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第三部 乙女ゲーム?高等部編
13
食事を終えて、食堂から出ようとすると、おばちゃんに呼び止められた。
何でも干物にした魚が入ってきたらしい。臭いが強いからか、貴族には人気がないらしく、よければ貰っていくかい?と言われた。
「欲しいです!」
「すっかり元気になって。また明日もおいでよ」
「はい!」
オレは紙に包んだ干物を手にルンルン気分で食堂を後にした。
真っ直ぐ行くと魔法練習場だ。何となく、そこを通りたくなくて、迂回する事にした。
魔法練習場の反対側は、剣の練習場だ。といっても普通の広いグラウンドだけどね。
何人かの学生達が剣の稽古に励んでるのが見える。懐かしくて、思わず足を止めて見入ってしまう。
結局、オレは成長した今でも、普通の剣の扱いが下手だ。パワーよりスピードを活かした方が得意だ。だから、一般的な剣を上手に扱う学生らはカッコよく見えた。
そんな中、不思議な一団がいた。令嬢達だ。
みんな頭にデッカいリボンをつけて、ソレがふよふよ揺れている。
え?剣の稽古で邪魔じゃない?
案の定、風が吹いたら、ちょっとあおられている。え?ギャグでつけてるの?
「お前ら遊びでやってるのか!気が散るからそのリボンを外せ!」
男の怒鳴り声が場内に響いた。背の高い黒髪の男が、令嬢達にしきりにリボンを外せと怒っている。
「遊びではありません!」
「ワタクシ達だって本気ですわ!」
「ならせめて、先に剣の腕を磨いてからつけろ!それでは自分の実力も測れないだろうが!」
男の最もな意見に、令嬢達は泣きそうだ。可哀想だけど、男の言ってる事は間違ってない。何であんな奇抜なリボンを…。
ん?奇抜?もしかして。いやいや、まさか。
何か嫌な予感がして、オレがその場から離れようと踵を返した時。呼び止める声がした。
「おい、そこのお前、ここで何してる」
オレじゃないよね?そーっと逃げよう。
「今こっそり歩いてる青い制服に黒髪のお前だ。止まらないと斬るぞ」
ピタリと立ち止まって、恐る恐る振り返ると。令嬢達を怒鳴りつけていた奴だった。こっちに向かって来る。
身長が高く190cmくらいある。短髪の黒髪に、鋭く赤い目の強面の奴だった。
「お前学生じゃないな?誰だ?」
「学校側に雇われてる冒険者です。裏門警備を担当してます」
「冒険者?裏門?」
男は眉を顰め、何か考えている。これ幸いと、オレは失礼します、と一礼して、再び踵を返して立ち去ろう…としたけど、出来なかった。
男がオレの襟首を引っ張ったからだ。
「お前ランクは?」
「Bです」
オレの回答に、周囲のみんなが、おぉと驚きの声をあげる。
冒険者はFでスタートして、Cで一人前だ。
Bはベテラン。
正直、オレやラナの若さでBランクはすごいスピード出世だ。
ちなみにBからAへの壁は厚く。Aは一流、Sは稀有と言われていて、ほんの一握りだ。
「ちょうどいい。お前、俺の相手をしろ」
「ええ!?何で!?」
これ以上、貴族に関わりたくないのにっ。
「コイツらは俺の相手にならん。俺は、もっともっと強い相手とやりたい」
「勘弁してください。貴族の坊ちゃんに怪我なんかさせたら、オレらが責められます!」
「馬鹿にするな!俺はそんな弱くないぞ!」
男の手が、オレの手にあった紙袋をバシッと払った。おばちゃんから貰った紙袋が、地面に落ちて中の干物が転がった。
「……」
「何だこの臭いは!」
オレは答える事なく、男の手を払うと、干物についた汚れを丁寧に落として再び紙袋に入れた。
「おい。ゴミならちゃんと所定の場所へ片付けろ!」
「ゴミじゃないです。魚の干物です、うまいんですよ」
「…食うのか、それを?」
男がギョッとした表情を浮かべる。
貴族は氷魔法で鮮度を保ったまま、海鮮類を食うから。きっと見た事ないんだろうな。
でも。
こんな風に食べ物を粗末に扱うのは、許せなかった。
「平民は貴族みたいに贅沢出来ないから、こういう日もちして、栄養が取れる物が喜ばれるんですよ」
「そ、そうか」
「オレに相手して欲しいですか?」
オレの言葉に、男はパッと顔を明るくした。
「是非とも頼む!」
「じゃあ、オレが貴方を傷つけても刑罰に処さないと約束してください」
「分かった。周りのみんなも証人になってくれるだろう」
男が周囲を見回すと、周りの学生達も頷いてくれた。
「ワタクシ達が、証人になりますわ!アイツをコテンパンにしちゃってくださいませ!」
リボンの令嬢達が、何故かオレに声援をくれた。興奮してるせいか、リボンがふよふよ揺れてる。
「これでいいか?」
「はい。あと、どこまでOKですか?オレは剣と魔法も使います」
「手加減はいらん。全力で来い」
男はオレから十分に距離を取ると、腰に携えていた剣を抜いて構えた。
何でも干物にした魚が入ってきたらしい。臭いが強いからか、貴族には人気がないらしく、よければ貰っていくかい?と言われた。
「欲しいです!」
「すっかり元気になって。また明日もおいでよ」
「はい!」
オレは紙に包んだ干物を手にルンルン気分で食堂を後にした。
真っ直ぐ行くと魔法練習場だ。何となく、そこを通りたくなくて、迂回する事にした。
魔法練習場の反対側は、剣の練習場だ。といっても普通の広いグラウンドだけどね。
何人かの学生達が剣の稽古に励んでるのが見える。懐かしくて、思わず足を止めて見入ってしまう。
結局、オレは成長した今でも、普通の剣の扱いが下手だ。パワーよりスピードを活かした方が得意だ。だから、一般的な剣を上手に扱う学生らはカッコよく見えた。
そんな中、不思議な一団がいた。令嬢達だ。
みんな頭にデッカいリボンをつけて、ソレがふよふよ揺れている。
え?剣の稽古で邪魔じゃない?
