【完結】オタク女子はクラス転移で愛を知り哀を察る（しる）

２３話

「で。こりゃ一体どういう事だ」

　仁王立ちの若ちんの前で、わたしはショボンと正座をしていた。

　目の前には無惨に崩壊した建物。

　先程までわたしと王様達がいた大食堂だ。

「王様に頼まれて召喚しました」
「どこにだ」
「あの食堂にです」

　わたしは無惨に壊れて、今や屋根も壁も無い瓦礫を指さす。

「…………アレをか？」
「…はい。デカいですよって言ったけど、大丈夫だからと王様に言われて…」

　若ちんを始め、周りに集まっていたクラスメイト達が、唖然として、空を舞っているアレをみつめる。

　キエエエー！

　そこには。

　真っ赤な身体に炎を纏った巨大な鳥が旋回していた！

　ボオォォォー！

　しかも時々、火を噴いてるし！

「いや、どう見ても無理だろ」
「建物の３倍？はあるよな」

　クラスメイトが凄くもっともな事を突っ込んでる。

　そう！そうなの！

　デカいよ、と言ったけど、さすがにあの大きさは想定してなくて。

　お陰で建物は一瞬で崩壊。

　王様や周りにいた召喚士達は大火傷。

　護衛や兵士達は壁に打ちつけられ全身負傷。

　そんな中、わたしは召喚主で無事だった！

「若ちん！でも今回の事は、あかりちゃんも被害者です！」

　見かねて忍くんが擁護してくれた。

　わたしに材料をお願いしたら、普段非戦闘組の部屋にいない男にわたしが連れて行かれた事。

　様子がおかしいと思って後を追いかけたら、途中で王様と面会中だからと、城の兵士に足止めをくらった事。

　それで作業場に戻って、クラスメイト達と相談してたら変な鳴き声が響いて建物が崩壊する音が聞こえた事。

　非戦闘組のみんなも、あかりちゃんは悪くないです！って擁護してくれた！

　うう。みんなの優しさが染みる。

「……また、あのクソ親父か！本当に碌な事をしねー親子だ！」

　そもそものキッカケが王様が若ちん通さずにわたしを呼び出した事なので。

　とりあえず建物と怪我人の事は任せとけ、と言ってくれた。

　若ちん…頼りになる！

　で。残る問題は。

「アレをどうするかだな？」

　クラスメイトみんな、頭を悩ましている。

　キエエエー！キエエエー！

　ボオォォォー！ボオォォォー！

　いやー。ちょっと怖いよ。

　聖獣というより敵ボスにしか見えない。

「あかりちゃん、アレって前に描いてくれたフェニックスだよね？」
「うん」

　フェニックス！？

　クラスメイトがざわつき始める。

「おい、あかり。ちなみにどんなイメージで描いた？」
「不死鳥かな」

　ヨッシャー！キター！

　男女問わず喜んでるのは、召喚士や賢者とかの役割の子達だ。

「あかり！よくやった！」

　何故か大河にも褒められた。

「アレは誰でも召喚出来るか？」
「んー召喚士とか賢者とかなら多分？」

　その後。

　召喚士や賢者や勇者メンバーで、検証した結果。

　全員一斉での複数の召喚は無理だけど、全員が呼び出せたので。

　クラスメイトにもし何かあった時には、誰かが蘇生をかけれるそうだ！

　そしてわたしは。

　よくやった！と若ちんにも褒められ。

　王様達には早く帰って欲しい危険人物人物リストに入れられた！

　ひどっ！