拾われた俺、最強のスパダリ閣下に全力で溺愛されてます 迷い子の月下美人

エウラ

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563 スコルの縁(えにし)1 sideスコル

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※ちょっと迷ったんですが、閑話ではなく番号振らせていただきます(次話も)。後半にちょっと残酷な描写があります。苦手な人はお気を付けください。冒頭は初夜の前後です。



師匠──ノア殿との会話を終えて、主であるリンクスの部屋へと戻る。婚姻した今は俺の部屋でもあるが。

部屋に入ると、俺はノア殿直伝の防音結界魔法を張る。これはノア殿の錬金術や薬師としての知識の他に、付与された戦闘能力の中にあったものだ。だから直伝といっても差し支えないだろう。

俺の魔力は、基本的に核となっている魔石と自然界から吸収するもの、あとは主との接触で得るものだから、ノア殿のように無尽蔵ではない。
それでもかなりの保有量だ。ノア殿から貰った知識の中の殲滅魔法をいくつも連発できるくらいには多い。

……これがかなりの規格外だと言うことは、俺でも分かっている。過去ではあまり役に立たなかったが。

だがこの力で、今度こそ己の愛する番いを護れるのだと思えば、自然と口元が緩む。

『主』
「えっと、その……もう夫夫ふうふなんだから、名前で呼んで、敬語もなしでいいよ、スコル」
『──分かった。リンクス──リンと呼んでいいか?』
「え、あ……もちろん。嬉しい」

お互い、何を言うでもなく、自然とベッドに向かう。そして俺が呼びすると、そんな可愛いことを言うもんだから、一瞬、理性の糸が切れかけた。
ああ、可愛い可愛い可愛い。

そうして、となる、愛おしい番いとの性交が始まった。

──それからどれくらいしていたのか。

今は初めての性交で疲れ果てて眠る、愛おしい番いリンクスの頬をそっと撫でながら、俺は遙か遠い昔を思い出す。

   ◇◇◇

それはいつ頃だったか、記憶は定かではない。

銀灰色の毛並みに紫色の瞳。魔狼として生まれたときから、膨大な魔力を保有していた俺は、そのせいなのか、あらゆる言語を理解し、念話で話すこともできた。

それというのも、たまたま居合わせた冒険者に、影からこっそり使ってみたら通じたからだ。だが仲間の魔狼には通じていなかったから、おそらくと付け加えておく。
あとは、自分はやけに大人びていて落ち着いていたように思う。

普通は同種族である魔狼同士の鳴き声しか理解しないらしいし、本能に従って行動する。
それに気づいたとき、自分が異質な存在なんだと自覚した。だから、それが分かってからは自然と群れから離れて、一頭で行動するようになった。

周囲の状況を理解し、あらゆる種族の言語を理解して行動しているうちに、いつの間にか、俺はかなりの年月を生きる、魔狼の中では頂点に位置する存在になっていた。
魔力の高さから、老いも止まってしまった。

すると今度は畏怖の目を向けら、それがイヤでますます独りで隠れるように生きるようになった。

そんな中、俺は運命の出会いを果たす。
唯一無二の番いを見つけたのだ。

俺と同じ銀灰色の毛並みに澄んだ水のような薄いアイスブルーの瞳は潤んでいた。
その子は生まれて間もない魔狼の仔のようで、弱々しく、今にも息絶えそうだった。元々身体が丈夫ではなく、そのせいでおそらく親に見放されて捨て置かれたのだろう。

俺は必死に己の魔力を注いで、仔狼の低い体温をあげる。さすがに乳は出ないため、して狼獣人の姿になると、仔狼を布で包んで抱えて近くの獣人の村に行き、山羊などの乳を分けてもらって飲ませる。

この人化も魔狼にはないスキルだから、緊急事態でもなければ使わない。今回は当然、緊急事態だから遠慮なく使う。

村人達は、俺のことを嫁が早世した可哀想な旦那と思ったらしく、甲斐甲斐しく世話を焼いてくれた。
おかげでそのまま村に住まわせてもらうことになり、俺は人化したまま仔狼と数年、ここで暮らすことになった。

ちなみにここで初めて俺と仔狼の名を聞かれて、とっさに自分はスコルで、この子はハティと名乗った。

うん、今まで自分も名無しだったが、何故かしっくりきた。
これで俺達は、本当の意味で唯一無二になった気がしたのだ。

そして村での穏やかな暮らしから三年ほど経った頃、ハティは仔狼姿から不意に人化した。
驚いた。てっきり魔狼だと思っていたので、あと数年もしたら村を出ようとしていたのだ。獣人の子がいつまでも人化せずに獣化したままではおかしいから、そっと、バレないうちに去ろうと……

しかし、獣人だったのなら、俺自身がバレなければ、このまま穏やかに過ごせる。そうして大人になったハティと──

──俺のそんな甘い考えをあざ笑うかのように、悲劇は、刻一刻と迫っていたというのに。
俺は幼い番いの世話に浮かれて、そんな未来を夢見ていて、油断していたんだ。

俺達の住む村に向かって、とてつもない数の魔物の群れが──スタンピードが迫っていたことに、直前まで気付けなかったのだ。

俺はハティと村人達を逃がすため、本来の魔狼の姿に戻ると、魔物の群れに突っ込んでいった。
村人達はそんな俺の姿を見て一瞬驚くも、俺を信頼してハティとともに後方へと移動してくれた。

『しゅこる! やあっ!』
『ハティ、必ず迎えに行くから。だから、生きていてくれ!』

舌っ足らずに俺を呼ぶハティの泣き叫ぶ声が耳に残ったが、俺が殺らねば、皆、死ぬ。

俺は死ぬ気で殲滅した。

そして怪我を負いながらもハティ達を探して彷徨い歩き──

村人達と、ハティの変わり果てた姿を、見つけたのだ。

スタンピードは一カ所だけではなかった。逃げた先でも、規模は小さかったが、起きていたのだった。
ソイツらに、蹂躙された。

ハティの小さな身体は、村人が庇ってくれたようで五体満足ではあったが、すでに事切れていた。俺は人化すると、壊さないように、ハティをそっと抱きしめる。

──そのあとのことは、あまり覚えていない。

気づいたときには、何故か俺は金竜を攻撃していて、負傷した金竜と一緒に湖に落ちていくところだった。








※長くなったので続きます。
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