案の定、風が吹いたら、ちょっとあおられている。え?ギャグでつけてるの?
「お前ら遊びでやってるのか!気が散るからそのリボンを外せ!」
男の怒鳴り声が場内に響いた。背の高い黒髪の男が、令嬢達にしきりにリボンを外せと怒っている。
「遊びではありません!」
「ワタクシ達だって本気ですわ!」
「ならせめて、先に剣の腕を磨いてからつけろ!それでは自分の実力も測れないだろうが!」
男の最もな意見に、令嬢達は泣きそうだ。可哀想だけど、男の言ってる事は間違ってない。何であんな奇抜なリボンを…。
ん?奇抜?もしかして。いやいや、まさか。
何か嫌な予感がして、オレがその場から離れようと踵を返した時。呼び止める声がした。
「おい、そこのお前、ここで何してる」
オレじゃないよね?そーっと逃げよう。
「今こっそり歩いてる青い制服に黒髪のお前だ。止まらないと斬るぞ」
ピタリと立ち止まって、恐る恐る振り返ると。令嬢達を怒鳴りつけていた奴だった。こっちに向かって来る。
身長が高く190cmくらいある。短髪の黒髪に、鋭く赤い目の強面の奴だった。
「お前学生じゃないな?誰だ?」
「学校側に雇われてる冒険者です。裏門警備を担当してます」
「冒険者?裏門?」
男は眉を顰め、何か考えている。これ幸いと、オレは失礼します、と一礼して、再び踵を返して立ち去ろう…としたけど、出来なかった。
男がオレの襟首を引っ張ったからだ。
「お前ランクは?」
「Bです」
オレの回答に、周囲のみんなが、おぉと驚きの声をあげる。
冒険者はFでスタートして、Cで一人前だ。
Bはベテラン。
正直、オレやラナの若さでBランクはすごいスピード出世だ。
ちなみにBからAへの壁は厚く。Aは一流、Sは稀有と言われていて、ほんの一握りだ。
「ちょうどいい。お前、俺の相手をしろ」
「ええ!?何で!?」
これ以上、貴族に関わりたくないのにっ。
「コイツらは俺の相手にならん。俺は、もっともっと強い相手とやりたい」
「勘弁してください。貴族の坊ちゃんに怪我なんかさせたら、オレらが責められます!」
「馬鹿にするな!俺はそんな弱くないぞ!」
男の手が、オレの手にあった紙袋をバシッと払った。おばちゃんから貰った紙袋が、地面に落ちて中の干物が転がった。
「……」
「何だこの臭いは!」
オレは答える事なく、男の手を払うと、干物についた汚れを丁寧に落として再び紙袋に入れた。
「おい。ゴミならちゃんと所定の場所へ片付けろ!」
「ゴミじゃないです。魚の干物です、うまいんですよ」
「…食うのか、それを?」
男がギョッとした表情を浮かべる。
貴族は氷魔法で鮮度を保ったまま、海鮮類を食うから。きっと見た事ないんだろうな。
でも。
こんな風に食べ物を粗末に扱うのは、許せなかった。
「平民は貴族みたいに贅沢出来ないから、こういう日もちして、栄養が取れる物が喜ばれるんですよ」
「そ、そうか」
「オレに相手して欲しいですか?」
オレの言葉に、男はパッと顔を明るくした。
「是非とも頼む!」
「じゃあ、オレが貴方を傷つけても刑罰に処さないと約束してください」
「分かった。周りのみんなも証人になってくれるだろう」
男が周囲を見回すと、周りの学生達も頷いてくれた。
「ワタクシ達が、証人になりますわ!アイツをコテンパンにしちゃってくださいませ!」
リボンの令嬢達が、何故かオレに声援をくれた。興奮してるせいか、リボンがふよふよ揺れてる。
「これでいいか?」
「はい。あと、どこまでOKですか?オレは剣と魔法も使います」
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