19 / 75
第一部 ここって乙女ゲームの世界らしい
17
「たぁー!」
威勢のいい掛け声を上げて、オレは火魔法をまとわせた短剣を振るった。ちなみに両手で短剣を操るから敵へのダメージも2倍だ!
「後は任せろ!」
ラナが後に続いて、大剣で獲物にトドメを刺した。
「リア、そろそろ、帰るか?」
「あぁ!オレもスッキリしたし戻るか」
オレとラナは本日3体目の獣を収納袋に入れると、ギルドへ向かい歩き出した。
「リア、今日は荒れてたなぁ」
「ちょっと嫌な事があってさ」
正確には、とても残念な事があった、だけどね。
オレの10歳の誕生日パーティーから1ヶ月。あの日から、オレの魔法と剣の練習日が無くなった。
スペッサとトンガリ君に、オレを会わさない為だ。
2人はトルマリン家を出禁になったし。ライバンの剣と魔法の練習日には、オレは本宅に来る事さえも禁じられた。
既に3年は習ってるので、簡易魔法はマスターしていたし。短剣や小剣も防衛する技程度なら、もういいだろうと判断されたのだ。
代わりに、ダンス練習日と婚約者との交流を深める日が追加された。それが辛い。
でもさすがに毎週の交流では話題も無くなるからと懇願し、月に一回にしてもらった。
今は週に2日程度は自由時間が作れる様になったのが幸いだ。
「ほら、お前の取り分」
ギルドで獲物を換金したラナがオレに半分お金を渡して来た。
「オレ、全部貯金する」
カウンターでお金を預ける。ギルドは銀行の役割も担ってくれている。便利だ。
「ほんと、リアは贅沢しないよな」
「人生何があるかわからないからな。蓄えは必要だろ?」
オレとラナの会話を聞いた周囲の大人達が笑ってる。
「確かにな!リア坊は賢いな!」
近くにいた用心棒みたいなオッチャンが、オレの頭をワシワシと撫でた。
「オレは堅実な男だからな!」
偉そうにふんぞり返ったオレの言葉に、みんながドッと笑った。
◇◇◇
孤児院に戻ると、案の定またリッチに変身したジェードがいた。
今日も髪と目は茶色だ。今思えば、こいつもお忍びで髪と目の色を変えていたんだな、と分かる。
まぁ、オレは色を変えた上に、帽子と布で相変わらず身元バレ防止しているけどね。
「リア、ラナお帰り。怪我とか大丈夫?これ回復薬だよ」
「あぁ。いつも、ありがとう」
「へへ、いいよ」
リッチは以前より、孤児院に来る回数は減ったものの、来る度にオレに何か貢ぎ物を持って来る。
前に欲しい物は何かと聞かれて「お金」と答えたら、リッチの護衛にすごい睨まれた。
なので、安い回復薬があると助かると言い直して以降、ちょこちょことあまり高くない回復薬をプレゼントしてくれる様になった。
護衛もこの範囲なら、睨んでくる事も無い。
「リアはお金貯めて何かしたい事でもあんのか?」
さっきのギルドでの話の続きで、ラナが話しかけて来た。
「やりたい事は無いけど…そうだな」
そろそろ、逃亡後の事も考えた方がいいかもしれないな。
「大人になったら、旅に出たいな」
「旅!?」
オレの言葉に被せて来たのはリッチだ。
一瞬、場がシーンとなる。とりあえず呆然としているリッチを放置して、オレはラナと会話を続ける。
「もっと広い世界が見てみたいし、冒険もしたいしな」
「いいな!俺も行きたい」
「じゃあ、オレが冒険できる年になったら一緒に行こうか」
「わたしも行きたいなぁ」
「僕も!」
シレネが会話に加わって来た。連れて行ってやりたいけど、シレネは全く剣も魔法も使えないから連れては行けない。それをラナが伝えるとシレネは、しゅんと落ち込んだ。
「ねぇ、僕は少しは剣も魔法も使えるよ!」
「リッチ様、そろそろ戻りましょう」
無理やり会話に加わろうとするリッチを護衛が連れて行った。グッジョブ!
