事件が解決できるとでも?私の考えでは、これは警察ごときが手出しできるレベルの事件ではない。何年間もここで殺人を繰り返し、周りの住民には一切バレることなく姿を眩ませた人間だ。警察のとる通常の方法では事件の片鱗どころか、影にさえ手が届かないだろう。」
「はいはい。ご協力感謝しますよ。」
そう言うと山村は少し勢いをつけてドアを閉めた。
その様子を確かめた霜月は表情を緩め、
「少し言い過ぎたかな。」
とつぶやいた。
 後日、霜月の元に一本の電話がかかってきた。
「君が霜月君だね。悪いが、今から都庁に来てくれないかね。要件は後で。」
「わかりました。では14時頃伺います。」
電話を切ると霜月はすぐに支度をした。
 霜月が都庁につくと、電話の主と思われる者に声をかけられた。
「霜月君だね。ちょっといいかな。」
「構いませんが、どこで私の姿を?」
「まあ、諸々向こうで。」
その男が指差したのは少し古風レトロなカフェだった。
「まあ、そう硬くならずに。何も君を拘束しようというわけじゃ無いんだから。君には例の事件の捜査を依頼したい。」
そう言うと男は懐から一枚の名刺を取り出した。

警視総監 海原 海斗

「なるほど、警視総監ですか。それなら私に頼るよりも、他の機関をあたった方がよろしいかと思いますが。」
「まあそう言うな。君の欲しがっていた捜査資料と引き換えでどうだろう。」
この言葉に霜月は少し反応したが、
「事件を解決するのは警察の仕事じゃないのですか。」
と返した。
 そして、
「例え資料を与えられたとして、私には人手が足りません。警察と関わりの深い方でもいない限り、私でさえこの事件は迷宮入りするでしょう。」
と続けた。
「なるほど、人手が欲しいと。ぴったりだ。君に一人、警官を与えよう。入り給え。」
海原がそう言うと、一人の警官が入ってきた。
「山村登一君だ。君もよく知っているだろうね。さて、これで君の望む条件は全て満たした訳だが、他に何かあるかね。」
と海原は返すが、霜月は首を横に振り、
「それでは契約完了です。さて、山村君。よろしくね。」
今の山村にとって、霜月の笑顔はとてもくすんで見えた。だが、もちろん霜月にはそんなつもりは毛頭無かった。

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