「リッチもしつこいな。連れて行ける訳ないのに」
「愛だろ」
「愛だよねぇ」
ラナとシレネが、うんうんと頷き合ってる。
…いや、だからオレ男なんですけど。
威勢のいい掛け声を上げて、オレは火魔法をまとわせた短剣を振るった。ちなみに両手で短剣を操るから敵へのダメージも2倍だ!
「後は任せろ!」
ラナが後に続いて、大剣で獲物にトドメを刺した。
「リア、そろそろ、帰るか?」
「あぁ!オレもスッキリしたし戻るか」
オレとラナは本日3体目の獣を収納袋に入れると、ギルドへ向かい歩き出した。
「リア、今日は荒れてたなぁ」
「ちょっと嫌な事があってさ」
正確には、とても残念な事があった、だけどね。
オレの10歳の誕生日パーティーから1ヶ月。あの日から、オレの魔法と剣の練習日が無くなった。
スペッサとトンガリ君に、オレを会わさない為だ。
2人はトルマリン家を出禁になったし。ライバンの剣と魔法の練習日には、オレは本宅に来る事さえも禁じられた。
既に3年は習ってるので、簡易魔法はマスターしていたし。短剣や小剣も防衛する技程度なら、もういいだろうと判断されたのだ。
代わりに、ダンス練習日と婚約者との交流を深める日が追加された。それが辛い。
でもさすがに毎週の交流では話題も無くなるからと懇願し、月に一回にしてもらった。
今は週に2日程度は自由時間が作れる様になったのが幸いだ。
「ほら、お前の取り分」
ギルドで獲物を換金したラナがオレに半分お金を渡して来た。
「オレ、全部貯金する」
カウンターでお金を預ける。ギルドは銀行の役割も担ってくれている。便利だ。
「ほんと、リアは贅沢しないよな」
「人生何があるかわからないからな。蓄えは必要だろ?」
オレとラナの会話を聞いた周囲の大人達が笑ってる。
「確かにな!リア坊は賢いな!」
近くにいた用心棒みたいなオッチャンが、オレの頭をワシワシと撫でた。
「オレは堅実な男だからな!」
偉そうにふんぞり返ったオレの言葉に、みんながドッと笑った。
◇◇◇
孤児院に戻ると、案の定またリッチに変身したジェードがいた。
今日も髪と目は茶色だ。今思えば、こいつもお忍びで髪と目の色を変えていたんだな、と分かる。
まぁ、オレは色を変えた上に、帽子と布で相変わらず身元バレ防止しているけどね。
「リア、ラナお帰り。怪我とか大丈夫?これ回復薬だよ」
「あぁ。いつも、ありがとう」
「へへ、いいよ」
リッチは以前より、孤児院に来る回数は減ったものの、来る度にオレに何か貢ぎ物を持って来る。
前に欲しい物は何かと聞かれて「お金」と答えたら、リッチの護衛にすごい睨まれた。
なので、安い回復薬があると助かると言い直して以降、ちょこちょことあまり高くない回復薬をプレゼントしてくれる様になった。
護衛もこの範囲なら、睨んでくる事も無い。
「リアはお金貯めて何かしたい事でもあんのか?」
さっきのギルドでの話の続きで、ラナが話しかけて来た。
「やりたい事は無いけど…そうだな」
そろそろ、逃亡後の事も考えた方がいいかもしれないな。
「大人になったら、旅に出たいな」
「旅!?」
オレの言葉に被せて来たのはリッチだ。
一瞬、場がシーンとなる。とりあえず呆然としているリッチを放置して、オレはラナと会話を続ける。
「もっと広い世界が見てみたいし、冒険もしたいしな」
「いいな!俺も行きたい」
「じゃあ、オレが冒険できる年になったら一緒に行こうか」
「わたしも行きたいなぁ」
「僕も!」
シレネが会話に加わって来た。連れて行ってやりたいけど、シレネは全く剣も魔法も使えないから連れては行けない。それをラナが伝えるとシレネは、しゅんと落ち込んだ。
「ねぇ、僕は少しは剣も魔法も使えるよ!」
「リッチ様、そろそろ戻りましょう」
無理やり会話に加わろうとするリッチを護衛が連れて行った。グッジョブ!
「リッチもしつこいな。連れて行ける訳ないのに」
「愛だろ」
「愛だよねぇ」
ラナとシレネが、うんうんと頷き合ってる。
…いや、だからオレ男なんですけど。
あなたにおすすめの小説
言葉が通じない暴君皇帝の運命の番として召喚されました〜炎を鎮めたら冷徹な彼が甘々になりました〜
水凪しおん
BL
帰宅途中の夜道、突然の光に包まれた青年・アオイが目を覚ますと、そこは見知らぬ異世界の宮廷だった。
言葉も通じず、隔離された離宮に閉じ込められた彼が出会ったのは、ソラリア帝国を統べる皇帝・レオニダス。
強大な竜の血を引き、その力に肉体を焼き尽くされそうになりながら孤独に耐える冷徹なアルファ。
だが、特別な魔法を持たないはずのアオイには、彼の荒れ狂う魔力を静かに鎮める「不思議な波長」が備わっていた。
「触れるな」
お互いを傷つけることを恐れ、遠ざけようとする不器用な皇帝。
だが、アオイは苦しむ彼を見捨てられず、自ら灼熱の炎の中へと飛び込んでいく。
言葉の壁を越え、魂の波長が重なり合った時、冷徹な皇帝の態度は一変。
誰よりも優しく、独占欲に満ちた重すぎる溺愛が始まって――。
孤独な竜と、彼を癒やすただ一人のオメガ。
二人が真の「運命の番」となるまでの、切なくも温かい異世界救済ボーイズラブ。
運命の番は僕に振り向かない
ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。
それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。
オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。
ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。
ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。
ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。
ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。
完結しました!ありがとうございました。
妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。
藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。
妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、
彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。
だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、
なぜかアラン本人に興味を持ち始める。
「君は、なぜそこまで必死なんだ?」
「妹のためです!」
……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。
妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。
ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。
そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。
断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。
誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。
【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!
煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。
処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。
なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、
婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。
最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・
やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように
仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。
クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・
と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」
と言いやがる!一体誰だ!?
その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・
ーーーーーーーー
この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に
加筆修正を加えたものです。
リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、
あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。
展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。
続編出ました
転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668
ーーーー
校正・文体の調整に生成AIを利用しています。
恋人に好きな人が出来たと思ったら、なにやら雲行きが怪しい。
めっちゃ抹茶
BL
突然だが、容姿も中身も平凡な俺には、超絶イケメンの王子と呼ばれる恋人がいる。付き合い始めてそろそろ一年が経つ。といってもまだキスもそれ以上もした事がない健全なお付き合い。王子は優しいけど意地悪で、いつも俺の心臓を高鳴らせてくる——だけどそれだけだ。この前、喧嘩をした。それきり彼と話していない。付き合っているのか定かじゃない関係。挙句に、今遠目から見つけた王子の側には可憐な女の子。彼女が彼に寄り掛かって二人がキスをしている。
その瞬間、目の前が真っ黒になった。もう無理だ。俺がスイッチが切れたようにその場に立ち尽くした、その時だった。前にいる彼から聞いたこともない怒声が俺の耳に届いたのは。
⚪︎佐藤玲央……微笑みの王子と呼ばれ、常に笑顔を絶やさない。物腰柔らかな姿勢に男女問わずモテる
⚪︎中田真……両親の転勤で引っ越してきた転校生。平凡な容姿で口が悪いがクラスに馴染めず誰とも話さないので王子しか知らないし、これからも多分バレない
※全四話、予約投稿済み。
本編に攻めの名前が出てこないの書き終わってから気が付いた。3/16タイトル少し変更しました。
※後日談を3/25に投稿予定←しました。Rを書くかはまだ悩み中
愛され方を教えて
あちゃーた
BL
主人公リハルトは自分を愛さなかった元婚約と家族のために無惨に死んだ…はずだった。
次に目が覚めた時、リハルトは過去に戻っていた。
そこは過去のはずなのにどこかおかしくて…